早産で生まれた低体重の赤ちゃんに、寄付された母乳(ドナーミルク)を提供する「母乳バンク」の大型拠点が4月、東京都内に新設されました。
母乳は免疫力を高める効果があり、低体重の赤ちゃんを守る「薬」ともいわれています。
早産の場合、母乳が出にくい母親が多いのに対し、全国で母乳バンクは新設を含め都内の2カ所しかなく、利用できる病院も限られています。
輪を広げるには病院や自治体との連携強化が鍵となりそうです。
母乳バンクとは
母乳バンクとは、ドナー登録した女性が寄付した母乳を低温殺菌処理して冷凍保管し、病院の要請に応じてNICUへ提供する仕組みです。
世界で60を超える国に750カ所以上あります。
ドナーには、自分の子どもに与えても母乳が余る人が登録します。
都内の母乳バンク2カ所のうち、「日本財団母乳バンク」が2022年4月1日に新設されました。
専用の冷凍庫が並び、年最大約5千リットル、約4千人分の母乳が保管可能。
ドナー登録を申し込む人は4月末時点で約160人に上り、田中麻里常務理事は「好調な出足」と話しています。
1人当たり3回以上、計3リットル以上を目安に無償提供してもらいます。
もう1カ所は育児用品メーカー「ピジョン」本社にあり、年最大千人分を保管できます。
母乳には免疫力を高める効果がある
日本では年約7千人の赤ちゃんが1500グラム未満の低体重で生まれています。
母親の母乳が出づらいなどの理由でドナーミルクが必要とされる赤ちゃんは推計5千人です。
早産児は母胎で育つ途上のため臓器が未発達で、壊死(えし)性腸炎などの病気にかかるリスクがあります。
母乳は栄養バランスが良く消化管を成熟させる効果があり、こうした病気の罹患(りかん)率を低減させることが国内外の研究で分かっています。
まとめ
母乳バンクは、ドナー登録した女性が寄付した母乳を低温殺菌処理して冷凍保管し、病院の要請に応じてNICUへ提供する仕組みです。
世界で60を超える国に750カ所以上あります。
ドナーには、自分の子どもに与えても母乳が余る人が登録します。
早産児は母胎で育つ途上のため臓器が未発達で、壊死(えし)性腸炎などの病気にかかるリスクがあります。
母乳は栄養バランスが良く消化管を成熟させる効果があり、こうした病気の罹患(りかん)率を低減させることが国内外の研究で分かっています。
ドナーミルクを利用できる病院はまだ少ないです。
数百あるNICUのうち、母乳バンク2カ所と供給契約を結ぶのは約60カ所にとどまっています。
田中氏は「病院にメリットを理解してもらえるよう周知啓発に力を入れたい」と語っています。
母乳バンクを推進する昭和大の水野克己教授は、全国的な供給に向け「都道府県が一括契約するなど自治体との連携強化も必要だ」と指摘しています。