社会保障

失業保険(失業手当)の受給期間が延長される5つの制度

求職者給付(失業給付金)の受給期間が延長される5つの制度

次の就職先が決まらず、求職者給付(失業給付金)の受給期限が迫って困惑する事態に陥る可能性は誰の身にも起こり得ます。

そんな状況でも落ち着て行動できるように、求職者給付(失業給付金)の受給期間が延長される5つの制度を理解しておきましょう。


受給期間が延長される5つの制度

受給期間が延長される5つの制度

失業給付金(基本手当)の支給は、離職時の年齢、離職事由、被保険者期間、就職困難者か否かにより給付日数の上限が設定されています。


しかし、社会情勢、地域性あるいは求職者本人の問題により、なかなか就職することができず、所定の給付日数だけでは保護が足りないこともあります。

このような場合、所定給付日数を延長して、基本手当が支給されます。

これを延長給付といいます。


延長給付には下記の5つがあります。


  1. 訓練延長給付
  2. 広域延長給付
  3. 全国延長給付
  4. 個別延長給付
  5. 地域延長給付


それぞれ、期間が延長された分だけ受給期間も延長されます。

 


なお、新型コロナウイルス感染症などの影響により、一定条件を満たす離職者が令和2年6月12日以降に基本手当の所定給付日数を受け終わる場合に60日(所定給付日数が270日、330日の場合は30日)の延長が特例で設けられました。


それぞれわかりやすく解説していきます。



訓練延長給付とは

職業訓練を受け、職業能力を向上させることが就職につながると判断されたとき、受給資格者が公共職業安定所長の指示により、公共職業訓練等を受講する場合に、①90日を限度として、公共職業訓練を受けるために待機している期間、②2年を限度として、公共職業訓練等を受けている期間、③30日を限度として、公共職業訓練等の受講終了後の期間に関して、失業している日については所定給付日数を超えて基本手当が支給されます。


ただし、③については公共職業訓練が終わっても就職の見込みがなく、かつ、特に職業指導その他再就職の援助を行う必要があると認められた人についてのみ訓練延長給付が行われます。

また、その延長された分だけ受給期間も延長されます。


広域延長給付とは

失業者が多数発生した地域において、広い範囲で職業の紹介を受けることが必要と認められる受給資格者については、広域延長給付として90日分を限度に所定給付日数を超えて基本手当が支給されます。


この場合、受給期間も90日分延長されることになります。


全国延長給付とは

全国的に失業の状況が悪化した場合に、一定期間すべての受給資格者に対し90日を限度に所定給付日数を超えて基本手当が支給されます。


この場合、受給期間も90日分延長されることになります。


個別延長給付とは

個別延長給付とは、倒産や解雇などの理由により離職した者(特定受給資格者)、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことにより離職した者(一定の特定理由離職者)で再就職のための職業指導を行うことが適切と認められた者に支給される延長給付のことです。


個別延長給付を受ける要件には、心身の状況や激甚災害の被害を受けたため離職した場合などに該当する必要があります。

これらの要件に応じて、給付日数は60日~120日(所定給付日数が270、330日の場合は30~90日)延長されます。


地域延長給付とは

地域延長給付とは、倒産や解雇などの理由により離職した者(特定受給資格者)、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことにより離職した者(一定の特定理由離職者)で再就職のための職業指導を行うことが適切と認められた者に支給される延長給付のことです。


地域延長給付は、厚生労働大臣が指定した雇用機会が不足する地域に居住する者が対象になります。

60日を限度に給付日数が延長されます。


延長給付は令和4年までの暫定措置です。



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