厚生労働省は2023年5月8日、2025年の年金制度改正に向けた社会保障審議会の年金部会を開きました。
制度検証の基となる将来推計人口が公表されて初の会合で、出席した委員からは、外国人の増加を踏まえた制度設計が必要だとの指摘が出ました。
年金財政の健全化の為に何ができるか様々な検討がされています。
詳しく解説していきます。
外国人の増加で年金財政は影響を受ける
国立社会保障・人口問題研究所は4月26日、長期的な日本の人口をおおむね5年ごとに予測する将来推計人口の最新版を公表しました。
厚労省の担当者は「前回推計より出生率は低下するが、外国人の入国超過数が増加することで総人口の人口減少は緩和される」と推計結果を説明しています。
出席した委員は「外国人が前回の人口推計と比べて約9万人多く(日本に)入る推計は、年間出生数が80万人を切る中で大きな影響がある」と指摘。「労働者としての定住外国人がどう年金財政に関わるのか、財政検証でも考える必要がある」とも述べました。
外国人も65歳から老齢年金を受け取ることができる
日本の公的年金の加入期間が10年以上あれば、外国人も65歳から老齢年金を受け取ることができます。(国籍に関わらず、老齢年金は支給されます。)
多くの外国人が日本で働けば、年金財政には歳入面でプラスとなります。
一方で、途中から一定期間、年金制度に加入する人たちが増えることで、年金給付の拡大も見込まれます。
国民年金の加入期間を40年から45年に延長
8日の年金部会では遺族年金の受給要件などについて「男女ともに就労が一般化している中で、受給要件における男女差を撤廃すべきだ」などの意見が出ました。
前回までの会合では公的年金の給付水準を底上げするため、厚生年金の短時間労働者への適用を広げることや、国民年金(基礎年金)の加入期間を40年から45年に延長する案などが議論されています。
厚労省は今後、制度改正の課題や論点を整理し、年金部会で個別の検討を深めるつもりです。
2024年には財政検証を実施し、公的年金が将来どの程度もらえるかなどを試算します。
厚労省は必要に応じ年金制度を見直し、2025年の国会に関連法案を提出します。