税金や介護保険料を原資にした介護費用の増加が止まりません。
約20年で医療費は1.6倍、年金は1.5倍だったのに対し、介護は4倍に急増しました。
少子高齢化で介護費はさらに膨らむ見通しです。
厚生労働省は制度を維持するため、所得が高い高齢者の保険料の引き上げる方針です。
詳しく解説していきます。
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介護費用が20年で4倍に急増
介護費用は2000年度の3.3兆円から2023年度の13.5兆円と4倍ほどに急増しました。
もともと数十兆円規模の医療費、年金より少額だったとはいえ、医療費は2000年から2023年で1.6倍、年金は1.5倍に留まっています。
介護費の伸びは突出しています。
2024年に介護保険料引き上げ
11月6日に開かれた社会保障審議会の介護保険部会で保険料の引き上げ案が示されました。
65歳以上の高齢者について、給与や年金などの年間所得水準が高い人たちの介護保険料を引き上げることになりそうです。
年末までに政府内で具体的な所得水準などを固め2024年度の制度改正での実現を目指しています。
高所得の高齢者が低所得の高齢者を支える為の引き上げ
今回の主な目的は所得上位層の保険料引き上げで得た原資を、世帯全員が住民税非課税の低所得者の保険料負担の引き下げに充てることです。
見込まれる将来的な保険料の伸びに対して、高齢者同士で支え合う仕組みにします。
高所得の高齢者は基準額の1.8~2.6倍へ
高齢者の介護保険料は、所得に応じて基準保険料額に対する倍率が変わります。
国が所得別に示す9段階の基準を参考に、市町村が独自に所得段階や倍率を設定します。
国基準では合計所得320万円以上で基準額の1.7倍が最高段階です。
現在の基準額の全国平均は月6014円です。
厚労省は11月6日の審議会で保険料引き上げの所得水準として新たに4段階の区分を追加する案を示しました。
例として、所得額を「410万円以上」から「680万円以上」の間で4区分設け、保険料を基準額の1.8~2.6倍とする案が提示されました。
高齢者人口の4%の140万人が対象となります。
「2割負担」の対象者の拡大も検討
団塊の世代が全員85歳を過ぎる「2035年問題」を見据えると、今回の保険料引き上げで改革が十分とは言えません。
政府は2040年度には介護費用が25.8兆円に膨らむと試算しています。
1人あたりの介護給付費が75~79歳では年間14.3万円なのが、85~89歳では68.9万円と高齢になるほど急増していくからです。
このため2024年度改正で厚労省は介護サービスを利用した際の「2割負担」の対象者の拡大も検討しています。
介護保険サービスは原則、自己負担が1割で、年金収入などが280万円以上ある人が2割負担となります。
2割負担はサービス利用者の5%程度にとどまっています。
11月6日の審議会では、2割負担の対象者について、現行の単身世帯の年収280万円から、高齢者の所得上位30%となる年収220万円までの間で計4例が示されました。
まとめ
介護費用は2000年度の3.3兆円から2023年度の13.5兆円と4倍ほどに急増しました。
11月6日に開かれた社会保障審議会の介護保険部会で保険料の引き上げ案が示されました。
65歳以上の高齢者について、給与や年金などの年間所得水準が高い人たちの介護保険料を引き上げることになりそうです。
対象者は所得額が「410万円以上」から「680万円以上」の間の人で、保険料を基準額の1.8~2.6倍とする案が提示されました。
年末までに政府内で具体的な所得水準などを固め2024年度の制度改正での実現を目指しています。
今回の主な目的は所得上位層の保険料引き上げで得た原資を、世帯全員が住民税非課税の低所得者の保険料負担の引き下げに充てることです。