
「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33は、「老後が不安」という漠然とした気持ちを、具体的な“現実”として突きつけてくる一冊です。
結婚しているから安心、子どもがいるから大丈夫、まだ元気だから先の話――そんな思い込みが、実は一番の落とし穴かもしれません。
本書は、誰もが最終的に直面する「実質ひとり」の状況を前提に、倒れた瞬間から起こるお金・住まい・健康・家族のトラブルを、司法書士の実務経験に基づいてリアルに描き出します。
著者の太田垣章子さんは、20年以上にわたり高齢者や単身世帯の生活問題を現場で支援してきた専門家です。
家賃が払えない、入院できない、口座が凍結される、亡くなった後の手続きが止まる――そんな「制度の隙間」で困る人たちを数多く見てきました。
だからこそ本書の内容は机上の理論ではなく、「実際に起きたケース」として胸に迫ります。
読んでいるうちに、他人事だったはずの話が、いつの間にか自分の未来に重なっていくはずです。
けれど、この本は不安をあおるための終活本ではありません。
むしろ逆で、「今から備えれば、まだ間に合う」と背中を押してくれる人生設計のガイドブックです。
難しい法律や制度もやさしく解説され、今日から始められる具体策が示されています。
将来を怖がるのではなく、主体的に選び取るために。
これからの時代を安心して生き抜くための“生活防衛マニュアル”として、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
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書籍『「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33』の書評

本書は、司法書士として20年以上「住まい」と「高齢者支援」の現場に立ち続けてきた 太田垣章子 が、「最後は誰もが一人になる」という前提で、“困る未来を先回りして潰すための実務書”としてまとめた一冊です。扱うテーマは感情論ではなく、契約・制度・お金・法律といった超リアルな生活問題。つまり「気持ちの準備」ではなく「手続きの準備」を教えてくれるのが最大の特徴です。
この書評では、以下の4つの観点から本書の価値や本質を解説していきます。
- 著者:太田垣章子のプロフィール
- 本書の要約
- 本書の目的
- 人気の理由と魅力
読み進める前に、この本が“どんな立場の人が、どんな視点で書いたのか”を知っておくと理解度がぐっと上がります。
著者:太田垣章子のプロフィール
本書の著者である太田垣章子さんは、司法書士として20年以上にわたり「住まい」と「高齢期の生活トラブル」を専門に扱ってきた実務家です。司法書士という職業は、相続や遺言、契約、財産管理、登記など、人生の重要な節目で発生する法律手続きを担う専門職ですが、太田垣さんの特徴は「机上の法律家」ではなく、常に現場に足を運ぶタイプの支援者であることにあります。
家賃滞納や明け渡し、身寄りのない高齢者の生活再建、孤独死後の手続き、認知症による財産凍結問題など、一般の人が「できれば関わりたくない」と感じるようなトラブルの最前線に立ち続けてきました。つまり、きれいごとでは済まない「人生の詰みポイント」を、何千件という実例の中で見てきた人物なのです。
さらに注目したいのは、著者自身もシングルマザーとして子育てと仕事を両立しながら資格を取得した経験を持ち、生活者としてのリアルな視点を失っていないことです。専門家でありながら、常に「普通の生活者の目線」で語れるからこそ、文章に説得力があります。法律や制度の話も上から目線ではなく、「知らなかったら普通に困りますよ」という親身なトーンで語られるため、初心者でも自然に理解できます。
本書の要約
本書の内容を一言でまとめると、「老後に起こりうる33の失敗パターンを先回りして潰すための具体的対策集」です。抽象的な心構えや精神論ではなく、実際に起こったケースをベースに「どうすれば回避できるか」を徹底的に解説しています。
テーマは「お金」「住まい」「健康」「家族」の4分野に分かれており、それぞれについて「もし明日あなたが倒れたらどうなるか」という視点から話が進みます。ここが非常に重要なポイントです。多くの老後本は「老後資金はいくら必要」など未来の数字の話をしますが、本書は違います。「今この瞬間に意識を失ったら、誰が支払うのか」「誰が手続きをするのか」「誰があなたを見つけてくれるのか」といった、超現実的な問いからスタートするのです。
例えば、銀行口座にお金があっても認知症になると凍結されて引き出せなくなること、保証人がいなければ入院や施設入所ができないこと、死後の支払いは家族でなければ手続きできないことなど、「知らないと詰む」話が次々と出てきます。どれもニュースではあまり語られないけれど、実際の現場では日常的に起きている出来事です。
読み進めるうちに、これまで漠然としていた不安が「具体的な課題」に変わっていきます。そして課題が明確になると、不思議と恐怖は減り、「じゃあ何をすればいいのか」という前向きな思考に切り替わります。本書は、読者の気持ちを“心配”から“行動”へと導く構造になっているのです。
本書の目的
この作品が目指しているのは、「老後が心配だから備えましょう」という一般的な終活の呼びかけではありません。もっと根本的なテーマがあります。それは「最後まで自分の人生を自分で決められる状態を守ること」です。
人は年齢を重ねると、病気や認知症によって判断能力が低下し、意思表示ができなくなる可能性があります。そうなると、自分のお金を使うことも、住む場所を決めることも、医療方針を選ぶことも、すべて他人任せになります。どれだけ資産があっても、どれだけ家族がいても、手続きを代行する仕組みがなければ何も進みません。これは極端な話ではなく、実際に多くの高齢者が直面している現実です。
著者は、その「決められなくなる未来」に備えて、まだ元気なうちに準備してほしいと繰り返します。遺言書、任意後見契約、死後事務委任契約、身元保証、住み替えの計画など、どれも面倒で後回しにされがちなものばかりですが、若いうちほど選択肢が多く、費用も少なく、自由度が高いという事実があります。つまり、早く始めるほど有利なのです。
人気の理由と魅力
本書が多くの読者に支持されている理由は、単なる終活ノウハウ本とは明らかに違う読書体験を提供しているからです。まず大きいのは、著者が理論家ではなく現場の当事者であることです。テレビやネットの一般論ではなく、実際に「困っている人」を何千人も見てきた人の言葉だからこそ、説得力があります。読者は「こうすべきです」と教えられているのではなく、「これをしなかった人がどうなったか」を目の当たりにするため、自然と腹落ちします。
さらに、専門用語が難解にならないように丁寧にかみ砕かれている点も大きな魅力です。後見制度や死後事務委任契約といった法律用語は本来ハードルが高いものですが、本書では「もし自分が倒れたら誰が代わりにサインするか」という生活目線で説明されます。難しい制度が“自分ごと”に変換されるため、法律書を読んでいる感覚がありません。
そして何より、読後に具体的な行動が起こせる点が最大の強みです。チェックリストを見ながら、連絡先を整理し、家族と話し合い、必要な契約を検討する。読み物で終わらず、人生設計のスタートラインに立たせてくれる。この実用性こそが口コミを生み、「読んでよかった」と言われる理由でしょう。
本の内容(目次)

この本は、最初に「自分がどんなリスクを抱えやすいタイプなのか」を把握し、そのうえで生活の根幹に直結する4領域を順番に点検していく構成です。全体は“終活の手前”から始める設計になっていて、いきなり葬儀や墓の話に飛ぶのではなく、倒れた瞬間から困り始める現実問題を、手続きと生活の両面から整理していきます。
章の流れは次のとおりです。
- 序章 自分がどのタイプか、まず把握してみましょう
- 第1章 おひとりさまリスク お金の問題
- 第2章 おひとりさまリスク 住まいの問題
- 第3章 おひとりさまリスク 健康の問題
- 第4章 おひとりさまリスク 家族の問題
ここからは、各章が扱うテーマを「初心者がつまずきやすい点」から丁寧にほどきつつ、なぜその論点が重要なのかを“現場の論理”で解説します。
序章 自分がどのタイプか、まず把握してみましょう。
この序章では、まず「自分はまだ大丈夫」という思い込みを外すところから始まります。高齢者になった自分を具体的にイメージしたことがあるか、意思決定ができなくなった時に誰が動いてくれるのか、倒れた時に気付いてもらえるのか、といった問いかけが連続します。これは読者に不安を与えるためではなく、現実を“自分ごと”として考えるための準備運動です。著者は、家族がいるかどうかではなく「実際に支えてくれる人がいるか」が重要だと語ります。
さらに、結婚していても子どもがいても、最終的には誰もが単独状態になる可能性があるという前提が提示されます。配偶者が先に病気になる、子どもが遠方に住む、関係が希薄になるなど、どんな家庭にも起こり得るからです。そのため「独身だから不利」「既婚だから安心」という単純な図式は成り立ちません。ここで初めて、「1億総おひとりさま時代」という言葉の意味が実感として伝わってきます。
そして著者は、実際に高齢になってからでは準備が難しいことを強調します。体力も気力も落ち、面倒な手続きがさらに先送りになるからです。だからこそ、まだ動ける世代が早めに知識を持ち、備えることが必要だというメッセージがこの章の核になっています。読者はまず、自分の立ち位置を冷静に把握するところからスタートします。
リスク対策は「現状認識」から始まります。
自分は例外だという思考が最大の落とし穴です。
第1章 おひとりさまリスク お金の問題
この章では、老後資金の額よりも「管理と手続き」に焦点が当てられます。倒れた後のお金のことを考えたことがない、認知症になったら誰が管理するのか分からない、老後にいくら必要か見えず使えない、といった不安が具体的なケースとして並びます。つまりテーマは貯蓄額ではなく、「使える状態を維持できるかどうか」です。
さらに、エンディングノート、クレジットカードの盲点、遺言書の必要性、死後の病院代や施設費の精算など、普段は考えにくい実務的な課題が続きます。遺言書は「遺書」とは違い、法的効力を持つ重要な書類であること、亡くなった後の支払いにも責任の所在が必要であることなど、具体的な生活場面が示されます。読者は「お金=通帳残高」ではなく「お金=手続きの連続」だと理解するようになります。
章末には「今すぐやらないといけないことリスト」があり、知識で終わらず行動に移せる設計になっています。著者は、準備とは難しい投資や節約ではなく、「決めておくこと」「書いておくこと」「頼んでおくこと」だと繰り返します。ここで初めて、現実的なお金対策の意味が腑に落ちます。
第2章 おひとりさまリスク 住まいの問題
この章では、暮らす場所に関する不安が中心になります。高齢になると賃貸物件を借りにくいのは本当なのか、高齢者でも借りる方法はあるのか、ひとり暮らしだとゴミ屋敷になりがちではないか、といった身近な疑問から話が始まります。住まいは毎日の生活の土台であり、ここが崩れるとすべてが連鎖的に悪化するという前提が示されます。
さらに、退職金を見込んだ住宅ローン、終の住処をいつ考えるべきか、借地の実家問題、孤独死の不安、家賃を払い続けられるかどうかなど、現実味のあるテーマが続きます。どれも遠い将来の話ではなく、数年後に直面してもおかしくない課題です。著者は「住まいは感情ではなく計画で決めるべき」と伝え、早めの検討が選択肢を増やすと説明します。
ここでも最後に具体的なチェック項目が提示され、読者は「いつか考える」から「今整理する」へ意識が変わります。単に家を持つか借りるかではなく、「自分が動けなくなった時も住み続けられるか」が本当の判断基準だと理解できます。
第3章 おひとりさまリスク 健康の問題
この章は、病気そのものより「倒れた後の現実」に焦点を当てます。誰が気付いてくれるのか、自宅で倒れたらどうなるのか、介護認定や保険はどう考えるのか、といった疑問が提示されます。健康問題は突然起きるため、準備不足がそのまま生活の停止につながることが強調されます。
入院時に身元保証人が必要だと知らなかった、どこまで治療を受けたいか決めていない、施設に入れば安心だと思っていたなど、具体的な誤解が次々に紹介されます。医療や介護は「家族がなんとかしてくれる」前提で進んでいる場面が多く、その前提が崩れると一気に困難になる現実が描かれます。読者は、健康とは体調管理だけでなく「手続きの準備」も含むことに気づかされます。
最後のリストでは、連絡体制や意思表示の重要性が示されます。著者は、準備は特別なことではなく、事前に話し合い、書面に残しておくだけだと説明します。医療と生活は切り離せないという事実を、この章で深く実感します。
第4章 おひとりさまリスク 家族の問題
最終章では、死後や親族関係にまつわるテーマが扱われます。身元保証人は連帯保証人と同じなのか、死後事務委任契約とは何か、墓や葬儀をどう考えるべきか、といった疑問が具体的なケースとして提示されます。普段は目を背けがちな話題ですが、実際には必ず誰かが担わなければならない現実的な作業です。
友人に鍵を預ければ安心だと思っていた、事実婚だと不利になる可能性がある、養子縁組で解決できるのかなど、家族の形が多様化する現代ならではの悩みも紹介されます。感情や信頼関係だけでは手続きは進まず、法律上の立場が重要になることが丁寧に説明されます。ここで初めて、「頼れる人」と「法的に動ける人」は別物だと理解できます。
章末のチェック項目を通じて、亡くなった後の段取りまで考えることが、結果的に今を安心して生きることにつながると伝えられます。死を考えることは後ろ向きではなく、自分の尊厳を守るための前向きな準備なのだという著者の思いが、強く伝わる締めくくりになっています。
対象読者

本書は「終活本」というより、人生後半を自分の力でコントロールするための“生活設計の教科書”です。葬儀やお墓の話だけではなく、倒れた直後の手続き、口座凍結、住まいの確保、身元保証人、死後の事務処理まで、現実的で避けて通れないテーマを扱っています。
そのため「まだ早い」と感じる人ほど、実は読む価値が高い一冊です。特に、次のような立場の人に強くフィットします。
- 40代〜50代で老後の不安を感じ始めた人
- 未婚・離別・死別など現在ひとり暮らしの人
- 既婚・子ありでも家族に頼れない可能性がある人
- 親の介護・相続トラブルを経験した人
- 住まい・お金・医療の将来設計を真剣に考えたい人
それぞれの立場によって「困るポイント」は微妙に異なります。
以下では、どんな人がどのように本書を活用できるのか、具体的に解説していきます。
40代〜50代で老後の不安を感じ始めた人
40代〜50代は、仕事や子育てがある程度落ち着き、「このままで老後は本当に大丈夫だろうか」と現実的に将来を考え始める時期です。一方で、まだ体力も判断力も十分にあり、「今すぐ困っているわけではない」ため準備を先延ばしにしやすい年代でもあります。しかし本書が繰り返し伝えているのは、認知症や病気、判断力の低下が起きてからでは、契約や手続きといった重要な備えができなくなるという事実です。つまり、対策が打てる“最後のタイミング”こそがこの世代なのです。
本書では、お金の管理、住まいの見直し、医療や身元保証の準備、死後の手続きまで、元気なうちにしか整えられない項目が具体的に示されています。「まだ早い」ではなく「今が一番早い」という視点に切り替えられる人ほど、本書の価値を最大限に活かせます。老後の不安を漠然と抱えている人にとって、何から始めるべきかが明確になる実践的なガイドになります。
未婚・離別・死別など現在ひとり暮らしの人
現在ひとりで暮らしている人は、万が一倒れたときに「すぐ動いてくれる家族がいない」という状況がすでに現実のものです。入院手続き、家賃の支払い、緊急連絡、死後の後始末など、誰かが代わりにやらなければ生活が止まってしまう作業が山ほどあります。本書に出てくる孤独死や口座凍結、賃貸契約トラブルの事例は、まさに単身生活者が直面しやすいケースそのものです。
だからこそ本書は、「家族がいない=詰み」ではなく、「仕組みで備えれば解決できる」と教えてくれます。死後事務委任契約や保証サービスなど、血縁に頼らない方法があることを知るだけで、将来への見え方は大きく変わります。自分の人生を自分で守るための具体策を得られる点で、単身者にとって特に実用性の高い内容です。
既婚・子ありでも家族に頼れない可能性がある人
配偶者や子どもがいると「いざという時は家族が何とかしてくれる」と思いがちですが、現代の家族関係は以前ほど密接ではありません。遠方に住んでいる、共働きで時間がない、関係性が希薄になっているなど、すぐに駆けつけられない事情を抱える家庭も増えています。本書が指摘するように、制度はまだ「家族が支える前提」で作られているため、その前提が崩れた瞬間に手続きが滞ります。
そのため、本書は「家族任せにしない準備」を提案しています。自分の意思や手続きをあらかじめ決めておくことで、家族の負担を軽減し、トラブルを未然に防ぐことができます。家族がいる人ほど、迷惑をかけないための対策として本書の内容が役立ちます。
親の介護・相続トラブルを経験した人
親の介護や相続を経験した人は、手続きの煩雑さや精神的負担を身をもって知っています。役所、病院、金融機関、施設などとのやり取りは想像以上に多く、「なぜこんなに大変なのか」と戸惑った人も少なくないでしょう。本書は、まさにその“苦労の原因”を一つひとつ言語化し、どこで詰まりやすいのかを解説してくれます。
一度でも現場を体験した人ほど、「自分のときは同じ思いを家族にさせたくない」と感じるはずです。本書は、その思いを具体的な準備に落とし込むための実践書として機能します。経験者だからこそ内容がリアルに響き、すぐに行動へ移しやすいのが特徴です。
住まい・お金・医療の将来設計を真剣に考えたい人
将来に備えたいと思っていても、「何から始めればいいのか分からない」という人は多いものです。本書は、お金、住居、健康、家族という生活の基盤を体系的に整理し、どこにリスクが潜んでいるのかを順序立てて教えてくれます。そのため、点ではなく“面”で人生を見直すことができるのが大きな強みです。
保険だけ、貯金だけ、といった部分的な対策ではなく、生活全体をトータルで設計する視点が身につくため、本気で将来計画を立てたい人に最適です。いわば人生の総点検マニュアルとして使える内容で、長期的に安心できる基盤づくりに役立ちます。
本の感想・レビュー

「自分は大丈夫」という思い込みが崩れる
正直に言うと、読み始める前の私はどこか他人事でした。ニュースで「高齢者の孤独死」や「身寄りのない人の問題」を見ても、自分はまだ先の話だし、家族もいるし、そこまで困ることはないだろうと思っていたのです。けれど「最後は誰もが『おひとりさま』になる」という前提が何度も語られるうちに、その楽観がじわじわと崩れていきました。未婚でも既婚でも、子どもがいてもいなくても関係ないという言葉が、思った以上に重く響きました。
特に「高齢になってからでは備えられない」という著者の実感には、妙な説得力がありました。頭では分かっていても人は後回しにする、面倒な手続きほど手がつかない、だから若いうちに準備してほしい。そう語られると、これまでの自分の姿勢がそのまま指摘されているようで、少し居心地が悪くなりました。同時に、「今気づけてよかった」という安堵もありました。
この本は不安をあおるというより、思い込みを静かに壊してくる本だと思います。私はページをめくりながら、「自分は例外」という幻想がいちばんのリスクだったのだと気づかされました。読後、最初に浮かんだのは「まだ大丈夫」ではなく「今から考えよう」という言葉でした。
預金が使えない恐怖
私はこれまで、老後対策といえば貯金だと思って生きてきました。節約して、少しずつでも貯めていけば安心だろうと、どこか数字だけを見て満足していたのです。だから第1章を読んだときの衝撃はかなり大きかったです。お金が「ある」ことと、「使える」ことは別問題だという指摘に、完全に不意を突かれました。
認知症になったら誰が管理するのか、自分が倒れたら支払いはどうなるのか、死後の病院代や施設代の精算は誰がするのか。そんな問いが次々に出てきて、通帳の残高ではなく“仕組み”がないと意味がないのだと実感しました。これまで考えたこともなかった視点ばかりで、「備えているつもりだった自分」が一気に頼りなく感じられました。
読み終えたあと、自分の通帳を見ても以前のような安心感はありませんでした。「このお金、いざというとき本当に動かせるのかな」と現実的に考えるようになったからです。お金の不安の正体は額の大小ではなく、管理方法だったのだと、初めて腹落ちしました。
高齢者賃貸の壁
私は賃貸暮らしなので、第2章は特に身につまされました。今の家に住めなくなったら引っ越せばいい、くらいに軽く考えていたのですが、高齢になると部屋が借りにくくなるという現実が具体的に語られていて、読みながら何度も手が止まりました。年齢だけで敬遠される世界があるというのは、思っていた以上にシビアでした。
さらに、孤独死や契約の問題など、自分が亡くなった後の話まで触れられていて、「住む場所」というのは単なる生活空間ではなく、人生の終盤に直結するテーマなのだと感じました。若い頃は自由に選べる住まいも、歳を重ねるにつれて選択肢が狭まっていく。その当たり前の事実を、私は真剣に受け止めていなかったのだと思います。
読み終えたあと、「いつか考えよう」と思っていた終の住処のことを、急に現実的に考え始めました。住まいは感情ではなく計画で決めるものなんだ、と少し大人になった気分です。将来の自分の居場所を、今の自分が用意してあげる必要があるのだと感じました。
倒れた後の手続き地獄
健康については、これまで「病気にならないように気をつけよう」という程度の意識しかありませんでした。ところが本書は、病気そのものより「倒れた後に誰が動くのか」に焦点を当てています。その視点がとても現実的で、読んでいて胸がざわざわしました。
自分が意識を失っている間、誰が気づき、誰が連絡し、誰が入院の手続きをするのか。考えてみると、そこには必ず“動いてくれる人”が必要です。でも、その存在を当たり前のように想定していた自分に気づき、少し怖くなりました。もし誰もいなかったらどうなるのだろう、と真剣に想像してしまったのです。
健康の問題は体力の話だと思っていましたが、実は生活の仕組みの話でもあるのだと分かりました。病気にならない努力だけでは足りない。倒れた後の流れまで整えておくことが、本当の備えなのだと実感させられました。
保証人問題の重さに気づく
私はこれまで「保証人」という言葉を、どこか形式的なものだと軽く捉えていました。書類に名前を書いてもらうだけ、くらいの認識です。けれど本書を読んで、それがいかに無責任な理解だったか思い知らされました。入院や施設入所において、その役割がどれほど重要で、どれほど重たい責任を伴うのかが伝わってきました。
身近な人に頼めばいいと簡単に言える話ではないし、そもそも頼れる人がいない場合はどうするのか。そこまで考えたとき、これまで真剣に向き合ってこなかった自分が恥ずかしくなりました。人の善意に甘える前提で人生設計をしていたことに、ようやく気づいたのです。
読み終えたあと、「誰かが何とかしてくれる」という考えはもう持てなくなりました。自分の人生の後始末は、自分で責任を持って整えるべきものなんだと、静かに腹をくくった気がします。保証人の話は、私にとってこの本の中でも特に考えさせられるテーマでした。
家族がいても安心できない事実
私は既婚で子どももいるので、どこかで「最終的には家族がいるから何とかなる」と思い込んでいました。親の世代もそうやって乗り切ってきたし、自分も同じだろう、と深く考えずにいたのです。でも本書では、これからの時代は「家族ありき」の制度そのものが現実に合っていないと指摘されていて、その前提が音を立てて崩れました。
家族関係が希薄化し、少子化が進み、サポートする側の人手も足りない。善意だけでは支えきれない社会になっているという現場の話を読んでいるうちに、「家族がいる=安心」という図式がいかに幻想だったかが分かってきました。むしろ準備がないまま年を重ねれば、いちばん負担をかけるのは家族なのかもしれない、と感じました。
読後は、「頼る」ではなく「迷惑をかけないために整える」という意識に変わりました。家族がいるから備えなくていいのではなく、家族がいるからこそ先に準備しておく。その発想の転換が、この章のいちばん大きな気づきでした。
実例ベースだから説得力が段違い
私は普段、こうしたテーマの本を読むとき、どこか「理屈っぽいな」と感じてしまうことが多いのですが、本書はまったく違いました。ケース形式で語られる一つひとつが、作り話ではなく、実際の相談現場から生まれた話だと伝わってくるからです。きれいごとがなく、淡々とした事実が積み重なっていく感じがありました。
「こんなことまで起きるのか」と思う場面が何度も出てきて、読みながら気持ちがざわつきました。けれど同時に、これが現実なのだと納得せざるを得ない重みもありました。机上の理論ではなく、長年サポートしてきた著者だからこそ書ける内容だと感じました。
だからこそ、「気をつけましょう」という言葉がただの注意喚起に聞こえませんでした。「本当に起きていることだから、今のうちに備えてほしい」というメッセージとして、真っ直ぐ胸に刺さってきました。説得力の質がまったく違う一冊だと思います。
チェックリストが実践的
読み物として共感するだけで終わらないのが、この本のすごいところだと感じました。各章の最後に「今すぐやらないといけないことリスト」が置かれていて、自然と「じゃあ自分は何をすればいいんだろう」と考えさせられます。ただ危機感を与えるのではなく、次の行動まで示してくれる構成がとても親切でした。
私はそれまで、老後対策という言葉を聞いても漠然としすぎていて、何から手をつければいいのか分かりませんでした。でもこのリストを見た瞬間、「これならできそうだ」と思えました。難しい専門書ではなく、生活に落とし込める実用書だと実感しました。
本を閉じたあとも、「あれを確認しよう」「これを書いておこう」と具体的な行動が頭に浮かんできます。読んで終わりではなく、生活が少し動き出す感覚がある。それがこの本の大きな魅力だと思いました。
まとめ

本書は「老後が不安」という漠然とした気持ちを、「何を準備すればいいか」という具体的な行動に変えてくれる実践書です。終活という言葉にありがちな暗いイメージとは違い、人生の主導権を自分に取り戻すための“前向きな備え”を教えてくれます。
最後に、本書を読むことで何が得られ、読み終えたあとにどう動けばいいのかを整理していきます。
- この本を読んで得られるメリット
- 読後の次のステップ
- 総括
それぞれを順に解説します。
この本を読んで得られるメリット
ここでは、本書から得られる代表的なメリットを順に紹介します。
不安の正体が明確になり、漠然とした恐怖が消える
多くの人が抱えている老後不安は、「なんとなく心配」という抽象的な感情に過ぎません。何が怖いのかが分からないため、行動にも移せず、時間だけが過ぎてしまいます。本書では、お金、住まい、健康、家族という生活の基盤ごとに起こり得るトラブルを具体例で示してくれるため、問題の輪郭がはっきり見えてきます。リスクが具体化されることで、「対策可能な課題」へと変換され、心理的な負担が大きく軽減されます。
何から始めればいいかが分かり、すぐに行動できる
知識本の多くは「理解」で終わりますが、本書は「実行」まで導いてくれる点が決定的に違います。各章の最後に示される「今すぐやらないといけないこと」は、今日から取り組める内容ばかりで、迷いがありません。エンディングノートの準備、契約の確認、住まいの見直しなど、具体的なアクションが示されることで、読者は読み終えた瞬間から一歩を踏み出せます。準備が進むほど安心感が積み重なっていくのを実感できるでしょう。
家族に迷惑をかけない仕組みを整えられる
自分の老後以上に、「家族に負担をかけたくない」と考える人は少なくありません。しかし、何も準備していないと、入院手続きや財産管理、死後の後処理など、膨大な実務が家族に降りかかります。本書は、そうした“残された人の苦労”をリアルな事例で描きながら、事前に整えておくべき仕組みを教えてくれます。自分のための備えが、同時に家族への最大の思いやりになるという視点を得られるのは、大きな価値です。
制度や法律の知識が身につき、損やトラブルを防げる
身元保証人、遺言書、死後事務委任契約、賃貸契約の扱いなど、日常ではなじみの薄い制度が本書には数多く登場します。これらを知らないままだと、いざという時に不利な立場に置かれたり、余計な費用やトラブルが発生したりします。本書は専門家の視点から分かりやすく解説しているため、法律の知識がない人でも理解しやすく、生活を守る“実務スキル”として活用できます。知っているだけで回避できる問題が多いことに気づくはずです。
人生後半を前向きに設計できるようになる
終活という言葉には、どこか暗いイメージがありますが、本書が伝えているのは「より自由に生きるための準備」です。自分の意思を明確にし、最期まで自分らしい選択ができる環境を整えることは、人生の主導権を取り戻すことでもあります。不安を抱えたまま過ごすのではなく、未来を自分でデザインできる感覚が芽生えることで、これからの時間が前向きで充実したものへと変わっていきます。
読後の次のステップ
本を読み終えた瞬間が、実はスタートラインです。どれだけ有益な知識を得ても、行動に移さなければ現実は何も変わりません。老後の備えは「いつかやろう」と思ったまま放置されやすいテーマですが、本書で得た気づきが新鮮なうちに動くことで、将来の安心度は大きく変わります。
ここでは、読み終えたあとに取り組みたい具体的なアクションを、段階ごとに紹介します。
step
1生活状況と資産の「棚卸し」を行う
最初に取り組むべきなのは、現状把握です。自分が何を持ち、どんな契約を結び、毎月いくら支出しているのかを正確に理解している人は意外と少ないものです。銀行口座、保険、クレジットカード、ローン、家賃や住宅費などを書き出して整理するだけで、生活の全体像が見えてきます。これは家計簿というより「人生の地図」を作る作業に近く、どこにリスクが潜んでいるかを客観的に把握するための土台になります。
step
2緊急時の連絡体制を整える
万が一倒れたとき、誰が気づき、誰が動くのかが決まっていなければ、発見が遅れたり手続きが滞ったりします。信頼できる人に連絡先を共有したり、緊急連絡先をまとめたりするだけでも、安心感は大きく変わります。ひとり暮らしであれば特に、孤立を防ぐ仕組みを意識的に作ることが重要です。日常のつながりを少し強化するだけで、いざというときのリスクは大幅に軽減されます。
step
3書面による意思表示を準備する
自分の希望を周囲に伝えていても、口約束だけでは法的効力がありません。どのような医療を望むのか、財産をどう分けたいのか、死後の手続きを誰に任せたいのかを文書にして残すことで、初めて現実的な備えになります。エンディングノートや遺言書の作成は、難しそうに感じますが、実際は「自分の考えを整理する作業」です。紙に書き出すことで、自分の価値観が明確になり、家族も迷わず動けるようになります。
step
4住まいと老後資金の見直しを行う
生活の基盤である住居とお金は、早めに方向性を決めるほど選択肢が広がります。賃貸か持ち家か、ローンは完済できるか、将来的に住み替えが必要かなどを検討することは、人生設計そのものです。同時に、老後に必要な生活費を把握しておけば、過度な節約や不安から解放されます。数字を具体化することで、「足りるのか分からない」というストレスが消え、冷静な判断ができるようになります。
step
5専門家への相談を視野に入れる
制度や契約の話になると、自分一人では判断が難しい場面も出てきます。そんなときは、司法書士や行政書士などの専門家に相談することで、手続きが格段にスムーズになります。プロの視点からアドバイスを受けることで、思い込みや誤解によるトラブルを未然に防ぐことができます。備えを「自己流」で終わらせず、必要に応じて外部の力を借りることも、賢い選択の一つです。
総括
人生の後半をどう生きるか――その問いに正面から向き合った一冊が、「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33です。本書が伝えているのは、「孤独は怖い」という感情論ではありません。誰もが最後は自分ひとりで決断しなければならない場面に立つという現実と、そのときに困らないための具体的な準備です。老後の不安をあおるのではなく、淡々と「事実」と「対策」を示してくれるからこそ、読者は冷静に自分の未来と向き合うことができます。
本書の価値は、知識を与えるだけで終わらない点にあります。お金、住まい、健康、家族という生活の基盤を総点検し、どこに落とし穴があるのかを明確にしながら、今すぐできる行動へと導いてくれます。まるで専門家が隣に座って一つひとつ手順を教えてくれるような感覚で、複雑に見えていた老後対策が「順番に片づければいい課題」に変わっていきます。この“具体性”こそが、多くの人に支持される理由でしょう。
また、読み進めるうちに気づかされるのは、終活とは「死の準備」ではなく「より良く生きる準備」だという視点です。自分の意思を整理し、将来の選択肢を増やしておくことは、残された時間を自分らしく使うための土台づくりに他なりません。備えがあるからこそ、過度に恐れることなく、今の生活に集中できるようになります。不安を減らすことが、そのまま人生の自由度を高めることにつながっているのです。
結局のところ、老後の安心は誰かが与えてくれるものではなく、自分で整えていくものです。
本書は、その第一歩を踏み出すための道しるべであり、人生後半戦の取扱説明書ともいえる存在です。
まだ元気な今だからこそ読んでおきたい、そして読んだその日から少しずつ実践していきたい、そんな実用性と説得力を兼ね備えた一冊だと言えるでしょう。
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