
高齢者の発熱や体調変化、薬、看取りの判断を前に、介護者は「どこまで様子を見るか」「いつ医療につなぐか」で迷いやすいものです。『完全図解 介護に必要な 医療と薬の全知識』は、その迷いを介護の現場目線で整理し、観察・相談・連携に使うための図解本です。
この記事では、内容の流れ、読んで印象に残った論点、実践への活かし方、注意点までを一冊の書評として整理します。読み進めることで、この本が自分の介護現場や家族介護の不安に合うか、購入前に判断しやすくなるはずです。
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結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと
『完全図解 介護に必要な 医療と薬の全知識』は、介護者が高齢者の体調変化、病気、薬、看取りについて、医療職と連携するための判断材料を持つ本です。医療者の代わりに判断するためではなく、日々の観察をどう整理し、どの場面で医療につなげるかを学ぶ本として読むと、役割がはっきりします。
向いている人
向いているのは、介護施設で働き始めた人、夜勤や急変対応に不安がある人、在宅で高齢の家族を支えている人です。特に、発熱や脱水、嘔吐・下痢、意識障害、便秘、不眠、体の痛みなどを前にして、「様子を見るべきか」「受診につなげるべきか」で迷いやすい人には役立ちます。
また、認知症、誤嚥性肺炎、慢性心不全、糖尿病、慢性腎臓病など、高齢者介護で出会いやすい病気の基礎を押さえたい人にも合っています。薬のリスクや減薬、終末期の入院・延命・看取りまで扱っているため、介護の入口だけでなく、これから先に起こりうる判断にも備えたい人向けです。
向いていない人
一方で、医師や薬剤師向けの専門的な治療法や薬理を詳しく学びたい人には、やや物足りない可能性があります。タイトルに「全知識」とありますが、医学全般を網羅する専門書というより、介護者が現場で使いやすい形に整理された高齢者医療の実用書です。
また、「この症状なら必ずこうする」といった即断マニュアルを求める人にも、少し期待と違うかもしれません。救急車を呼ぶかどうか、薬をどうするか、延命をどう考えるかといったテーマは、自己判断で完結させるものではなく、医師・看護師・薬剤師と相談するための視点として読む必要があります。
先に結論(買う価値はある?)
介護の現場や在宅介護で、高齢者の体調変化、薬、受診判断、看取りに不安があるなら、読む価値はあります。理由は、本書が病気の説明だけで終わらず、生活づくり、予防、よくあるトラブル、重大疾患、薬、終末期までを、介護者の実務導線に沿って整理しているからです。
特に大事なのは、医療を介護の外側にある難しいものとして遠ざけるのではなく、本人の生活と尊厳を支えるために使う知識として捉えている点です。迷いを完全になくす本というより、迷ったときに立ち戻る判断軸を持つための一冊として手元に置くと役立ちます。
要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ
第一のポイントは、高齢者の体調変化は「病名」だけでなく、普段との違いから見る必要があるということです。本書は序盤で、高齢者は自覚症状が乏しかったり、意識レベルが変動しやすかったり、複数の病気を抱えやすかったりすることを整理します。そのため、発熱や脱水、嘔吐、意識障害といった変化も、単に症状名で判断するのではなく、いつもと何が違うのかを観察する姿勢が重要になります。
第二のポイントは、医療の話でありながら、生活づくりと日常ケアが大きな柱になっていることです。水分、食事、歩行、生活リズム、過度な安静を避けること、口腔ケア、感染症予防、転倒防止など、病気になる前の関わりが丁寧に扱われます。つまり本書は、体調を崩してから読むだけの本ではなく、日々の介護の中で病気や事故を防ぐための視点を整える本でもあります。
第三のポイントは、薬と終末期まで扱っていることです。高齢者への薬物療法、薬の有害事象、減薬、慎重に使うべき薬に加えて、終末期の入院、延命治療、胃瘻、在宅療養、施設での看取りまで話が進みます。介護者が迷いやすい場面を、体調不良への対応だけで終わらせず、薬との付き合い方や人生の最終段階の判断までつなげているのが特徴です。
著者が一番伝えたいこと
本書全体を貫いているのは、介護者が医療者の代わりになる必要はないが、医療の基礎知識を持つことは介護の質を高める、という考え方です。医療と介護の連携が必要だと言われながらも、現場ではまだ距離がある。その距離を縮めるために、介護者が高齢者の変化を観察し、必要な情報を整理し、医療職と話せる共通言語を持つことが大切だと伝えています。
もう一つ大事なのは、医療知識を「病気を治すため」だけに使わない姿勢です。本書では、高齢者の生活や尊厳を支えるために、医療をどう使うかが中心に置かれています。病気をなくすことだけを目標にするのではなく、病気とどうつき合うか、本人がどう暮らしたいか、どこをゴールにするかまで考える。その意味で、本書は医療の知識を介護の現場に引き寄せるための本だと言えます。
読むと得られること
読むと得られるのは、介護者が高齢者の変化を前にしたときの「見方」です。発熱や脱水、嘔吐、意識障害などが起きたときに、ただ不安になるのではなく、何を観察し、何を記録し、どのように医療職へつなげるかを考える土台ができます。受診や救急判断を自分だけで完結させるためではなく、相談や連携の質を上げるための知識が身につきます。
また、薬に対する見方も変わります。薬は役に立つ一方で、高齢者には有害事象や効きすぎのリスクもあるため、飲んでいる薬をただ受け身で見るのではなく、疑問点を医師や薬剤師に相談する視点を持てます。減薬についても、自己判断でやめる話ではなく、専門職と話し合うためのテーマとして整理されています。
さらに、看取りや延命の判断を早めに考えるきっかけにもなります。終末期の入院、胃瘻、在宅での看取り、介護施設での看取りまで扱っているため、急に選択を迫られる前に、本人の希望や家族の考えをどう共有するかを意識しやすくなります。読み終えると、医療に詳しくなるというより、介護の中で医療を正しく恐れ、正しく使うための視点が残る本です。
内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)
本書は、高齢者医療の知識をいきなり病名や薬の解説から始めるのではなく、まず「高齢者を見るときの基本姿勢」を置いてから、生活、予防、体調不良、疾患、薬、終末期へと進んでいきます。読者を専門知識の暗記へ向かわせるというより、介護の現場で何を見て、何を判断材料にし、どこで医療につなげるかを段階的に整理していく構成です。
流れとしては、前半で高齢者の体の特徴と日々の生活づくりを押さえ、中盤で発熱や脱水、嘔吐、意識障害などの不調と、認知症や慢性心不全、糖尿病などの疾患理解へ進みます。後半では、薬のリスクや減薬、終末期の入院・延命・看取りに移るため、介護者が実際に迷いやすい場面を生活の入り口から人生の最終段階までつないで読めます。
大見出し目次(短い目次)
- 序章 これだけは知っておきたい医療のポイント
- 第1章 高齢者の体と病気の特徴
- 第2章 病気にならない生活づくり
- 第3章 日常的な医療的ケアと予防
- 第4章 よく起こる症状への対応法
- 第5章 重大な疾患へのアセスメント
- 第6章 高齢者への薬物療法と減薬
- 第7章 終末期の入院や延命の判断
各章の要点
序章は、本書全体の判断軸をつくる入口です。高齢者医療を、治療だけでなく生活を支える知識として扱う姿勢が示されます。
第1章では、高齢者の体調変化を若い人と同じ感覚で見ないための基礎を学びます。自覚症状の出にくさ、意識の変動、複数の病気や薬の影響など、後の章を読む前提になります。
第2章は、医療の話を生活から考える章です。水分、食事、歩行、生活リズム、過度な安静を避けることなど、病気になる前に整えたい視点が中心になります。
第3章では、日常ケアと医療的な関わりがつながります。バイタルサイン、服薬介助、口腔ケア、感染症予防、転倒防止など、現場で毎日関わる内容が整理されています。
第4章は、発熱や脱水、嘔吐、けいれん、骨折、意識障害など、介護者が判断に迷いやすい場面を扱います。日常の観察から医療相談へ橋渡しする章です。
第5章では、認知症、がん、慢性心不全、COPD、誤嚥性肺炎、糖尿病、慢性腎臓病など、高齢者介護で接点の多い疾患をまとめて理解できます。個別の病名を、介護の視点で捉え直す章です。
第6章は、薬への不安を整理する章です。有害事象、減薬、慎重に使うべき薬、睡眠薬や便秘薬、抗認知症薬など、介護者が医師や薬剤師に相談するときの前提を持ちやすくなります。
第7章は、終末期の判断を扱います。入院、延命治療、胃瘻、在宅療養、施設での看取りなど、医療だけでは決めにくいテーマを、本人の希望や生活の場と結びつけて考える流れになります。
忙しい人が先に読むならここ
先に読むなら、まず序章を押さえるのがよいと思います。ここで「普段との違いを見る」「水分と歩行を重視する」「薬のリスクを知る」「ゴールを見定める」といった考え方をつかむと、後の章が単なる知識の羅列ではなく、介護の判断軸として読めるようになります。
次に読むなら第4章です。発熱、脱水、嘔吐、意識障害などは、介護施設でも在宅介護でも不安が大きくなりやすいテーマです。救急車を呼ぶか、様子を見るか、医療者に何を伝えるかを考える前提として役立ちます。
薬に不安がある人は、第6章を早めに読む価値があります。高齢者は薬の影響を受けやすく、睡眠薬、便秘薬、鎮痛薬、抗認知症薬などは介護者側も気になりやすい領域です。自分で判断するためではなく、医師や薬剤師に相談する材料を持つための章として読めます。
看取りや延命のことが気になっているなら、第7章も優先度が高いです。本書の流れは、生活の維持から体調不良、薬、終末期へと進むため、最後の章まで読むことで「医療を介護の中でどう使うか」という全体像が見えやすくなります。
感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント
いちばん印象に残ったのは、この本が医療知識を介護者に背負わせる本ではなく、医療と介護をつなぐための本として組み立てられていることです。高齢者の病気や薬を説明するだけなら、もっと疾患別・薬剤別に並べる構成にもできたはずですが、本書はまず高齢者医療の見方を置き、そこから生活づくり、予防、体調不良、重大疾患、薬、終末期へと進んでいきます。
その流れの中で特に残ったのは、介護者が見るべきものを「病名」だけにしない姿勢です。水分や歩行、日々の生活リズム、普段との違い、薬のリスク、最終的にどこを目指すのかといった視点が、全体の土台になっています。読んでいて、医療を介護の外側にある難しいものとして遠ざけるのではなく、本人の生活を支えるために使う知識として捉え直す本だと感じました。
もう一つ印象的だったのは、医療の知識を「治す」ためだけに使わないという考え方です。病気や障害があっても、その人の持っている力を生活に生かす。そのために医療の知識を介護の側で応用する、という考えが本書全体に通っています。薬や疾患の章も、単なる暗記項目ではなく、本人の尊厳や暮らしと結びついた知識として読めました。
すぐ試したくなったこと
読んでまず試したくなったのは、利用者や家族の普段の状態を、もっと意識して見ておくことです。体温や症状だけを見るのではなく、いつもと何が違うのかを説明できるようにする。その視点があるだけで、体調変化に直面したときの不安や迷い方が変わりそうだと思いました。
また、薬についても、ただ飲めているかを確認するだけでなく、副作用や有害事象、減薬の考え方を知ったうえで医師や薬剤師に相談する姿勢を持ちたいと感じました。高齢者は薬の影響を受けやすいという前提があるからこそ、介護者側が勝手に判断するのではなく、疑問を言葉にできる状態をつくることが大切だと受け取りました。
生活づくりの章も、すぐに見直したくなる部分です。水分、食事、歩行、生活リズム、過度な安静を避けることなど、医療以前の日常が大きく扱われているため、病気になってから慌てるのではなく、普段の介護そのものが予防につながると考えやすくなります。
読んで気になった点
気になった点を挙げるなら、タイトルの受け取り方には注意が必要だと思います。「医療と薬の全知識」という言葉から、専門職向けの詳しい診断法や薬理まで網羅した本を期待すると、少し違って感じるかもしれません。本書の中心は、介護職や家族介護者が高齢者医療の基本を現場で使える形に整理することにあります。
もう一つは、扱う範囲がかなり広いことです。高齢者の体の特徴から、脱水や発熱、認知症や糖尿病、薬物療法、終末期の入院や延命、看取りまで進むため、一つひとつを深く掘り下げる専門書というより、介護者が全体像をつかむための入口として読む本です。幅広く見渡せることは強みですが、特定の病気や薬を詳しく調べたい人は、別の専門資料も必要になると思います。
それでも、その広さには意味があります。介護の現場では、体調不良、薬、生活、看取りが別々に起こるわけではありません。本書はそれらをつなげて考えるための本なので、細部の専門性を期待しすぎず、迷ったときに立ち戻る判断軸を得る本として読むのが合っていると感じました。
実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること
本書は、読んだ内容をそのまま医療判断に置き換えるための本ではありません。まずは、介護の現場や家庭で「普段との違い」に気づき、医療者へ相談しやすくするための小さな行動に落とし込むのが現実的です。
- 利用者や家族の普段の食事量、水分量、歩き方、表情の変化を意識して見る。
- 体調不良が起きたとき、症状名だけでなく「いつもと何が違うか」を言葉にする。
- 発熱、脱水、嘔吐、意識障害など、不安になりやすい項目を先に確認しておく。
- 服薬介助では、飲めたかだけでなく、眠気やふらつきなど気になる変化も見る。
- 水分、食事、歩行、生活リズムを、病気予防の視点で見直してみる。
- 口腔ケア、感染症予防、転倒防止など、日常ケアの基本を一つずつ確認する。
- 薬について疑問が出たら、自己判断せず医師や薬剤師に聞ける形でメモする。
- 看取りや延命について、本人の希望や生活の場を考える必要があると意識しておく。
最初から全部を変えようとしなくても十分です。まずは「普段の状態を知る」「変化を言葉にする」の2つから始めると、本書の考え方を日常に移しやすくなります。
1週間で試すならこうする
Day1は、序章にあたる考え方を自分の介護場面に引き寄せて読む日です。水分、歩行、普段との違い、薬のリスク、ゴール設定という視点を、今関わっている人に当てはめて考えてみます。
Day2は、高齢者の体と病気の特徴を確認します。自覚症状が乏しいことや、意識の変化、複数の病気や薬の影響を前提に、若い人と同じ感覚で見ない意識を持ちます。
Day3は、生活づくりを見直します。水分、食事、生活リズム、歩行、過度な安静を避けることなど、病気になる前に整えられる部分を一つ選びます。
Day4は、日常ケアと予防を確認する日です。バイタルサイン、服薬介助、口腔ケア、感染症予防、転倒防止の中から、今の介護で気になる項目を読み直します。
Day5は、体調不良への対応を重点的に見ます。発熱、脱水、嘔吐、意識障害など、実際に起こると慌てやすいテーマを先に押さえておきます。
Day6は、薬の章を読み、疑問点を整理します。薬を変えるためではなく、医師や薬剤師に相談しやすくするために、不安や変化を書き出します。
Day7は、終末期や看取りの章に触れます。すぐに結論を出すためではなく、本人の希望、在宅や施設、入院、延命の選択をどう考えるかの入口として読みます。
つまずきやすい点と対策
まずつまずきやすいのは、「普段との違いを見る」を実践しようとして、何でも異常として受け止めてしまうことです。小さな変化に気づくことは大切ですが、すぐに大きな判断へ飛びつくと不安が増えます。最初は、食事量、水分量、歩行、表情など、毎日見やすい項目を2〜3個に絞って観察すると続けやすくなります。
次に起こりやすいのは、薬の章を読んで、薬そのものを怖がりすぎてしまうことです。本書が伝えているのは、介護者が薬を判断することではなく、薬にはリスクがあると知ったうえで相談につなげることです。気になる眠気、ふらつき、便通の変化などをメモし、医師や薬剤師に伝える材料にするところから始めるのが安全です。
終末期や看取りの章では、入院、延命、胃瘻、在宅療養、施設での看取りといった言葉に重さを感じ、すぐに答えを出そうとしてしまうかもしれません。ここで大事なのは、結論を急ぐことではなく、本人の希望や生活の場を考える視点を持つことです。まずは家族や支援者と話す前提として、どんな選択肢があるのかを知る段階に留めても意味があります。
また、生活づくりや予防を始めるときに、あれもこれも改善しようとして続かなくなることもあります。本書は生活、予防、体調不良、薬、終末期まで広く扱うため、実践も広げすぎないほうが向いています。最初の一歩は、水分、歩行、服薬、口腔ケア、転倒防止のどれか一つに絞ると、介護の中で使う知識として定着しやすくなります。
比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理
『完全図解 介護に必要な 医療と薬の全知識』は、介護の中でも「高齢者医療」「薬」「体調変化」「看取り」に重心を置いた本です。似ている本と比べると、介護技術そのものを広く学ぶ本というより、医療とのつながり方や判断の土台を整える本として選びやすくなります。
| 本 | 重心 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 『完全図解 介護に必要な 医療と薬の全知識』 | 高齢者医療・薬・体調変化・終末期判断 | 医療判断に近い迷いを整理したい介護者 |
| 『完全図解 新しい介護 全面改訂版』 | 介護技術・介護全般の実務 | 介護そのものの基本を広く押さえたい人 |
| 『完全図解 在宅介護 実践・支援ガイド』 | 在宅介護の開始から看取りまでの支援 | 家での介護全体の流れを知りたい人 |
『完全図解 新しい介護 全面改訂版』との違い
本書は、介護の中でも医療や薬に関わる不安を扱う本です。発熱、脱水、嘔吐、意識障害、薬の有害事象、減薬、終末期の入院や延命など、介護者が「これは医療につなぐべきか」と迷いやすい場面に焦点が当たっています。一方で『完全図解 新しい介護 全面改訂版』は、医療・薬よりも介護技術や介護全般の実務に重心があります。
そのため、介護の基本動作や実務全体を押さえたい人には『完全図解 新しい介護 全面改訂版』が合います。すでに介護の現場や在宅介護に関わっていて、体調変化や服薬、看取りの判断に不安がある人には、本書のほうが目的に合いやすいです。
『完全図解 在宅介護 実践・支援ガイド』との違い
本書は、高齢者医療を介護の中でどう使うかに重心があります。生活づくりや予防も扱いますが、読みどころは、体調不良への対応、重大疾患、薬、終末期の判断までを医療との連携に結びつけている点です。一方で『完全図解 在宅介護 実践・支援ガイド』は、在宅介護の開始から看取りまでの支援ノウハウを扱う本です。
在宅介護全体の進め方や支援の流れを知りたい人には『完全図解 在宅介護 実践・支援ガイド』が向いています。家族の体調変化、薬の不安、医療者への相談、看取りの判断など、在宅介護の中でも医療寄りの悩みを深めたい人には、本書を先に読む価値があります。
迷ったらどれを選ぶべき?
- 医療や薬の不安を整理したい:『完全図解 介護に必要な 医療と薬の全知識』
- 介護技術と実務全体を押さえたい:『完全図解 新しい介護 全面改訂版』
- 在宅介護の流れを知りたい:『完全図解 在宅介護 実践・支援ガイド』
本書を選ぶべきなのは、介護の中で「病院に連絡すべきか」「薬の影響ではないか」「看取りをどう考えるか」と迷う場面がある人です。介護者が医師の代わりに判断するためではなく、普段との違いを見て、医療者に相談し、本人の生活と尊厳を支えるための知識を持ちたい人に向いています。
著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者プロフィール
長尾和宏氏は医師です。CareNeTVの講師情報では、1984年に東京医科大学を卒業し、大阪大学第二医局に入局、1995年に長尾クリニックを開業、2023年に定年退職した人物として紹介されています。本書では、三好春樹氏とともに編著者を務めています。
三好春樹氏は1950年生まれ。講談社の著者紹介では、生活とリハビリ研究所代表、理学療法士、特別養護老人ホームでの勤務経験を持つ人物として紹介されています。介護関連の講演や実技指導を多数行い、介護関連の著書・監修書も多数あります。
東田勉氏は1952年生まれ。講談社の著者紹介では、コピーライターを経てフリーライターとなり、医療・福祉・介護分野の取材や執筆を多数行っている人物として紹介されています。本書では編集協力として関わっています。
著者の経験が本書にどう活きているか
本書の特徴は、医療の知識を介護者が現場で使いやすい形に整理している点にあります。長尾氏は医師としての経験を背景に、高齢者の体調変化、病気、薬、終末期の判断といった医療側のテーマを支える立場です。高齢者医療や薬の知識を扱う本書において、医療面の土台を担う著者といえます。
三好氏の経験は、医療知識を介護の生活場面に引き寄せる部分に関わります。理学療法士としての専門性や特別養護老人ホームでの勤務経験、介護分野での講演・実技指導の実績があるため、本書の「医療を生活支援にどう活かすか」という視点とつながります。
東田氏は、医療・福祉・介護分野の取材と執筆経験を持つ編集協力者です。本書は病気、薬、予防、看取りまで幅広く扱うため、専門領域を読者向けに整理する編集面の役割も重要になります。長尾氏の医療側の視点、三好氏の介護実践側の視点、東田氏の取材・編集経験が組み合わさることで、介護者向けの高齢者医療の本として成立しています。
よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?
本の大枠を知りたい人や、購入前に自分向きか判断したい人なら、要約だけでもおおまかな役割はつかめます。介護者が高齢者医療や薬の知識を、日常観察や医療職との連携にどう活かすかを知る本だと分かれば、選ぶ判断材料にはなります。
一方で、実際の介護に役立てたい人は本文まで読んだほうがよいです。脱水、発熱、嘔吐・下痢、意識障害、服薬、看取りなど、迷いやすい場面ごとに確認したい内容が分かれているため、要約だけでは具体的な見方までは拾いきれません。
初心者でも読める?
介護施設で働き始めた人や、在宅で家族介護をしている人なら、初心者でも読み進めやすい本です。医療職向けの専門書というより、介護者が高齢者の体調変化、病気、薬、看取りを理解し、相談や連携に活かすための実用書として作られています。
ただし、扱う範囲は広めです。認知症、誤嚥性肺炎、慢性心不全、糖尿病、薬物療法、終末期の判断まで出てくるため、最初からすべてを理解しようとすると重く感じるかもしれません。まずは「高齢者の普段との違いを見る本」と捉えると入りやすくなります。
どこから読むべき?
通読するなら、最初に高齢者医療の基本姿勢を押さえてから、高齢者の体の特徴、生活づくり、予防、体調不良、重大疾患、薬、終末期へ進む流れが自然です。本書は、病気だけを切り離して説明するのではなく、生活の維持から看取りまでを続きものとして扱っています。
忙しい人は、まず序章にあたる基本姿勢を押さえたうえで、自分の悩みに近い章へ進むのが使いやすいです。体調変化に不安があるなら脱水、発熱、嘔吐、意識障害などを扱う中盤、薬が気になるなら薬物療法と減薬の章、看取りや延命が気になるなら終末期の章を先に読むと、必要な判断材料に近づけます。
読む前に注意点はある?
注意したいのは、タイトルの「全知識」を、専門職向けの診断や薬理の網羅書として受け取らないことです。本書は、介護者が医師や薬剤師の代わりに判断するための本ではありません。普段との違いに気づき、必要な情報を整理し、医療者へ相談しやすくするための基礎を整える本です。
また、悩みがすべて機械的に解決する本として読むと、期待とずれる可能性があります。発熱や救急車の判断、薬の副作用、看取りの場所などを扱っていますが、最終的な答えを一律に決めるというより、本人の状態や生活、希望を見ながら考えるための視点を与える本です。医療を怖がりすぎず、過信しすぎず、介護の中でどう使うかを考える本として読むと、内容を受け取りやすくなります。
まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと
1つ目の価値は、介護者が医療を怖がりすぎず、必要な場面で使うための視点を持てることです。高齢者の体調変化を「病名」だけで捉えるのではなく、普段との違い、水分、歩行、薬のリスク、生活のゴールと結びつけて考える流れがあります。読むことで、介護者が医師の代わりをするのではなく、観察し、整理し、相談するための土台を持ちやすくなります。
2つ目の価値は、病気・薬・終末期を、介護の生活場面から一続きで見直せることです。本書は高齢者の体の特徴から、生活づくり、予防、体調不良、重大疾患、薬物療法、看取りまでを順に扱っています。発熱や脱水、薬の副作用、延命や看取りの判断を別々の問題として抱え込まず、本人の生活と尊厳を支えるための知識として整理できます。
3つ目の価値は、迷ったときに立ち戻れる判断軸を得られることです。すべての答えを機械的に決める本ではありませんが、救急車を呼ぶべきか、様子を見るべきか、薬の疑問をどう相談するか、終末期をどう考えるかといった不安に向き合う入口になります。介護職や家族介護者にとって、医療を遠いものにせず、日々のケアの中で扱いやすくする一冊です。
この本をおすすめできる人・合わない人
おすすめできるのは、介護施設で働く人、在宅で家族を介護している人、高齢者の体調変化や薬、看取りの判断に不安がある人です。特に、発熱、脱水、嘔吐、意識障害、服薬介助、減薬、終末期の入院や延命といったテーマを、介護目線でまとめて確認したい人には向いています。
一方で、医師や薬剤師向けの専門的な診断・薬理を深く調べたい人には、期待とずれる可能性があります。「全知識」というタイトルから細かな医学専門書を想像するより、介護者が高齢者医療の基本を現場で使える形に整理する本として読むほうが合います。
読むならどう活かす?
読むなら、まず利用者や家族の普段の状態を見直すことから始めたい本です。今日できる一歩として、食事量、水分、歩行、表情、眠り方、薬を飲んだ後の変化などから、いつもと違う点を一つだけ記録してみると、本書の視点を日常に持ち込みやすくなります。
次に、気になる章を辞書のように使う読み方も向いています。体調変化が不安なら脱水や発熱の章、薬が気になるなら薬物療法と減薬の章、看取りを考え始めたなら終末期の章に戻る。そうやって読むと、医療を背負うのではなく、医療者と連携するための準備として使えます。
次に読むならこの本
- 『完全図解 新しい介護 全面改訂版』:医療や薬の判断軸を学んだあとに、介護技術や生活づくりを体系的に補える一冊
- 『その認知症ケアは大まちがい!』:認知症と薬、介護上の誤解をさらに深めて確認したい人向けの一冊
- 『親の介護をする前に読む本』:家族介護を始める前の準備や考え方を補いたい人向けの一冊
- 出版社公式(作品ページ)
- 長尾和宏氏公式(プロフィール / 公式サイト / SNSなど)
- 三好春樹氏公式(プロフィール / 公式サイト / SNSなど)
- 東田勉氏公式(プロフィール / 公式サイト / SNSなど)
- 書誌情報:NDLサーチ(書誌詳細)
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