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5種類の公的医療保険とその加入者の違いをわかりやすく解説

医療保険の種類

日本の公的医療保険は、加入者対象別に5つに分かれています。


加入者対象別とは加入者の条件、つまり「職業」や「年齢」で分けた場合のことです。


日本には国民皆保険制度があり、国民はだれでもいずれかの医療保険に、本人または扶養家族として加入することになっています。


この記事を読めば、「公的医療保険の種類」を知ることができます。

国民皆保険制度

国民皆保険制度(こくみんかいほけんせいど)とは、すべての国民がこの公的な医療保険に加入すること。

 



医療保険の種類は5つ

医療保険の種類 5つ

  1. 健康保険
  2. 共済組合
  3. 船員保険
  4. 国民健康保険
  5. 後期高齢者医療


加入者対象別から見ると、医療保険の種類は5つに分けられます。

職業や年齢によって加入する医療保険は異なります。


5つの医療保険の加入者


1.健康保険

健康保険は法人の事業所や従業員が5人以上いる個人の事業者(飲食業、サービス業、農林漁業を除く)などの従業員・職員およびその扶養家族が加入します。


健康保険は、主に中小企業の従業員やその家族が加入する「全国健康保険協会」と、主に大企業やその家族が加入する「健康保険組合」、日雇い労働者が加入する「日雇健康保険」の3つがあります。

全国健康保険協会(協会けんぽ)

主に中小企業の勤労者は全国健康保険協会が運営する全国健康保険協会管掌健康保険(通称:協会けんぽ)に加入します。


全国健康保険協会は、それまで政府が運営していた健康保険(政府管掌健康保険)を政府に代わって運営するために、平成20年にできた公法人です。

健康保険組合

大企業が単独、または同業同種の中小企業が集まってつくっている健康保険組合が設立されている事業所の勤労者はその健康保険組合に加入します。

日雇健康保険

日々雇い入れをされる労働者(有期労働契約)を対象とした公的医療保険です。

2.共済組合

国家公務員共済組合

中央官庁やその所管する独立行政法人(国立病院など)、国立大学などで働く国家公務員など及びその扶養家族が加入します。

地方公務員共済組合

都道府県や市区町村の職員、公立学校、教育委員会、警察などで働く、公務員およびその扶養家族が加入します。

私立学校教職員共済

私立学校法に定められた学校法人などで働く教職員など及びその扶養家族が加入します。

3.船員保険

一定規模以上の客船、貨物船、漁船などで働く船員およびその扶養家族が加入します。


運営は、平成22年1月から全国健康保険協会が行っています。

4.国民健康保険

上記の1~5の職域保険に加入していない全ての国民を対象にした地域保険で、居住地の市区町村が管理・運営しています。

その他に、建設業、理美容業、サービス業など特定の業種の事業者が集まってつくっている国民健康保険組があります。

5.後期高齢者医療

全ての75歳以上の人(65歳~75歳未満で一定の障害があると認定を受けた人)が、それまで加入していた医療保険から移って加入します。


医療保険が複数ある理由

医療保険が複数ある理由

医療保険は介護保険と違って、制度が一つではなく理解しにくいです。

医療保険が、健康保険、国民健康保険、共済保険などに分かれているのは、歴史的に職場ごとに少しずつできてきた制度だからです。


働く人は昔から病気やケガに悩まされてきました。そして、職場ごとに労使の話し合いの中で、改善できるところから少しづつ変化し、今の医療制度に至っているのです。


制度が複数あると、給付や負担の仕組みが異なり不公平になることもあります。

2000年から始まった後発の介護保険は、日本に居住する全ての人に対して同じ1つの制度となっています。


障害者福祉も、かつては「身体障害」「知的障害」「精神障害」の3つに分かれていたのが一つにまとまりました。

健康保険のいずれ、同じ制度に統一されるかもしれません。




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