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生活保護費の支給額引き下げは合憲 初の二審判決

生活保護費の支給額引き下げは合憲 初の二審判決

2013~15年の生活保護費の支給額引き下げは、生存権を保障した憲法に違反しているなどとして、大阪府の受給者ら約40人が国と自治体に処分の取り消しや賠償を求めた訴訟の控訴審判決が4月14日、大阪高裁で行われました。

裁判長は国の減額改定処分を取り消した一審・大阪地裁判決を変更し、受給者側の逆転敗訴としました。


詳しく解説していきます。


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生活保護費の支給額引き下げは合憲

生活保護費の支給額引き下げは合憲

同種訴訟は全国で起こされており、今回が初の二審判決でしたが、結論は合憲となりました。


訴訟は、国が物価下落に合わせて支給水準を見直した「生活扶助」について、改定に関する厚生労働相の判断が裁量の範囲にとどまるかが主に争われました。


国は2013~2015年、生活扶助の基準額を平均6・5%、最大で10%引き下げ、約670億円削減。

厚労省は基準額の引き下げにあたり独自の指数を使ったほか、物価の上昇率が高かった2008年を起点に物価下落率を算定しました。

デフレ傾向が続くなか、生活扶助の支給額が一般の低所得世帯の生活費を上回る「逆転現象」が指摘されていたことへの対応でした。


判決理由

判決理由

裁判長は判決理由で、国の対応について「一定の合理性が認められる」と指摘。

2017年には減額水準の妥当性について検証もなされたとして、「厚労相の判断には裁量権の逸脱または乱用は認められない」としました。


また減額による受給者の生活については「リーマン・ショック後、消費及び賃金等が減少した国民の多くが感じた苦痛と同質」と言及。

そのうえで生活扶助の水準が引き下げられたことにより「生活水準を維持するのに十分ではないと認めることはできない」との考え方を示しました。


判決を受けて弁護士団と厚労省の反応

判決を受けて弁護士団と厚労省の反応

判決後に記者会見した弁護団は「原告が訴える窮状を切り捨てる判断であり、到底容認できない」と批判。

「直ちに上告して最高裁で争っていく」と述べました。


一方、厚労省は「生活扶助基準の改定が適法であると認められた。

今後も自治体との連携を図りつつ、生活保護行政の適正な実施に努める」とのコメントを出しました。


生活保護の減額訴訟は全国29地裁で行われている

生活保護の減額訴訟は全国29地裁で行われている

弁護団によると、同種訴訟はこれまで全国29地裁で起こされているそうです。4月13日までに出た一審判決19件のうち、2021年2月の大阪地裁判決をはじめ、9件が国による減額処分を取り消す一方、10件は原告側の主張を退ける判断をしています。

各地の高裁でも争われており、決着にはなお時間がかかりそうです。


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