
ひとりで暮らす時間が当たり前になった今、「老後」や「もしもの時」のことは、誰にとっても無関係ではありません。
元気なうちは楽しく過ごしていても、病気や入院、老いを意識した瞬間に、ふと不安がよぎることがあります。
お墓や葬儀、遺品やお金、そして大切なペットの行き先――考えなければと思いながら、後回しにしてしまう人も多いのではないでしょうか。
書籍『私が死んだらどーなるの?おひとりさまの後始末』は、そんなおひとりさまのリアルな悩みを出発点に、「終活」を前向きな準備として捉え直す一冊です。
著者・なとみみわ自身の経験をもとに、終活エキスパートに話を聞きながら、老後の暮らしや死後の段取りをマンガと解説で分かりやすく整理しています。
難しい制度や専門的な話も、生活の延長として理解できる構成が特徴です。
何も分からない初心者でも、「何から始めればいいのか」「どこまで考えればいいのか」が自然と見えてくるのが本書の魅力です。
終活を「不安な作業」ではなく、「これからの人生を安心して楽しむための準備」へと変えてくれる一冊として、多くのおひとりさまに寄り添ってくれます。
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書籍『私が死んだらどーなるの?おひとりさまの後始末』の書評

「終活」は、元気なうちに考えるほど“選べる道”が増える分野です。一方で、おひとりさまの場合は「家族が自然にやってくれる前提」が成り立ちにくく、医療・介護・住まい・死後手続き・お金・ペットまで、点が散らばったまま不安になりがちです。本書はその点を、漫画のストーリーに乗せながら、不安を“項目”に分解して、順番に並べ替える読み物として機能します。
この書評では、以下の4つの観点から本書の価値や本質を解説していきます。
- 著者:なとみみわのプロフィール
- 本書の要約
- 本書の目的
- 人気の理由と魅力
読み終えるころには、「何から始めればいいの?」が「自分の順番はこれだ」に変わるはずです。
著者:なとみみわのプロフィール
なとみみわは、イラストレーター・漫画家として、長年「暮らしの現場」をテーマに作品を描き続けてきた人物です。雑誌やWeb、書籍など幅広い媒体で活動し、とりわけコミックエッセイの分野で高い支持を集めています。彼女の作品に共通しているのは、特別な人の人生ではなく、「どこにでもいる一人の生活者」の視点で描かれている点です。
私生活では、姑との同居・介護・看取りを経験し、子どもの独立、そして離婚を経て「おひとりさま」としての生活に至っています。これらの出来事は、単なるプロフィール上の経歴ではなく、彼女の創作の土台そのものです。介護や老後、家族関係といった重たいテーマを扱いながらも、どこか肩の力が抜けたユーモアが感じられるのは、当事者としての戸惑いや葛藤を正直に描いてきたからこそだと言えます。
また、ブログやエッセイ漫画では、自分自身の弱さや不安を隠さずに表現する姿勢が一貫しています。「ちゃんとできない自分」「迷ってばかりの自分」を肯定した上で前に進む描き方は、読者にとって強い共感ポイントとなっています。専門家でも評論家でもない、等身大の生活者だからこそ語れる言葉が、本書にも色濃く反映されています。
本書の要約
本書『私が死んだらどーなるの?おひとりさまの後始末』は、「ひとりで生きる人が、老いと死に直面したときに起こる現実」を、物語と解説の両面から整理した一冊です。大きな特徴は、死後の話だけで終わらず、生きている間に直面する問題まで含めて扱っている点にあります。
物語は、自由気ままに暮らすおひとりさまの主人公が、ふとした瞬間に将来への不安を覚えるところから始まります。病気になったらどうなるのか、入院したときの手続きは誰がするのか、亡くなった後に葬儀やお墓はどうなるのか、財産や遺品は誰が片づけるのか、そして大切なペットはどうなるのか。こうした疑問は、多くの人が心のどこかで感じながら、先送りにしているものです。
本書では、それらの不安を一気に解決しようとはしません。まずは不安を分解し、「これは生前の準備」「これは死後の段取り」と整理していきます。その上で、終活エキスパートの知見を借りながら、現実的な選択肢を一つずつ確認していく構成になっています。マンガで感情的に理解し、コラムで理屈を補強する流れが繰り返されるため、知識がない読者でも置いていかれにくい設計です。
終活の不安は“量”が多いのではなく、“種類”が混ざっていることが原因です。
分類できれば、対処は現実的になります。
本書の目的
本書の目的は、読者に「すべてを完璧に準備させること」ではありません。むしろ、終活を過度に恐れたり、先延ばしにしたりする状態から抜け出し、「自分で選べる状態」をつくることにあります。老後や死後の問題は、知識がないまま放置すると、いざという時に選択肢が極端に狭まってしまいます。本書は、その事態を避けるための“思考の準備運動”として機能します。
特におひとりさまの場合、家族が暗黙のうちに引き受けてくれる役割が存在しないケースが多くなります。入院時の手続き、亡くなった後の事務処理、住まいの整理などは、誰かが明確に担わなければ止まってしまいます。本書は、その現実を過度に悲観するのではなく、「制度」「契約」「意思表示」という手段を使えば、コントロール可能であることを示しています。
終活を「死の準備」と捉えるのではなく、「自分の人生を最後まで自分で運転するための設計」と捉え直すこと。それが本書の根底にある目的です。
人気の理由と魅力
本書が多くの読者に支持されている理由の一つは、マンガという形式を通じて、終活への心理的ハードルを大きく下げている点にあります。文章だけの専門書では、最初の数ページで読む気を失ってしまう人でも、物語として自然に読み進められる構成になっています。
さらに、家族がいることを前提にしない設計も大きな魅力です。配偶者や子どもがいない場合、従来の終活本では「ここは当てはまらない」と読み飛ばす部分が多くなりがちでした。本書では最初から「おひとりさま」を主語に据えているため、読者は自分の状況を無理に置き換える必要がありません。
現代的なテーマをきちんと扱っている点も見逃せません。特にデジタル遺産やペットの問題は、従来の終活では軽視されがちでしたが、実際にはトラブルになりやすい分野です。本書は、そうした「後回しにされやすいけれど、放置すると困る問題」にも光を当てています。
そして何より、「読んで終わり」にならない点が、多くの読者の背中を押しています。不安を煽るのではなく、「これなら自分にもできそうだ」と思える着地点を用意しているため、読み終えた後に具体的な行動を考えやすいのです。
人気の理由は、答えを押し付けないことにあります。
判断材料を渡し、選ぶのは読者自身、という距離感が心地よいのです。
本の内容(目次)

この書籍は、「老い」や「死」を一気に考えさせるのではなく、不安が生まれる順番に沿って整理していく構成になっています。いきなり相続やお墓の話に入るのではなく、「そもそも何が心配なのか」を明確にし、次に「誰に・何を頼れるのか」を確認し、最後に「残って困るもの」を片づけていく流れです。
章立ては以下の6つで、人生の後半から最期までを一つのストーリーとして追える設計になっています。
- 第1章 後始末、はじめの1歩
- 第2章 頼れるのは誰ですか?
- 第3章 死んだ後、私はどこに行くの?
- 第4章 私の財産どうしよう?
- 第5章 いつまで自宅にいられますか?
- 第6章 残したままでは死にきれない
これらの章を通して、「終活=死の準備」ではなく、「困らない人生の設計図」を作ることが本書の狙いであることが見えてきます。
第1章 後始末、はじめの1歩
この章では、「後始末」という言葉に対して感じる漠然とした不安を、そのまま出発点にしています。おひとりさまの終活は、特別な知識や大きな決断から始めるものではなく、「今の生活の中で、何が気がかりなのか」に目を向けることが大切だと伝えています。老いと死を意識した瞬間に浮かぶモヤモヤを、無理に押し込めず、まずは正直に向き合う姿勢が描かれています。
日々の暮らしがそこそこ楽しく回っていると、終活はつい後回しになりがちです。しかし、病気やケガ、急な入院などは、準備ができていない状態で突然やってきます。この章では、そうした「ある日いきなり困る状況」を想像しながら、不安を一つずつ言葉にして整理していく流れが示されています。不安をまとめて抱えるのではなく、分解することで現実的な問題として捉え直せることが分かります。
また、おひとりさま特有の困り事が具体的に描かれることで、「これは自分にも起こり得る」と自然に実感できる構成になっています。終活の第一歩は、何かを決めることではなく、自分の状況を把握することなのだと、やさしく教えてくれる章です。
第2章 頼れるのは誰ですか?
この章では、「ひとりで生きている=すべて自分で何とかしなければならない」という思い込みに目を向けています。おひとりさまが老後や死後を考えたときに感じやすいのが、「頼れる人がいないのではないか」という不安です。ここでは、その不安を感情論で終わらせず、現実的な選択肢として整理していきます。
人に頼ると聞くと、身内や親しい友人を思い浮かべがちですが、この章ではそれだけに限らない考え方が示されています。行政の窓口や公的な支援、専門家の力、お金の仕組みなど、生活を支える手段は複数あるという視点が提示されます。誰か一人にすべてを任せるのではなく、内容ごとに役割を分けることで、負担や不安を分散できることが伝えられています。
また、「頼ること」に対する心理的な抵抗にも触れられています。迷惑をかけたくない、弱く見られたくないという気持ちがあっても、制度や仕組みを使うことは特別なことではありません。この章は、ひとりで生きる人が安心して暮らすための土台を整える内容になっています。
第3章 死んだ後、私はどこに行くの?
この章では、亡くなった後のこと、特に葬儀やお墓について考えていきます。死後の話題は避けられがちですが、何も決めていない場合に起こり得る混乱を、現実的な視点で描いています。おひとりさまの場合、意思を示していなければ、周囲が判断に迷ってしまう場面が多くなります。
葬儀の形やお墓の在り方には、さまざまな選択肢がありますが、重要なのは「何を選ぶか」よりも「どう伝えておくか」です。この章では、葬儀や埋葬を事前に考えることが、決して縁起の悪い行為ではなく、むしろ現実的で思いやりのある行動であることが伝えられています。
自分の希望を誰かに託しておくことで、死後の手続きがスムーズになり、周囲の負担を減らすことができます。この章は、死後の準備が自分自身の安心だけでなく、残る人への配慮でもあることを、静かに理解させてくれる内容です。
第4章 私の財産どうしよう?
この章では、財産と相続について取り上げています。おひとりさまの場合、「誰が引き継ぐのか」という問いが避けて通れません。財産が多いか少ないかではなく、何も決めていない状態が問題を生むことが、分かりやすく描かれています。
自分が亡くなった後、財産がどのように扱われるかは、法律のルールによって自動的に決まってしまいます。しかし、それが必ずしも本人の望む形になるとは限りません。この章では、意思を文書として残すことの重要性が、生活に即した視点で説明されています。
特に、おひとりさまが大切にしているパートナーや友人に何かを託したい場合、はっきりとした形で意思を示しておかなければ、その思いは実現しません。この章は、お金の話を通して、「自分の意思をどう残すか」を考えさせる内容になっています。
第5章 いつまで自宅にいられますか?
この章では、老後の暮らし方、特に住まいと医療について考えます。「いつまで自宅にいられるのか」という問いは、老いを意識したときに多くの人が感じる現実的な不安です。ここでは、その不安を悲観的に捉えるのではなく、選択肢として整理していきます。
元気なうちは自宅で暮らし、必要に応じて支援を受け、状況が変われば別の形を選ぶ。こうした段階的な考え方が示され、住まいと医療を切り離さずに考える視点が伝えられています。施設や在宅医療についても、追い込まれてから決めるものではなく、知っておくことで安心につながる存在として描かれています。
この章は、老後の生活を「我慢」や「諦め」として描くのではなく、自分に合った形を選び続けるプロセスとして捉え直させてくれます。
第6章 残したままでは死にきれない
最終章では、ペットとデジタル遺産という、現代のおひとりさまにとって切実なテーマが扱われます。どちらも日常に深く関わっているにもかかわらず、後回しにされやすい問題です。この章では、「自分がいなくなった後に何が残るのか」という視点から、責任について考えていきます。
ペットは命ある存在であり、簡単に引き継げるものではありません。また、スマートフォンやネット上の情報は、持ち主がいなくなると周囲が手を出せなくなるケースが多くあります。これらは、残された人を困らせてしまう代表的な問題です。
この章では、そうした気がかりを放置せず、行き先を考えておくことで、最期を穏やかに迎えられるという考え方が示されています。終活の締めくくりとして、「最後まで責任を持つ」という姿勢を読者に問いかける内容です。
対象読者

この本は、「終活に興味はあるけれど、何から考えればいいのか分からない」という人に向けて書かれています。特別な知識や経験がなくても、自分の状況に当てはめながら読めるよう構成されているため、老後や死後のことを考え始めたばかりの初心者でも無理なく理解できます。
とくに次のような立場や不安を抱えている人にとって、本書は具体的なヒントを与えてくれる一冊です。
- ひとり暮らしで、病気や入院が不安な人
- 親族に頼りにくく、死後の手続きが心配な人
- お墓・葬儀を“どうするか決められない”人
- 住まい(持ち家・賃貸)や施設選びを考え始めた人
- ペットやデジタル(スマホ・口座・サブスク)を残すのが怖い人
ここからは、それぞれの読者像について、「なぜこの本が役立つのか」を具体的に説明していきます。
ひとり暮らしで、病気や入院が不安な人
ひとりで生活していると、体調を崩したときの不安は避けて通れません。入院が必要になった場合、誰が連絡を受けるのか、手続きや判断を誰に託すのかといった問題が一気に現実になります。本書は、こうした状況を「特別な不幸」ではなく、誰にでも起こり得る生活上の出来事として描いています。そのため、漠然とした恐怖ではなく、現実的な備えとして読み進めることができます。
また、病気や入院そのものよりも、「そのとき自分はどう動けなくなるのか」「周囲は何に困るのか」に焦点を当てている点が、本書の大きな特徴です。医療知識がなくても理解できる形で、暮らしの延長として考えられるため、終活初心者にとって無理のない入り口になります。
親族に頼りにくく、死後の手続きが心配な人
家族や親族がいても距離があったり、頼りづらい関係だったりすると、亡くなった後のことを考えるだけで不安が膨らみます。本書は、「誰かに無理に頼る」前提ではなく、死後に必要な事務や段取りをどう整えておくかという視点で構成されています。そのため、人間関係に悩みを抱えている人ほど、自分の状況に当てはめやすい内容になっています。
死後の手続きは感情ではなく、役割の問題です。本書では、身内に限らず、制度や仕組みを使うことで対応できる可能性が示されており、「親族に頼れない=何もできない」という思い込みを和らげてくれます。自分の意思をどう残すかを考えるための土台として、非常にふさわしい一冊です。
お墓・葬儀を「どうするか決められない」人
お墓や葬儀について決められない理由の多くは、「選択肢が多すぎること」と「考えること自体への抵抗感」です。本書は、いきなり結論を出すことを求めず、なぜ迷ってしまうのかという気持ちに寄り添いながら話が進みます。そのため、決められない自分を責めることなく、考え始めることができます。
また、本書では形式や正解を押し付けるのではなく、「自分の希望を誰かに伝えておくこと」が大切だと繰り返し示されています。決断の重さを和らげながら、準備の必要性を理解できるため、先延ばしにしてきた人にこそ適した内容です。
住まい(持ち家・賃貸)や施設選びを考え始めた人
今の住まいでいつまで暮らせるのか、将来施設に入る可能性はあるのかと考え始めた人にとって、本書は視野を広げてくれる存在です。老後の住まいを二択で捉えず、段階的に考える視点が示されているため、「まだ決めきれない」段階でも無理なく読み進められます。
住まいや施設の話は、将来の衰えを意識させるため敬遠されがちですが、本書では生活の延長として自然に描かれています。選択肢を知ること自体が安心につながる構成になっており、考え始めたばかりの人にとって最適なガイドになります。
ペットやデジタル(スマホ・口座・サブスク)を残すのが怖い人
ペットやデジタル情報は、現代のおひとりさまにとって切実な心配事です。自分に何かあったとき、世話をする人がいない、情報に誰も触れられないという状況は、現実に起こり得ます。本書は、こうした不安を「特別な悩み」とせず、多くの人が直面する問題として丁寧に扱っています。
特に、命ある存在や見えない情報を残すことへの責任について、重くなりすぎない形で向き合える点が本書の魅力です。怖いから考えないのではなく、考えることで安心できるという流れがあり、後回しにしてきた人ほど、その価値を実感しやすい内容になっています。
本の感想・レビュー

終活の不安が整理される
正直に言うと、私は「終活」という言葉そのものが苦手でした。考えなければいけない気はするけれど、どこから手を付ければいいのか分からず、気づかないふりをしてきた一人です。この本を読み始めたときも、重たい気持ちになるのではと身構えていました。
ところが読み進めるうちに、不安が少しずつ形を変えていくのを感じました。老い、病気、死後のことが一括りに語られるのではなく、段階を追って整理されていくので、「怖い」という感情が「なるほど、そういう順番なのか」という理解に変わっていきます。不安を無理に消そうとしない姿勢が、かえって安心感につながりました。
読み終えたあと、すべてが解決したわけではありません。それでも、頭の中で絡まっていた心配事がほどけ、「これは今考えること」「これは少し先でいいこと」と分けて考えられるようになったのは大きな変化でした。終活が、漠然とした恐怖ではなく、整理できるテーマに変わった感覚があります。
おひとりさま目線がリアル
この本を読んで一番強く共感したのは、「おひとりさま」という立場が前提になっている点でした。家族がいることを当然としない語り口なので、読みながら置いていかれる感じがありません。自分の生活と重ね合わせながら読めたのが、とてもありがたかったです。
自由で気ままな暮らしを楽しみつつも、ふとした瞬間に不安になる心の動きが丁寧に描かれていて、「自分だけじゃないんだ」と思えました。おひとりさまであることを否定も美化もせず、そのままの状態として扱っているところに、誠実さを感じます。
誰かが代わりに決めてくれる前提がないからこそ、考えなければならないことが見えてくる。その現実を、過度に悲観せず淡々と示している点が印象に残りました。おひとりさまの人生を、現実的に肯定してくれる一冊だと思います。
漫画だから理解しやすい
私は活字だけの終活本を途中で閉じてしまった経験があります。内容が難しい以前に、気持ちがついていかなかったからです。その点、この本は漫画という形を取っていることで、心のハードルがぐっと下がりました。
登場人物の表情や間の取り方によって、言葉だけでは伝わりにくい戸惑いや迷いが自然に伝わってきます。難しい話題に差しかかっても、感情の流れがあるおかげで、置いていかれる感覚がありませんでした。
理解できたというより、「一緒に考えた」という感覚に近いかもしれません。終活の話題を、最後まで読み切れたこと自体が、この漫画形式の力だと感じています。
葬儀・お墓の選択肢が広がる
葬儀やお墓について、私は長い間「考えても仕方がないこと」だと思っていました。特に具体的な希望もなく、何となく流れに任せればいいと考えていたのだと思います。この本を読んで、その考え方が少し変わりました。
一つの形が当たり前ではないこと、そして何も決めないままでいることにも意味があることが、静かに伝わってきます。決断を迫られるのではなく、選択肢が並べられている感覚なので、読みながら自分の気持ちを確認することができました。
読後も、すぐに答えが出たわけではありません。それでも、「いつか考えればいい」ではなく、「考えるタイミングが来ている」という意識に変わったのは確かです。葬儀やお墓の話を、少し現実のものとして受け止められるようになりました。
相続の重要性に気づける
これまで相続という言葉は、財産が多い人の話だと思っていました。自分には関係ない、とどこかで距離を置いていたのが正直なところです。でもこの本を読んで、相続は金額の問題ではなく、「どう引き継がれるか」という仕組みの話なのだと受け止め直しました。
おひとりさまの場合、自分が何も意思を示さなければ、物事は自動的に決まっていく。その事実が、淡々と描かれているのが印象的でした。怖がらせる表現ではなく、現実として提示されているからこそ、素直に考えられたのだと思います。
読後には、「残すほどのものはない」という言い訳が通用しない気がしました。相続は誰かのためでもあり、自分の人生の締めくくり方でもある。その視点に気づけただけでも、この章を読んだ価値は大きかったです。
住まいと介護を前向きに考えられる
年齢を重ねるにつれて、今の暮らしがいつまで続くのかという問いが、少しずつ現実味を帯びてきました。それでも、住まいや介護の話は後回しにしがちで、考えるほど気持ちが沈んでいたのが本音です。
この本では、住まいの選択や介護の話が「諦め」ではなく、「考え直す機会」として描かれています。そのため、読んでいて暗くなりすぎることがありませんでした。今の自分の延長線上として、自然に想像できたのが印象に残っています。
将来の選択肢を知ることは、不安を増やすのではなく、安心を積み重ねることなのだと感じました。住まいと介護を、前向きに考えてもいいテーマだと思えるようになったのは、この本のおかげです。
デジタル遺品の盲点を知れる
正直なところ、デジタルの話は最初あまりピンときていませんでした。でも読み進めるうちに、今の生活がどれだけデジタルに支えられているかを改めて意識させられました。目に見えないからこそ、後回しにされやすい問題なのだと思います。
この本では、難しい技術の話に踏み込むのではなく、「知らないと困る」という視点で描かれています。そのため、身構えることなく読み進めることができました。自分の生活を振り返るきっかけにもなりました。
デジタル遺品は新しい問題ですが、だからこそ考える価値があるテーマだと感じました。終活が過去の慣習ではなく、今の時代に合わせて変わってきていることを実感しました。
ペット問題に向き合える
ペットの話は、読んでいて胸が詰まる部分でもありました。大切にしている存在だからこそ、考えたくない気持ちがあったのだと思います。でも、この本はその感情から目をそらさず、静かに向き合わせてきます。
感情論だけで終わらせず、「どうすれば気がかりを減らせるのか」という視点で描かれているので、読みながら自分の考えを整理することができました。悲しさや後ろめたさではなく、責任として受け止められたのが大きな違いです。
ペットの未来を考えることは、自分の最期を考えることと切り離せない。その現実を、押しつけがましくなく伝えてくれる点に、この本の誠実さを感じました。
まとめ

ここまで紹介してきたとおり、本書は「おひとりさま」が老いと死に直面したときに感じやすい不安を、感情論ではなく現実的な視点で整理してくれる一冊です。終活という言葉に身構えてしまう人でも、生活の延長として自然に読み進められる構成になっています。
ここでは、読み終えたときに何が得られるのか、そして次に何をすればいいのかを整理します。
- この本を読んで得られるメリット
- 読後の次のステップ
- 総括
これらを確認することで、本書を「読んで終わり」にせず、自分の人生にどう活かせるかが見えてきます。
この本を読んで得られるメリット
ここでは、読み進めることで具体的にどのような変化や気づきが得られるのかを、メリットごとに整理して紹介します。
不安を漠然とした恐怖のまま抱えなくてよくなる
本書を読むことで最初に得られるのは、「よく分からないから怖い」という状態から抜け出せることです。老後や死後に関する不安は、内容が曖昧なほど大きく感じられます。本書では、不安の正体を生活の場面ごとに切り分けていくため、自分が何に困りそうなのかを冷静に把握できるようになります。不安を言語化できるようになるだけで、心理的な負担は大きく軽減されます。
終活を特別な作業ではなく生活の延長として捉えられる
終活という言葉に対して、「重たい」「縁起が悪い」というイメージを持っている人も多いはずです。本書では、終活を人生の最終準備として切り離すのではなく、今の暮らしを見直す延長線上の行動として描いています。そのため、構えすぎることなく、「自分にも関係のある話」として自然に読み進めることができます。
おひとりさま特有の悩みに前提から寄り添ってもらえる
多くの終活本は、配偶者や子どもがいることを暗黙の前提にしています。しかし本書は最初から「おひとりさま」を主語に据えているため、読み替えや無理な当てはめが必要ありません。身内に頼りにくい、独居である、判断を一人で下す必要があるといった現実を前提にして話が進むため、安心して自分の状況に重ねられます。
専門的な話を現実の行動に結びつけられる
葬儀やお墓、相続、住まい、医療、デジタル情報などは、言葉だけを見ると難しく感じがちです。本書では、それぞれのテーマが「どんな場面で問題になるのか」「何を決めていないと困るのか」という形で説明されるため、知識が行動に結びつきやすくなっています。理解するだけで終わらず、「自分はどうするか」を考えられる点が大きなメリットです。
老後や死後を前向きに考えられるようになる
最終的に得られる最大のメリットは、老いと死を必要以上に恐れなくなることです。備えが見えてくることで、不安は安心へと変わり、「これからの時間をどう過ごすか」に意識を向けられるようになります。終活を通じて、今の人生をより大切に感じられるようになる点も、本書ならではの価値です。
読後の次のステップ
本書を読み終えたとき、多くの人が感じるのは「少し安心した」という気持ちと同時に、「じゃあ、自分は何をすればいいのだろう?」という次の疑問です。ここから先は、大きな決断や難しい手続きを急ぐ必要はありません。読後のステップは、生活の延長線上で無理なく進めることが大切です。
本書で得た気づきを、現実の行動へと静かにつなげていくための道筋を整理します。
step
1自分の不安を書き出して優先順位をつける
最初に取り組みたいのは、頭の中に残った不安を紙やメモアプリに書き出すことです。病気のこと、住まいのこと、死後の手続き、ペットやデジタル情報など、気になったテーマをそのまま並べるだけで構いません。書き出してみると、「今すぐ考えたいこと」と「少し先でいいこと」が自然に分かれてきます。優先順位が見えると、次の行動が取りやすくなります。
step
2エンディングノートや情報メモに手をつける
不安の整理ができたら、次は情報を残す準備です。正式な書類を作る必要はなく、エンディングノートやノート、スマホのメモでも十分です。自分の基本情報、連絡先、気になっている希望を書き留めておくだけで、思考は一段階進みます。書く行為そのものが、考えを具体化する助けになります。
step
3住まいや老後の暮らしを現実的に想像する
自分が年を重ねたときの生活を、少し具体的に想像してみるのも大切なステップです。今の住まいでどこまで暮らせそうか、体調が変わったらどんな選択肢がありそうかを考えることで、将来像が輪郭を持ち始めます。想像するだけでも、漠然とした恐怖は現実的な検討事項へと変わります。
step
4定期的に考え直す習慣を持つ
終活は一度やって終わりではありません。生活や考え方が変われば、優先順位も変わります。本書をきっかけに、「定期的に見直す」という習慣を持つことが、最も現実的な次のステップです。完璧を目指さず、更新し続ける姿勢が、安心感を長く支えてくれます。
総括
本書は、「おひとりさま」として生きる人が感じやすい老後や死後への不安を、現実的で無理のない形に整えてくれる一冊です。終活という言葉に対して身構えてしまう人でも、生活の延長として読み進められる構成になっており、「知らないから怖い」という状態から抜け出すきっかけを与えてくれます。
特徴的なのは、終活を特別な準備や覚悟の問題として扱わず、日々の暮らしの延長線上で考えさせてくれる点です。葬儀やお墓、財産、住まい、ペット、デジタル情報といったテーマが、自分事として自然につながり、「いつか考えればいい話」ではなく「今の自分にも関係のある話」として腑に落ちていきます。
また、本書は「ひとりで生きること」を前提にしているからこそ、多くの終活本では拾いきれなかった不安に丁寧に向き合っています。家族に頼れない、判断を自分でしなければならないという現実を否定せず、その上でどう備えるかを示している点が、読者に安心感を与えます。
老いと死は避けられないテーマですが、備え方次第で不安の重さは大きく変わります。
本書は、完璧な準備を求めるのではなく、「気がかりを減らしながら、今を楽しむ」という現実的なゴールを示してくれます。
おひとりさまが最期まで自分らしく生きるための、心強い指針となる一冊です。
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