政府は2022年3月15日の規制改革推進会議で、風邪薬や頭痛薬などの一般医薬品をコンビニエンスストアで入手しやすくするための議論を始めました。
要件が厳しくて販売店舗を増やせない現状を踏まえ、オンラインで購入した薬を店舗で受け取る新たな仕組みを提起しました。
岸田文雄首相が掲げるデジタル技術を使った規制改革に沿う動きだが、厚生労働省は反対する。政府内の攻防が予想されます。
医薬品がコンビニで受け取れるようになる
コンビニ業界の調査では、消費者が取り扱ってほしい最たるものは医薬品です。
薬局が開いていない休日や夜間にコンビニで受け取ることができれば利便性が高まります。
特にドラッグストアなどが少ない地方では恩恵が大きいです。
一般医薬品は現在、薬局や主に自治体から医薬品医療機器法(薬機法)上の「店舗販売業」の許可を得たドラッグストアで購入できます。
全国の一部コンビニでも買えますが、日本フランチャイズチェーン協会によると、全コンビニ店舗に占める医薬品販売店の比率は0・7%程度(2022年2月末時点)でごくわずかです。
一定のスキルを持つ人の管理を求める規制がネックになっています。
注文後に即日受け取ることも可能になる
規制改革会議は、一般医薬品をインターネットで購入した後、許可を得ていないコンビニでも消費者に渡すことができる案を提起しました。
安全性を担保するため、薬の貯蔵や授与をデジタル技術で管理することになります。
薬機法は管理者による店舗でのチェックを求めますが、デジタル技術を使えば遠隔で可能だと規制改革会議やコンビニ大手は主張しています。
消費者のニーズが大きい商品はあらかじめ店舗に在庫として保管しておけるため、注文後に即日受け取ることも可能になります。
店舗管理者として認められるための要件の見直しも議論する。現在は過去5年間で2年以上、かつ合計1920時間以上、医薬品販売で業務に従事することが必要です。
これを「1年以上」などに緩和する案を検討しています。
厚労省は反対姿勢
こうした改革について、厚労省は反対姿勢を崩していません。
薬機法に基づく店舗販売の許可制度の趣旨として、医薬品を売る「現場」で知識や経験のある管理者がしっかりと安全を担保することが重要だとみるからです。
遠隔で管理が行き届くか疑問視する意見も根強くあります。
既存の顧客を失いかねないドラッグストア業界も反対する可能性があります。議論は難航しそうです。
デジタル技術の活用による古い規制の撤廃は、首相が表明した改革メニューの柱の一つでもあります。
政府内には地方での利便性が向上すれば、公約である「デジタル田園都市国家構想」にも寄与するとの期待があります。
消費者目線にたった改革の実現に向けた首相官邸の指導力も試されます。
まとめ
政府は規制改革推進会議で、風邪薬や頭痛薬などの一般医薬品をコンビニエンスストアで入手しやすくするための議論を始めました。
コンビニ業界の調査では、消費者が取り扱ってほしい最たるものは医薬品です。
一般医薬品は現在、薬局や主に自治体から医薬品医療機器法(薬機法)上の「店舗販売業」の許可を得たドラッグストアで購入できます。
一定のスキルを持つ人の管理を求める規制がネックになっています。
こうした改革について、厚労省は反対姿勢を崩していません。
薬機法に基づく店舗販売の許可制度の趣旨として、医薬品を売る「現場」で知識や経験のある管理者がしっかりと安全を担保することが重要だとみるからです。