社会保障

就労支援とは?障害者が働くことをサポートする制度を解説

就労支援とは?障害者が働くことをサポートする制度を解説

障害の程度によっては、健常者と同じようにスムーズに就職できないこともあります。

日本の社会保障には、障害者が就職できるようにする様々なサポートが存在します。


就労支援では、障害者に「働く機会の提供」や「一般的な企業への就職に向けた知識・技能習得のための支援」を行っています。


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就労移行支援とは

就労移行支援とは

就労移行支援とは、障害者総合支援法で定められた自立支援給付のうち、訓練等給付に含まれる障害福祉サービスです。

障害者が一般就労を希望する場合や、独立開業を目指す場合に、就労に必要な能力や知識を得るための訓練が受けられます。


就労移行支援の対象者は、サービス利用開始時に65歳未満の障害者で、一般企業への就労を希望する人や、技術を習得し在宅で就労などを希望する人を主な利用者として想定しています。

もっとも、65歳以上の障害者であっても、65歳になる前の5年間の間に、障害福祉サービスの支給決定を受けており、65歳になる前日の段階で、就労移行支援の支給決定を受けていた人については、引き続き就労移行支援を受けることが認められています。


就労移行支援事業は、大きく下記の4つの段階に分類して、必要な支援を行います。

  1. 基礎訓練
  2. 実践的訓練
  3. 事業者とのマッチングなど
  4. 就職後のフォロー


それぞれわかりやすく解説していきます。


1.基礎訓練

就労移行支援事業所において、一般的な労働に必要な基礎的な知識・技能に関する支援を受けることができます。

具体的には、基礎体力向上に関する支援、集中力や継続力などの習得に関する支援などを通じて、利用者一人ひとりの適性や就労に向けた課題を見つけることが目的です。


2.実践的訓練

マナーや挨拶、身なりなど、実際に就職した場合に必要になる基本スキルの習得に関する支援が行われます。

また、実際に職業見学に行き、実習を行うなど、利用者は就労後の直接的なイメージをつかむことができます。


3.事業者とのマッチングなど

就職活動のサポートなどを通じて、個別の利用者にふさわしい職場への就職を目指した支援が行われます。

この際には、ハローワークや事業者との間で連絡を取り、事業者との間で試行雇用(トライアル)や、事業所内での職場適応訓練などが行われます。


4.就職後のフォロー

事業者が障害者を雇うことにした後も、ハローワークなどの関係機関と連携して、障害者の適性や希望に応じた職場を作り出す必要があります。

特に、障害者が職に就いた後もその職場に定着することができているかどうかを確認し、支援を続ける必要があります。

なお、就労移行支援期間中の訓練であっても、訓練を受けている間の工賃(賃金)が障害者に支払われます。


就労移行支援のサービスを利用するためには、指定特定相談支援事業者が作成したサービス等利用計画案を市町村に提出し、支給決定を受けなければなりません。

障害支援区分は必要ありませんが、24ヶ月間の標準利用期間が設定されています。


ただし、必要性が認められる場合に限り最大で12ヶ月について、サービスの更新を受けることができます。

また、サービスを利用して就職をした人は、原則として6ヶ月間、就労移行支援事業者からの継続的な支援が受けられます。


就労継続支援A型(雇用型)とは

就労継続支援A型(雇用型)とは

就労継続支援とは、障害者総合支援法で定められた自立支援給付のうち、訓練等給付に含まれる障害福祉サービスです。

一般企業に就労するのが困難な障害者に対して就労や生産活動の機会を提供し、能力や知識の向上を目的とした訓練が受けられます。


就労継続支援にはA型とB型の2つのタイプがあります。

就労継続支援A型は、雇用型とも呼ばれ、雇用契約に基づく就労が可能と見込まれる65歳未満の障害者が対象です。


具体的には就労移行支援事業で一般企業の雇用が実現できなかった人や、盲・ろう・養護学校卒業後就職できなかった人、そして一般企業を離職した人や就労経験のある人を対象としています。

もっとも、就労移行支援と同様で、65歳以上の障害者であっても、65歳になる前の5年間の間に、障害福祉サービスの支給決定を受けており、65歳になる前日の段階で、就労継続支援A型の支給決定を受けていた人については、引き続き就労継続支援A型の支援を受けることが認められています。


具体的な支援については、主に下記の2つに分類することができます。

  1. 働く機会の提供
  2. 一般的な企業への就職に向けた知識・技能習得のための支援


それぞれわかりやすく解説していきます。


1.働く機会の提供

就労継続支援A型においては、障害者は主労継続支援A型事業所で働くことができます。

そのため、就労継続支援A型のもっとも重要な支援として、障害者に雇用を通じた物の生産活動などの働く機会を提供することにあります。


注意が必要なのは、主労継続支援A型の利用者は、全員が雇用契約を締結しなければならないわけではありません。

つまり、就労継続支援A型事業者との間で雇用契約を結ぶことなく、サービスを利用することができます。

ただし、雇用契約を結ばない利用者は、利用者の定員の半数(定員が20名以上の場合9名を超えることができません)の範囲に限られます。


2.一般的な企業への就職に向けた知識・技能習得のための支援

就労継続支援A型の最終的な目的は、あくまでも利用者が一般企業に就職することです。

そのためには、就労継続支援A型事業所で働く中で、一般企業で就職するのに必要な挨拶などの就労習慣や、さまざ業種をこなすための技能を習得するための支援が行われます。


なお、就労継続支援A型においては、雇用契約を締結するので、就労継続支援A型のサービス利用者は労働者として扱われ、労働基準法などの適用を受けます。

また、事業者は障害者に対して工賃(賃金)を支払う必要があります。

工賃は原則としてその地域の最低賃金が保障されています。


就労継続支援のサービスを利用するためには、就労移行支援と同様に、指定特定相談支援事業者が作成したサービス等利用計画案を市町村に提出し、支給決定を受けなければなりません。

ただし、A型のサービス利用者は施設と雇用契約を結んでいるので、就労移行支援のような標準利用期間は設定されていません。


就労継続支援B型(非雇用型)とは

就労継続支援B型(非雇用型)とは

主労継続支援B型は、非雇用型とも呼ばれ、雇用契約を結ぶA型とは異なり、雇用契約を結ばずに、就労の機会や居場所を提供し、就労支援を行います。

就労継続支援B型の特徴は、年齢や体力などが理由で、負担の大きな仕事に就くことができない障害者を対象に、軽作業などを中心に行う中で、必要な職業訓練などが行われる点にあります。

また、就労移行支援や就労継続支援A型に移行する前提として、就労継続支援B型を利用することも可能であり、一般的な就職を希望する利用者に対しては、就労継続支援B型の中でも、一般就労に必要な知識や技術に関する支援が行われます。


就労継続支援B型の対象者は、通常の事務所に雇用されることが困難な障害者で、具体的には、就労移行支援事業を利用したが一般企業の雇用に結びつかずB型利用が適当と判断された人、一般企業に就労経験があり、年齢や体力的に雇用が困難と予想される人、あるいは、50歳に達しているか、障害基礎年金1級受給者など、就労の機会を通じて生産活動に関する知識や能力の向上が期待される人を対象としています。


具体的な支援については、主に下記の2つに分類されます。

  1. 働く機会の提供
  2. 一般的な企業への就職に向けた知識・技能習得のための支援


それぞれわかりやすく解説していきます。


1.働く機会の提供

就労継続支援B型においては、障害者は、雇用契約こそ結びませんが、就労継続支援B型事業所で働くことができます。

そのため、就労継続支援A型と同様で、重要な支援として、障害者に雇用を通じた物の生産活動などの働く機会を提供することが挙げられます。

就労継続支援B型のサービスを利用する利用者は、手芸などの自主製品の製作やパンやクッキーの製造などの作業を行い、作業分を工賃(賃金)として受け取ります。

比較的自由に自分のペースで働くことができます。


なお、工賃とは、就労継続支援B型での作業を通じて、障害者が得られる賃金のことをいいます。

就労継続支援B型は、事業所と障害者の間で雇用契約を締結せず出来高で工賃を支払うため、1時間当たりの時間給について最低金銀を下回り、工賃が非常に安くなることがあります。

しかし、自立に向けた生活を考えると、達成感や、やりがいだけでなく労働の対価として金銭を得ることも重要です。

そのため、各事業所は特別な事情がない限り工賃向上計画を作成し、工賃向上に向けて積極的な取り組みが求められています。


また、工賃向上を達成するために市町村は必要な支援をすることが義務付けられています。


2.一般的な企業への就職に向けた知識・技能習得のための支援

就労継続支援B型の利用者の中には、最終的には一般企業などへの就職を目指して、就労継続支援A型や就労移行支援への移行を希望する利用者もいます。

そこで、就労継続支援B型事業所で働く中で、一般企業で就職するのに必要な挨拶などの就労習慣や、さまざまな業種をこなすための技能を習得するための支援も行われます。


B型のサービスを利用するためには、A型と同様の手続きを経て、支援決定を受けなければなりません。

また、A型の場合と同様に、標準利用期間の制限もありません。


A型とB型の違いは、雇用契約があるかないかの違いであり、B型事業所の作業の方が軽作業が多いことが一般的です。

さらに、年齢制限の違いもあります。A型事業所は原則、18歳以上65歳未満の人が利用できる一方で、B型事業所では年齢制限が設けられているわけではありません。


障害福祉サービスを利用する方法

障害福祉サービスを利用する方法

障害福祉サービスを利用したい場合は、居住地の市町村に申請します。

注意しなければならないのは、市町村ごとに対応窓口の名称が同じではないということです。

一般に、生活福祉課や障害福祉課などの名称がつけられていることが多いようです。

具体的に、どの窓口に対して申請すればよいのかが分からない場合には、申請に出向く前にあらかじめ市町村の総合窓口に問い合わせをしてみましょう。


市町村は相談支援事業を行っている

市町村は障害福祉サービスの一環として相談支援事業を行っていますので、相談支援の中で障害者は自身に適切なサービスの内容や、必要な手続きに関するアドバイスを受けることができます。

その際には、市町村から委託を受けた相談支援事業者からのアドバイスなどを受けることになります。

相談支援事業者は、障害者に変わって申請に関する手続きを代行することも可能です。


相談支援事業者は下記の2つに分類することができます。

  1. 指定一般相談支援事業者
  2. 指定特定相談支援事業者


ともに、市町村から指定を受ける必要がありますが、指定一般相談支援事業者は、広く障害者が社会生活を営むうえで抱えた問題について、相談を受け付けます。

これに対して、指定特定相談支援事業者は、傷害福祉サービス利用手続きの相談の他に、サービス等利用計画案の作成まで行ってもらえます。





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