
結婚していても、していなくても、女性は最終的に「おひとりさま」になる可能性があります。
そんな現実を前に、老後資金や介護、相続、死後の手続きを「いつか考えよう」と先送りにしていると、いざという時に困ったり慌てたりしやすくなります。
本書『おひとりさまの終活準備BOOK』は、その不安を“漠然”のままにせず、今のうちに整理して備えるための一冊です。
本書が扱うのは、お金の話だけではありません。
年金だけで足りるのかという老後資金の作り方から、突然始まりやすい介護への備え、子どもがいない場合の相続、亡くなった後に残る自宅の扱いまで、人生の後半に起こり得る課題を一続きの流れとして捉え直します。
ケーススタディでリアルな状況を追いながら、図解で「何をどう考えればいいか」が手に取るようにわかる構成になっています。
終活は、最期の準備であると同時に、これからの暮らしを安心して楽しむための生活設計でもあります。
「いつかはおひとりさま」になるかもしれない今だからこそ、必要な知識を先に持っておくことが、自由と安心につながります。
読むだけで終わらせず、自分の状況に合わせて一歩を踏み出すきっかけとして、本書を活用してみてください。
合わせて読みたい記事
-
-
おひとりさま終活について学べるおすすめの本 9選!人気ランキング【2026年】
「おひとりさま」という生き方が一般的になってきた今、自分らしい最期を迎えるための“終活”に関心を持つ人が増えています。 しかし、何から始めればいいのか分からない、専門的な手続きが難しそう…と不安を感じ ...
続きを見る
書籍『おひとりさまの終活準備BOOK』の書評

「終活=お葬式の準備」と思っていると、本当に困るのは“もっと手前”にある——本書はそこを丁寧にほどいてくれる一冊です。扱うテーマは、老後資金・認知症時の財産管理・介護・お墓・死後手続き・相続まで。しかも「女性は最終的に一人になる可能性が高い」という現実から、具体策を図解とケースで示しています。
この書評では、以下の4つの観点から本書の価値や本質を解説していきます。
- 著者:酒井 富士子のプロフィール
- 本書の要約
- 本書の目的
- 人気の理由と魅力
それぞれ詳しく見ていきましょう。
著者:酒井 富士子のプロフィール
酒井富士子さんは、長年にわたり「生活とお金」をテーマに取材・執筆を続けてきた経済ジャーナリストです。銀行や証券会社などの専門家向けではなく、一般の生活者が自分の判断に使える知識を得られるよう、制度や数字をかみ砕いて伝えることを得意としています。
もともとは編集者としてキャリアを積み、マネー誌や女性向け情報誌で企画・取材・構成を数多く担当してきました。この編集者としての経験が、本書の読みやすさや構成力に直結しています。単に情報を並べるのではなく、「どの順番で提示すれば理解しやすいか」「どこで読者が不安になりやすいか」を熟知しているからです。
また、酒井さん自身も50代になり、自分の老後や終活をどう考えるべきか明確な答えを持てずに悩んでいる当事者の一人です。本書の「はじめに」で語られているように、著者自身が迷いながら、少し年上の友人や知人に取材を重ね、そのリアルな声を積み上げて本書は作られています。そのため、専門家が上から正解を示すのではなく、「一緒に考える」距離感が保たれています。
終活、年金、介護、相続といった分野は制度が複雑で、しかも人によって最適解が異なります。酒井さんはその前提を隠さず、「公式な答えはない」「だからこそ早めに考える意味がある」と伝えています。この誠実な姿勢が、読者の安心感と信頼につながっています。
本書の要約
『おひとりさまの終活準備BOOK』は、将来一人で老後を迎える可能性がある女性を中心に、「困らないための準備」を体系的に整理した実用書です。ここで想定されている読者は、現在独身の人だけではありません。結婚していても、いずれ配偶者と死別する可能性がある以上、多くの人が対象になります。
本書が扱う範囲は広く、老後資金の考え方から始まり、判断能力が低下した場合の財産管理、介護の現実、死後の手続き、相続までが一冊にまとめられています。ただし、単に情報を網羅しているのではなく、「人生の後半に起こりやすい出来事が、どのようにつながっていくのか」を理解できる構成になっています。
たとえば、年金や貯蓄の問題は、介護や住まいの選択と密接に関係しています。判断力が低下すると、不動産の売却やお金の引き出しが難しくなる場合もあります。その結果、介護費用の捻出や相続トラブルにつながることもあります。本書では、こうした流れを分断せず、一続きのリスクとして整理しています。
さらに、現実的なケーススタディが随所に配置されている点も特徴です。特殊な成功例や失敗例ではなく、「どこにでもいそうな人」が直面した状況をもとに話が進むため、読者は自分の将来を具体的に想像しやすくなっています。
本書の目的
本書の目的は、「最期の段取り」を整えることではなく、「将来の混乱を防ぐ準備」を生活の中に組み込むことにあります。老後や死後に関する問題は、発生してから対応しようとすると、時間的にも精神的にも余裕がなくなり、選択肢が一気に狭まります。本書は、そうした事態を避けるために、将来起こり得る出来事を前もって把握し、準備を段階的に進める考え方を示しています。
終活に関する制度やサービスは数多く存在しますが、それぞれに向き不向きがあります。成年後見制度、家族信託、リバースモーゲージなどは、条件や家族関係によっては有効でも、全員にとって万能な解決策ではありません。本書では、こうした制度を「使うべきもの」として紹介するのではなく、「どういう状況で検討対象になるのか」を判断できるように説明しています。
また、終活を「人生を終える準備」ではなく、「これからの時間を安心して使うための土台づくり」として捉えている点も重要です。準備を整えることで、不安に振り回されず、やりたいことに時間やお金を使えるようになる。その状態を目指すことが、本書の根底にある狙いだと言えるでしょう。
人気の理由と魅力
本書が多くの読者に支持されている理由の一つは、不安を過剰に煽らない点にあります。老後や死後の話題は、極端な事例を用いれば恐怖を強調することもできますが、本書は現実を冷静に示し、「ではどう備えるか」という実務的な視点に終始しています。
また、扱われているケースが非常に現実的であることも大きな魅力です。独身、既婚、離婚経験者、子どもがいる人、いない人など、多様な立場が登場し、どれか一つに強く偏っていません。そのため、多くの読者が「自分に近い状況」を見つけやすくなっています。
さらに、読み終えたあとに具体的な行動につながりやすい構成も評価されています。ねんきん定期便を確認する、エンディングノートに書き始める、家族や専門家と話すきっかけを作るなど、小さな行動を促す導線が自然に組み込まれています。
終活本の中には、制度説明に偏りすぎて実践に結びつかないものや、精神論が中心で判断材料が不足するものもあります。本書はその中間に位置し、「理解」と「行動」のバランスが取れている点が、初心者にとって読みやすく、長く支持されている理由だといえるでしょう。
本の内容(目次)

本書は、終活を「死の準備」ではなく「老後を安心して生きるための生活設計」として捉え、読者が段階的に理解できるよう構成されています。いきなり制度やお金の話に入るのではなく、不安の正体を言語化し、現実的な選択肢を知り、行動に落とし込む流れが明確です。
全体は以下の章で構成されており、人生の後半に起こりやすい出来事を順を追って整理しています。
- 序章 私は老後の何が不安なの?終活の前に考えよう
- PART 1 老後資金、いくら準備すれば安心?
- PART 2 認知症への備え〔財産管理〕
- PART 3 介護の備え
- PART 4 お墓の準備
- PART 5 死後の手続き
- PART 6 相続への備え
ここからは、それぞれの章が何を扱い、どんな理解につながるのかを詳しく見ていきます。
序章 私は老後の何が不安なの?終活の前に考えよう
この章では、終活を始める前段階として、「自分は老後の何に不安を感じているのか」を整理することがテーマになっています。老後や死後について考えると、多くの人は漠然とした不安を抱きますが、その不安が何に由来しているのかを言葉にできていないケースがほとんどです。そこでこの章では、不安をそのままにせず、一つひとつ可視化する視点が示されています。
具体的には、「親と私の終活スゴロク」や「私の終活相談室」を通して、独身で実家暮らしの人、子どもがいない人、離婚後のおひとりさまなど、さまざまな立場の悩みが紹介されます。これらは特別なケースではなく、誰にでも起こり得る現実として描かれており、読者は自分の状況と重ね合わせながら考えることができます。
この章が伝えているのは、終活は何かを決める作業の前に、「気づく」作業が必要だという点です。老後の不安は突然現れるものではなく、親の介護や身近な出来事をきっかけに少しずつ現れます。その芽を見逃さず、早い段階で向き合うことが、後の準備をスムーズにします。
PART1 老後資金、いくら準備すれば安心?
この章では、老後資金に対する漠然とした不安を、具体的な数字と考え方で整理していきます。多くの人が「年金だけでは足りない」と感じながらも、実際に何がどれくらい不足するのかを把握できていません。そこでまず、「入るお金」と「出るお金」を分けて考える視点が提示されます。
老後資金は生活費だけでなく、住居費や医療費、介護費、さらには楽しみのためのお金も含めて考える必要があることが説明されます。公的年金が老後資金の中心である一方で、ねんきん定期便を確認し、自分がどれくらい受け取れるのかを知ることが重要だとされています。
また、「65歳以降は年金生活」という固定観念を見直し、65〜70歳までの働き方や年金の繰下げといった考え方も紹介されています。老後資金を一時点で考えるのではなく、時間の流れの中でどう確保するかという視点が、この章の大きな特徴です。
PART2 認知症への備え〔財産管理〕
この章では、認知症になった場合に起こり得る財産管理の問題が扱われています。判断能力が低下すると、本人名義の預貯金であっても自由に引き出せなくなったり、不動産の売却や契約行為ができなくなったりする可能性があります。これは多くの人が想像していないリスクです。
そこで、成年後見制度や代理人による手続き、家族信託といった仕組みが紹介されます。ただし制度の説明に終始するのではなく、「どんな場面で困るのか」「なぜ事前の準備が必要なのか」という実例を通して理解できる構成になっています。
また、80歳を目安に資産の整理を進めることや、有価証券や保険を流動性の高い資金に換える考え方も示されています。判断能力があるうちに準備しておくことが、後の選択肢を広げるという点が、この章の核心です。
PART3 介護の備え
この章では、介護がどのように始まり、どの程度の期間や費用がかかるのかが具体的に説明されています。介護は突然始まることが多く、事前に知識がないと、何から手を付ければよいのか分からなくなります。本書では、要介護認定の申請から介護のスタートまでの流れが示されています。
介護には在宅と施設の2種類があり、最初から施設に入るケースは少なく、多くの場合は在宅介護から始まります。おひとりさまの場合、最終的に施設を利用するケースが多いことも踏まえ、老人ホームの種類や費用、注意点が整理されています。介護保険制度についても、支給限度額や自己負担の考え方が説明されています。
また、公的サービスでは賄えない費用があることや、自治体サービスを元気なうちから利用するという視点も紹介されています。介護を「誰かに任せるもの」と考えるのではなく、自分の生活設計の一部として考えることが、この章の重要なメッセージです。
PART4 お墓の準備
この章では、お墓についての考え方と選択肢が幅広く紹介されています。夫の実家のお墓に入る場合、新しくお墓を建てる場合、永代供養墓や樹木墓を選ぶ場合など、状況によって検討すべき点が異なることが説明されています。お墓は感情的な問題になりやすい一方で、費用や管理の現実も無視できません。
本書では、お墓を新しく建てる場合の段取りや費用の目安、寺院や霊園が遺骨を管理・供養する仕組みについても触れています。子どもがいないおひとりさまにとって、誰が墓を守るのかという問題は特に重要であり、永代供養墓が一つの選択肢になることが示されています。
さらに、墓じまいや改葬についても説明されており、先祖代々のお墓を維持することが難しくなった場合の現実的な対応が紹介されています。お墓を「残すか、整理するか」を早めに考えることの大切さが、この章を通じて伝えられています。
PART5 死後の手続き
この章では、死後に発生するさまざまな手続きが時系列で整理されています。葬儀の流れや種類だけでなく、遺体の搬送・安置、火葬前後の手続き、役所への届出など、実務的な内容が中心です。死後14日以内に行うべき手続きが多いことも示され、事前の準備の重要性が強調されています。
おひとりさまの場合、誰がこれらの手続きを担うのかを決めておかないと、対応が滞る可能性があります。本書では、死後事務委任契約という考え方を紹介し、親族に頼れない場合の選択肢を示しています。一方で、法定相続人でなければ対応できない手続きがあることにも触れられています。
また、生前に自分でやっておくべきこととして、家の整理や遺品整理、ペットの行き先、残る自宅の扱いなども取り上げられています。死後の混乱を減らすためには、生前の準備が不可欠であることが、この章全体を通じて説明されています。
PART6 相続への備え
この章では、相続について基本から整理されています。相続を考える際には、まず法定相続人が誰になるのかを把握することが重要であり、子どもがいないおひとりさまの場合は特に注意が必要です。プラスの財産だけでなく、マイナスの財産がある場合の考え方についても触れられています。
本書では、遺言書の種類やルールについて説明し、事前に意思を示しておくことの重要性を伝えています。また、相続人がいない場合の対応や、遺贈という仕組みを使って知人や団体に財産を託す方法も紹介されています。遺贈寄付については、注意点や現物資産の扱いにも言及されています。
さらに、デジタル遺産の整理といった現代ならではのテーマも取り上げられています。相続を「お金の分配」だけで終わらせず、自分の意思をどう残すかという視点で考えることが、この章の大きな特徴です。
対象読者

この本は、老後やその先の人生について漠然とした不安を抱えている人に向けて書かれています。立場や家族構成は違っても、「将来に備えておきたい」「後悔のない選択をしたい」という思いは共通しています。
特定の年代や状況に限らず、次のような人にとって特に実用性の高い内容となっています。
- 独身・子どもなしで老後に不安を感じている人
- 結婚しているが将来ひとりになる可能性を考え始めた人
- 親の介護や物忘れが気になり始めた人
- 老後資金や年金について体系的に整理したい人
- 死後や相続について家族に迷惑をかけたくない人
これらに当てはまる人は、今すぐ差し迫った問題がなくても、将来に向けた備えを考えるタイミングに差しかかっています。
本書は、断片的な知識ではなく全体の流れを理解することで、自分に必要な準備を見極める手助けをしてくれます。
独身・子どもなしで老後に不安を感じている人
独身で子どもがいない場合、老後に起こる出来事を「誰に頼るのか」「誰が判断するのか」という点が大きな不安になります。本書は、配偶者や子どもがいることを前提にせず、ひとりで老後を迎える可能性を軸に構成されているため、自分の立場をそのまま当てはめて読み進めることができます。老後資金、認知症への備え、死後の手続きまでが一連の流れとして示されている点は、支え手が限られる人にとって特に重要です。
また、「おひとりさま」の老後にありがちな漠然とした不安を、具体的な準備項目に落とし込んでいるため、何から考えればよいかわからない状態から抜け出しやすくなります。将来を悲観するのではなく、現実的に整えていく視点を得られる点で、本書はこの立場の人に強く適しています。
結婚しているが将来ひとりになる可能性を考え始めた人
結婚していても、配偶者との死別や介護などにより、最終的にひとりで生活する可能性は誰にでもあります。本書は「今は夫婦」「将来は単身」という現実を無理なく想定し、段階的に考える構成になっているため、現在の生活を否定せずに将来への備えを進めることができます。
特に、夫婦単位でのお金の考え方や、片方がいなくなった後の生活設計について触れている点は、この立場の人にとって実用性が高い部分です。今の安心を保ちながら、先の不安を静かに整理したい人にとって、本書は現実的な道しるべになります。
親の介護や物忘れが気になり始めた人
親の変化に気づいたとき、多くの人は「介護はまだ先」と思いながらも不安を感じ始めます。本書は、介護がどのように始まり、どんな準備が必要になるのかを、生活の流れの中で説明しているため、介護初心者でも状況を具体的にイメージしやすくなっています。
さらに、親の介護を考えることが、自分自身の老後を考えることにつながる構成になっている点も特徴です。親の現実を通して将来の自分を重ね合わせることで、知識を「自分ごと」として吸収できるため、この段階にいる人にとって非常に相性の良い内容です。
老後資金や年金について体系的に整理したい人
老後のお金について断片的な情報は知っていても、全体像を整理できていない人は少なくありません。本書は、年金、生活費、住居費、介護費用などを切り離さず、老後の生活設計として一つにまとめて考える構成になっています。
制度の説明に終わらず、「どう使うか」「いつ必要になるか」という視点で整理されているため、数字が苦手な人でも理解しやすくなっています。お金に対する不安を、冷静な計画に変えたい人にとって、本書は土台作りに適した一冊です。
死後や相続について家族に迷惑をかけたくない人
亡くなった後の手続きや相続は、自分には見えにくい分、準備が後回しになりやすい分野です。本書は、死後に必要となる対応や相続の基本を具体的に示しているため、「何が残される人の負担になるのか」を理解しやすくなっています。
また、相続を単なる財産分配ではなく、自分の意思をどう残すかという視点で捉えている点も特徴です。周囲に迷惑をかけたくないという思いを、具体的な行動に変えやすい構成になっているため、この意識を持ち始めた人に非常に適しています。
本の感想・レビュー

老後資金の現実を数字と考え方から理解できる
これまで老後資金については、「何となく不安」という感情だけが先に立っていて、具体的に考えることを避けてきた。年金だけでは足りないと言われても、自分の場合はいくら足りないのか、何が不足するのかを把握しないまま時間だけが過ぎていた。本書を読んで最初に感じたのは、曖昧な不安の正体を一つずつ言語化してくれる安心感だった。
老後資金を生活費だけで考えない視点や、定年後に出ていくお金を事前に予算化する考え方は、どれも現実的で逃げ場がない。その一方で、怖がらせる書き方ではなく、「知れば整理できる」という距離感が保たれている点が印象に残った。数字が並んでいても圧迫感はなく、自分の状況に当てはめて考えられる余白がある。
老後のお金は、我慢の話ではなく選択の話なのだと感じられたのが大きい。お金をどう使うかを決めることは、これからの時間をどう生きるかを決めることでもある。本書は、その入口を静かに示してくれたように思う。
定年後も働くという選択肢を前向きに考えられる
正直に言えば、定年後に働くという言葉には、どこか後ろ向きな印象を持っていた。年金だけでは足りないから仕方なく働く、そんなイメージが頭にあったからだ。しかし本書を読み進めるうちに、その考え方自体が思い込みだったことに気づかされた。
65歳以降も少し働くという提案は、無理を前提にしていない。フルタイムで働き続ける話ではなく、自分のペースで収入を得るという選択肢として語られている点が現実的だった。年金の受け取り方と組み合わせて考えることで、老後の時間に余裕を持たせる発想には納得感がある。
働くことを「老後の負担」ではなく、「生活の安定を支える一要素」として捉え直せたのは大きな変化だった。仕事を続けるかどうかを自分で選べる状態を作ることこそが、安心につながるのだと感じた。
認知症への備えを自分の問題として捉え直せる
認知症という言葉は知っていても、それを自分の将来と結びつけて考えたことはほとんどなかった。どこか遠い話で、今は考えなくていいものだと思っていた。しかし、本書を読んでその距離感が一気に縮まった。
認知症になるとお金の管理ができなくなる、家の売却が難しくなるといった現実は、決して大げさな話ではない。制度の説明も、専門用語を並べるのではなく、「何ができて、何ができなくなるのか」という視点で整理されているため、状況が具体的に浮かんでくる。
備えることは、不安を増やす行為ではない。むしろ、判断力があるうちに選択肢を残しておくための行動なのだと感じた。認知症対策が、老後の安心と直結していることを初めて実感できた章だった。
元気なうちに財産管理を整える重要性が見えてくる
財産管理という言葉には、専門家に任せる難しい話という印象があった。自分にはまだ関係ない、そう思って読み始めたが、内容は想像以上に身近だった。通帳や保険、不動産といった日常的なものが、管理できなくなった瞬間に問題になるという視点は現実的だ。
本書では、制度や仕組みを万能な解決策として扱っていない点が印象的だった。どんな方法にも向き不向きがあり、事前に理解しておかなければ使えないことがはっきりと書かれている。そのため、読んでいて無理に勧められている感じがしない。
財産を「残すもの」ではなく、「生きている間にどう使うか」という視点で考えられるようになったのは大きな変化だった。管理とは制限ではなく、選択肢を守るための準備なのだと感じた。
介護が突然始まる現実を具体的に想像できる
介護については、いつか必要になるものだとは分かっていたが、その始まりを想像したことはなかった。本書では、ある日突然介護が始まる流れや、最初は在宅介護になるケースが多いことが丁寧に描かれている。その具体性に、思わず背筋が伸びた。
費用や期間についても、現実的な数字が示されているため、漠然とした不安が形を持つ。怖さはあるが、同時に「備える余地がある」という感覚も生まれる。制度の説明も生活の延長線上で語られているため、知識としてではなく、自分の将来の話として受け止められた。
介護は誰かに突然降りかかる問題ではなく、自分にも起こり得る出来事だという認識に変わった。知っておくこと自体が、将来の混乱を減らす行動になるのだと、静かに教えられた気がする。
お墓には想像以上に多くの選択肢がある
お墓の話題は、正直なところ後回しにしてきたテーマだった。家のお墓に入るものだと思い込んでいたし、それ以外の選択肢を考えるきっかけもなかった。本書を読んで感じたのは、「決まった正解はない」という事実を丁寧に示してくれる点だった。
一般的なお墓だけでなく、永代供養墓や樹木墓、散骨などが並列で語られており、それぞれの特徴や注意点が淡々と説明されている。良し悪しを決めつける書き方ではないため、自分ならどれを選びたいかを自然に考えられる。費用や管理の話も現実的で、感情論に寄らないところが読みやすかった。
お墓は「死後の話」ではあるが、同時に「生きている今の安心」の話でもあるのだと感じた。先に考えておくことで、将来の迷いや家族への負担を減らせるという視点は、これまで持っていなかったものだった。
葬儀や死後手続きの流れを事前に把握できる安心感
葬儀や死後の手続きについては、必要になったときに誰かがやってくれるものだと思っていた。しかし本書を読んで、その考えがいかに曖昧だったかを思い知らされた。亡くなった直後から短期間に多くの手続きが発生する現実は、想像以上に慌ただしい。
葬儀の流れや手続きの種類が順序立てて説明されていることで、初めて全体像が見えてくる。特に、おひとりさまの場合は事前の準備が重要になる点が繰り返し触れられており、他人任せにできない問題だと実感した。専門家に依頼できる仕組みがあることも、過剰に期待させず冷静に紹介されている。
知ることで不安が増えるのではなく、知ることで落ち着いて考えられるようになる。その感覚をはっきりと味わえた章だった。終わりの話なのに、どこか気持ちが整う読後感が残った。
相続や遺言を早めに考える意味が腑に落ちる
相続という言葉には、財産が多い人の話という距離感があった。しかし本書では、持ち家や預貯金といった身近なものから話が始まるため、他人事ではいられなくなる。相続人が誰になるのかを把握するだけでも、考えるべきことが多いと気づかされた。
遺言書についても、書いたほうがよいという結論を急がせない点が印象的だった。種類やルール、注意点が整理されており、知らずに進めることのリスクが自然と伝わってくる。子どもがいない場合や、財産をどう使いたいかという視点も含まれていて、考える幅が広い。
相続は「残す話」ではなく、「どう締めくくるか」の話なのだと理解できた。早めに考えることが、誰かのためだけでなく、自分自身の納得にもつながるという感覚が残った。
まとめ

ここまで、老後資金、介護、相続、死後の手続きといった幅広いテーマを通じて、本書がどのような悩みを持つ人に向いているのか、どんな価値を提供してくれるのかを見てきました。
最後に、このブログ記事の締めくくりとして、読者が「この本を読む意味」と「次に取るべき行動」を整理できるよう、ポイントをまとめます。
- この本を読んで得られるメリット
- 読後の次のステップ
- 総括
これらの視点から振り返ることで、「読んで終わり」ではなく、これからの人生にどう生かせるかが見えてきます。
この本を読んで得られるメリット
ここでは、本書を読むことで得られる主なメリットを紹介します。
不安を具体的な課題として整理できる
本書の大きな強みは、老後への漠然とした不安を、そのまま感情として扱わず、「何が問題になりやすいのか」「どんな準備が必要なのか」という形で分解してくれる点です。老後資金、介護、相続、死後の手続きといったテーマが、現実の生活の流れに沿って整理されているため、頭の中で絡まっていた心配事が一つずつほどけていきます。結果として、考えること自体が怖くなくなり、冷静に向き合えるようになります。
自分の立場に置き換えて考えやすい
独身、子どもがいない、将来ひとりになる可能性があるといった立場は、一般的な老後本では十分に扱われないこともあります。本書は、家族がいることを前提とせず、さまざまな背景を持つ人のケースを通して説明されているため、「これは自分には当てはまらない」と感じにくい構成になっています。自分の状況と重ねながら読み進められることで、知識が抽象論で終わらず、現実的な判断材料として身につきます。
お金と生活を切り離さずに考えられる
老後資金の話は数字や制度の説明に偏りがちですが、本書では生活の実態と結びつけて説明されています。年金、住居費、介護費用などがどのように関係し合うのかを一体として理解できるため、「お金の話が苦手」という人でも全体像をつかみやすくなっています。生活をどう続けるかという視点でお金を考えられる点は、長期的な安心感につながります。
行動につながる視点が得られる
知識を知るだけで終わるのではなく、「今の自分にできることは何か」を考えるきっかけを与えてくれる点も大きなメリットです。本書は、すべてを完璧に整えることを求めていません。現状を把握し、必要に応じて少しずつ準備を進めるという現実的な姿勢が示されているため、読み終えた後に自然と次の行動を意識しやすくなります。
終活を前向きに捉えられるようになる
終活という言葉に対して、「重い」「縁起が悪い」という印象を持つ人も多いですが、本書を通して得られるのは、これからの人生を安心して楽しむための考え方です。最期の準備というよりも、今後の生活を主体的に選び取るための知識として終活を捉え直せるため、将来に対する見方そのものが変わっていきます。
読後の次のステップ
本書を読み終えたあとに大切なのは、知識を「知って終わり」にしないことです。老後や終活は一度にすべてを整えるものではなく、理解した内容を自分の生活に照らし合わせながら、少しずつ行動に移していくことが現実的な進め方になります。
ここでは、読後に意識しておきたい具体的なステップを紹介します。
step
1現在の状況を把握する
最初に取り組みたいのは、自分の今の立ち位置を知ることです。収入や支出、貯蓄の状況、住まいの形、家族や頼れる人の有無などを大まかに整理するだけでも、漠然としていた将来像が少し具体的になります。正確な数字をそろえる必要はなく、「把握しようとする姿勢」を持つことが重要です。
step
2将来起こり得る出来事を想定する
次の段階では、老後に起こりやすい出来事を自分の生活に当てはめて考えてみます。介護が必要になった場合、ひとりで生活する期間が長くなった場合、住まいをどうするかなど、可能性を広げて想像することで、準備すべきポイントが見えてきます。不安を増やすためではなく、選択肢を持つための想定です。
step
3優先順位を決める
終活に関する課題は多岐にわたるため、すべてを同時に進めようとすると負担が大きくなります。自分にとって今一番気になるテーマは何かを考え、そこから手を付けることで、行動へのハードルが下がります。優先順位をつけること自体が、終活を現実的なものにする大切な工程です。
step
4小さな行動に落とし込む
考えがまとまってきたら、日常の中でできる小さな行動に変えていきます。情報を確認する、話題に出してみる、メモに残すといった軽い一歩でも構いません。行動を起こすことで、「準備している」という実感が生まれ、終活が特別な作業ではなく生活の一部として定着していきます。
step
5定期的に見直す意識を持つ
終活は一度決めたら終わりではなく、年齢や環境の変化に応じて見直していくものです。生活状況や考え方が変われば、必要な準備も変わります。本書をきっかけに、定期的に立ち止まって考える習慣を持つことが、長期的な安心につながります。
総括
『おひとりさまの終活準備BOOK』は、老後や死後に対する不安を感情論ではなく、現実的な視点で整理できる一冊です。終活という言葉に対して「まだ早い」「縁起が悪い」と感じていた人でも、読み進めるうちに、自分の人生を守るための知識として自然に受け止められる構成になっています。特別な状況の人だけでなく、多くの人に当てはまる内容である点が、この本の大きな特徴です。
本書が扱うテーマは、老後資金、介護、認知症、相続、死後の手続きなど幅広いものですが、それらを単独の問題として切り離すのではなく、人生の流れの中で捉え直しています。そのため、断片的な知識に振り回されることなく、自分に必要な準備を冷静に考えられるようになります。不安をあおるのではなく、選択肢を示す姿勢が一貫している点も安心感につながります。
また、「おひとりさま」という言葉をネガティブに扱わず、自立した生き方として前向きに捉えている点も印象的です。誰かに依存する前提ではなく、自分で判断し、自分で備えるという考え方は、これからの時代に合った終活のあり方といえます。だからこそ、独身の人だけでなく、既婚者や家族のいる人にとっても学びの多い内容になっています。
終活は人生の終わりを考える行為ではなく、これからの人生をどう安心して生きるかを考える行為です。
本書は、そのスタート地点として非常に適した一冊です。
老後や将来に対して漠然とした不安を感じている人が、自分の人生を主体的に設計するための土台を築くきっかけになるでしょう。
おひとりさま終活について学べるおすすめの書籍

おひとりさま終活について学べるおすすめ書籍です。
本の「内容・感想」を紹介しています。
- おひとりさま終活について学べるおすすめの本!人気ランキング
- 家族に頼らない おひとりさまの終活〜あなたの尊厳を託しませんか
- おひとりさまの死後事務委任(第3版)
- この1冊で安心! おひとりさまの終活まるわかり読本
- おひとりさまの終活準備BOOK
- おひとりさまの親と私の「終活」完全ガイド
- 私が死んだらどーなるの?おひとりさまの後始末
- おひとりさまの老後
- おひとりさま・おふたりさまの相続・終活相談
- 相続・遺言・介護の悩み解決 終活大全
