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2024年から出世払い型奨学金が導入 返済は年収300万前後から

2024年から出世払い型奨学金が導入 返済は年収300万前後から

2024年秋から、年収が一定額に達するまで返済が猶予される「出世払い型奨学金」が大学院修士課程を対象に導入されることが決まりました。

返済が始まる目安は年収300万円前後を軸に政府内で調整されます。


返済を巡る将来の不安を和らげ、高度人材を育成する狙いがあります。

制度継続には着実な返済が欠かせず、下手をするればオーストラリアやイギリスの二の舞になりかねません。


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2024年から出世払い型奨学金が導入

2024年から出世払い型奨学金が導入

新たに導入する出世払い型奨学金では、国が在学中の授業料を無利子で立て替える制度です。

年収が300万円前後に達してから所得水準に応じて返済が始まります。

目安とする年収基準に達するまでは月額2000円程度を返済することになります。


導入時期は「実務的な準備や学生への周知期間が必要」として2024年秋入学からです。

2024年春入学者が秋から利用できるかどうかはまだ分かっていません。

文科省は利用状況や効果を見極め、学部生への拡大も視野に入れています。


出世払い型奨学金の狙い

出世払い型奨学金の狙い

出世払い奨学金導入の狙いは学生の不安を軽減するためです。

一般的な貸与型奨学金は卒業後まもなく返済が始まります。

奨学金を利用しなかった家庭に理由を尋ねた調査では2割程度が「将来返済できるか不安」と答えました。

出世払い型であれば、収入が低い時期は本格的な返済を迫られることはありません。


大学院を出て全員が高収入を得られるわけではないので、所得に応じた制度設計は重要です。


博士課程に進む学生を後押し

博士課程に進む学生を後押し

制度には将来的に博士課程に進む学生を後押しする狙いもあります。

海外の先端研究やイノベーションの分野で活躍がみられるのが主に博士人材だからです。

直近の博士号取得者は米国や韓国で2000年度と比べ2倍超に増えましたが、日本は減少傾向にあります。


博士課程修了者の雇用状況は厳しく、出世払い型の導入が博士人材の増加に結びつくかは見通せません。

欧米と比べ高度人材の待遇が悪いことが進学の魅力を損なわせている感が否めません。

企業や大学での処遇改善も並行して取り組む必要があるでしょう。


奨学金が返済されない可能性も

奨学金が返済されない可能性も

収入が上がらず完済できないケースも想定されます。

先行導入した各国は回収の難しさに直面しています。


オーストラリアは11989年にそれまで無償だった大学教育を有償化することに伴い導入しました。

卒業後、年間の所得などが460万円を超えた場合、1%から10%までを授業料として源泉徴収しますが、2020年時点で債権の15%について「返済が期待できない」状況です。


同様の制度がある英国でも返済されない債権が14年時点で30~45%と推計されました。

未回収分などを補塡するための補助金を予算計上しました。


現行の貸与型奨学金の貸付残高9兆5356億円(21年度末時点)のうち、3カ月以上の延滞は2・1%(2017億円)に抑えられています。

回収不能になると国費で補塡する必要があり、出世払い型導入による奨学金財政への影響の検証が欠かせません。


まとめ

まとめ

2024年秋から、年収が一定額に達するまで返済が猶予される「出世払い」型奨学金が大学院修士課程を対象に導入されることが決まりました。

返済が始まる目安は年収300万円前後を軸に政府内で調整されます。


導入の狙いは学生の不安軽減です。

奨学金を利用しなかった家庭に理由を尋ねた調査では2割程度が「将来返済できるか不安」と答えました。


制度には将来的に博士課程に進む学生を後押しする狙いもあります。

海外の先端研究やイノベーションの分野で活躍がみられるのが主に博士人材だからです。

直近の博士号取得者は米国や韓国で2000年度と比べ2倍超に増えましたが、日本は減少傾向にあります。


収入が上がらず完済できないケースも想定されます。

先行導入した各国は回収の難しさに直面しています。


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