この記事では、「高等学校等修学支援金制度」について解説していきます。
高等学校等に就学すると授業料が発生します。
「高等学校等就学支援金」は、高校等に通う生徒等に対し、授業料の一部又は全部を支援する制度です。世帯所得や通う学校種により、支給の有無や金額が異なります。
この記事を読めば、高等学校等修学支援金制度の「支援内容」「支援要件」「支給額」などを知ることができます。
高等学校等修学支援金制度とは
家庭の経済状況にかかわらず、学ぶ意思のある高校生等が、安心して勉強に打ち込める環境をつくるため、国の費用で高等学校就学支援金として授業に充てるための一定額の援助を行うことで、家庭の教育費負担を軽減するものです。
支援内容
国公私立を問わず、高等学校等に通う一定の収入額未満の生徒に対して、授業に充てるため国から高等学校就学支援金が支給されます。
修学支援金は、簡便で確実に授業料負担を軽減できるように、学校が生徒本人に代わって受けとり、授業料等の一部に充てる仕組みになっています。
支給要件
日本国内に住所を有し、保護者等の市町村民税所得割額と道府県民税所得割額の合算額が50.7万円未満で、国立・公立・私立の下記の学校に在学しているとき。
- 国公私立の高等学校(全日制、定時制、通信制)
- 中等教育学校後期課程
- 特別支援学校高等部
- 高等専門学校(1~3年)
- 専修学校高等課程
- 国家資格者養成課程に指定されて専修学校一般課程や各種学校のうち、①准看護士、②調理師、③製菓衛生士、④理容師、⑤美容師の国家資格者養成課程の指定を受けたもの
- 文部科学大臣に指定されて外国学校
- 海上技術学校
受給対象とならない方
下記のいずれかに該当する場合は支給されません。
- 世帯年収が910万円以上の世帯(片働きの場合)
- 高校学校等を既に卒業または修了した方
- 高等学校等に在学した期間が通算して36ヶ月を超えた方(通信制・定時制は48ヶ月まで可)
なお、世帯年収の枠組みは以下のようにさまざまですので、受給できるかどうかは学校に確認が必要です。
- 親が離婚してる場合
→ 主に生計を共にしており養育をしている親の収入が世帯年収となる - 祖父母と同居の場合
→ 主な養育者である父・母などの収入が世帯年収となる - 入学者が20歳以上の場合
→ 自分の生計を維持している人の年収か、自分の収入のみが世帯年収となる
支給額
公立・私立高等学校等は9,900円(年額118,800円)を限度として支給。学校の種類によって異なる。
私立高等学校等については、世帯の収入に応じて1.5~2.5倍の加算があります。
支給限度額は下記のとおりです。授業料が下記に達しない場合には、授業料を限度として就学支援金を支給します。
学校の種類 | 金額 |
国立高等学校、国立中等教育学校の後期課程 | 月額9,600円 |
公立高等学校(定時制)、公立中等教育学校の後期課程(定時制) | 月額2,700円 |
公立高等学校(通信制)、公立中等教育学校の後期課程(通信制) | 月額520円 |
国立・公立特別支援学校の高等部 | 月額400円 |
上記以外の支給対象高等学校等 | 月額9,900円 |
なお、単位制の高等学校、中等教育学校の後期課程、専修学校においては、履修単位数に応じた支給となります。
- 支給対象単位数の上限:74単位
- 年間の支給対象単位数:30単位
- 支給期間の上限:36月(定時制・通信制課程の場合は、在学期間について、その月数を1月の4分の3に相当する月数として計算)
- 一単位あたりの支給額は4,812円(これを履修期間で除した額が支給月額)
支給対象になる世帯の年収目安
支給対象になる世帯の年収目安 | |||
子の人数 | 11万8,800円の支給 (月額9900円) |
39万6,000円の支給 (月額33,000円) |
|
両親のうち一方が働いている場合 | 子2人(高校生・高校生) | ~約950万円 | ~約640万円 |
子2人(大学生・高校生) | ~約960万円 | ~約650万円 | |
両親共働きの場合 | 子2人(高校生・中学生以下) | ~約1030万円 | ~約660万円 |
子2人(高校生・高校生) | ~約1070万円 | ~約720万円 | |
子2人(大学生・高校生) | ~約1090万円 | ~約740万円 |
※支給額は、私立高校(全日制)の場合。
※子について、中学生以下は15歳以下、高校生は16~18歳、大学生は19~22歳の場合。
※給与所得以外の収入はないものとし、両親共働きの場合、両親の収入は同額として計算した場合。
支給期間 ・ 支給限度額
※1 高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行令第3条第5号及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則第7条に基づいて計算した支給限度額に3分の10を乗じた額
※2 高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行令第3条第5号及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則第7条に基づいて計算した支給限度額に2分の5を乗じた額
※3 国立学校は定額授業料のみ
※4 括弧書きは実際には存在しないもの
手続き
原則、入学時の4月に受給資格認定申請書に市町村民税・道府県民税所得割額が確認できる書類等を添付し、学校等に提出します。
問合わせ先
問合わせ先は、在籍する学校、都道府県です。
令和2年4月から私立高校授業料実質無料化
高等学校等修学支援金(返還不要の授業料支援)の制度改正で、私立高校等に通う生徒への支援が手厚くなります。
出典:文部科学省 「私立高等学校の授業料の実質無償化」リーフレット
※1 私立高等(通信制)は29万7000円、国公立の高等専門学校(1~3)は23万4600が支給上限額。
※2 両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合の目安。
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