文部科学省が2021年10月13日に公表した調査で、2020年度の小中高校生の自殺者が415人に上ることが判明しました。
19年度(317人)から急増し、1974年の調査開始以降で最多となりました。
文科省の担当者によると、自殺理由の傾向は例年と大きく変わっていない。ただ「友人や先生とのコミュニケーションなど、『救いの場』としての学校での活動が新型コロナウイルスの影響で制限された。相談や悩み解消の機会が失われ、子どもらが抱えていた問題が増幅した恐れがある」と言っています。
高校生の自殺者が305人と最多
学校側からの報告に基づき、20年度の児童生徒の自殺件数をまとめたところ、学校種別では小学生7人、中学生103人、高校生305人でした。
特に高校生は前年度から83人増え、深刻な状況が浮き彫りになりました。
半数以上が原因不明
自殺した児童生徒が置かれていた状況を学校側に聞いたところ、半数以上の218人が「不明」でした。
理由が推定できるものでは「家庭不和」(53人)や「父母等の叱責」(33人)が多く、「いじめ」も12人いました。
中等度以上のうつ症状が確認される生徒がいる
国立成育医療研究センターが昨年11~12月、小中高校生715人にアンケート調査したところ、小学4~6年の15%、中学生の24%、高校生30%で中等度以上のうつ症状が確認されました。
コロナ禍の長期化に伴い、子どもの心理状況は一層不安定さを増している可能性もあります。
いじめや不登校への対応
文科省は22年度中に、いじめや不登校に対応するスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの在校時間を長くする「重点配置」の対象校を、それぞれ現在の1000校から1500校まで増やす方針です。
全小中学生に配備した学習用端末を活用した支援も検討するなど、悩みを話しやすい環境を整えます。
児童生徒の自殺者数は、警察庁も暦年ベースで取りまとめています。
文科省の調査では学校側が把握できた事案のみを計上するため、同庁の統計よりも少なくなる傾向があります。
自殺する前に相談しましょう
もしもあなたが悩みや不安を抱えて困っているときには、気軽に相談できる場所があります。
厚生労働省こころの健康相談統一ダイヤル(電)0570・064556。