この記事では、「障害年金をもらえない人に給付される特別障害給付金」について解説していきます。
障害年金の給付を受けるには、年金保険料をきちんと納めていることが条件になります。
つまり、年金保険料の未納などにより受給のための条件を満たしていないと、障害年金をもらえません。
ただし、その救済措置として特別障害給付金がありあます。
この記事を読めば、特別障害給付金の「支給要件」「支給額」「手続き」などを知ることができます。
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特別障害給付金とは
原則として、障害年金は年金制度に加入中に初診日のある病気やケガで障害状態になったときにその年金制度から支給されます。
そのため、国民年金への加入が任意の時期に任意加入していなかった人はその時期に初診日のある病気やケガで障害状態となっても、障害基礎年金等が支給されません。
そこで、国民年金制度の発展過程において生じた特別な事情にかんがみ、福祉的措置として、障害基礎年金を受給していない障害者の方に対して特別障害給付金が支給されます。
支給要件
下記のいずれかに該当していた時期に国民年金に任意加入していなかった人で、その時期に傷害の原因となった病気やケガでの初診日があるために障害基礎年金を受給できず、現在、障害基礎年金の1級、2級相当の障害状態にある人。
ただし、65歳に達する日の前日までに当該障害状態に該当した場合に限ります。
- 昭和61年3月以前に国民年金任意加入対象者であった被用者年金制度加入者または受給者等の配偶者
- 平成3年3月以前に国民年金任意加入対象者であった学生
給付額
- 障害基礎年金1級相当の障害に該当する方
➝ 月額 51,650円 - 障害基礎年金2級相当の障害に該当する方
➝ 月額 41,320円
手続き
特別障害給付金申請書に年金手帳を添付し、市区町村役場へ提出することで手続きが完了します。
支給が行われる月
給付金の支払は毎年、2月、4月、6月、8月、10月、12月の6回です。
受給者本人の前年の所得が一定額以上のときは、支給が全額または半額に制限されます。
障害等級に当てはまる障害の状態
障害年金の等級には、1~3級までありますが、これは障害手帳の級とは関係ありません。
1級障害の状態
1級障害の状態とは、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用事を済ませることを不能とする程度のもの。
この日常生活の用事を済ませることを不能とする程度とは、他人の介助を受けなければほとんど自分の用事を済ませることができない程度のもののことです。
例えば、身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるものです。
部位 | 障害の状態 |
眼 | 両眼の視力の和が0.04以下 |
聴覚 | 両耳の聴力レベルが100デシベル以上 |
上肢 | 両上肢の機能に著しい障害を有する/両上肢のすべての指を欠く/両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有する |
下肢 | 両下肢の機能に著しい障害を有する/両下肢を足関節以上で欠く |
体幹・脊髄 | 体幹の機能に座っていることができない程度または立ち上がることができない程度の障害を有する |
2級障害の状態
2級障害の状態とは、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
この日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のもののことです。
例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものです。
部位 | 障害の状態 |
眼 | 両眼の視力の和が 0.05 以上 0.08 以下 |
聴覚 | 両耳の聴力レベルが 90 デシベル以上 |
平衡機能 | 平衡機能に著しい障害を有する |
そしゃく | そしゃくの機能を欠く |
言語 | 音声又は言語機能に著しい障害を有する |
上肢 | 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠く/両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有する/など |
下肢 | 両下肢のすべての指を欠く/一下肢を足関節以上で欠く |
体幹・脊髄 | 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有する |
障害年金の給付を受けるために必要な納付状況
自分が将来、障害を負うかどうかは誰にもわかりません。もしものために、国民年金の保険料は必ず納付しましょう。
障害年金の給付を受けるには下記のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 初診日の先々月までの年金加入月数の2/3以上の保険料納付済み、または免除を受けている
- 初診日の先々月までの年金加入月数の12ヶ月すべて保険料納付済みか、または免除を受けている
- 20歳未満。(二十歳前傷病による障害基礎年金の請求)
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