国土交通省は自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料について、4月から自家用車1台あたり年125円の賦課金(ふかきん)を上乗せする方針を決めました。
新たな賦課金は年100億円規模の安定財源として、交通事故被害者の支援拡充や安全確保に向けた新技術の普及促進に充てられます。
同時に、自動車の安全性能の向上や新型コロナウイルス禍で外出が減ったことによる人身事故の減少が反映され、自賠責保険料が平均で11.4%引き下げられます。
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自家用車1台あたり年125円の賦課金を上乗せ
国土交通省は自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料について、4月から自家用車1台あたり年125円の賦課金を上乗せすることを決めました。
タクシーなどの商用車は150円、原動機付き自転車などは100円を上乗せされます。
これまでは無保険車による事故などの救済措置に充てるため、1台あたり年16円の賦課金を徴収していました。
被害者支援や事故防止には現在年150億円弱の費用がかかっています。
2023年度以降は年200億円に増やし、事業費の半分を賦課金で賄うことになります。
具体的には事故の被害者が利用できる療護施設の新設や社会復帰のサポート、介護人材の確保などの支援策に140億円を見込んでいます。
衝突回避システムや自動緊急通報機能といった安全技術の普及などに60億円を想定しています。
自賠責保険はすべての自動車ユーザーに加入義務がある
自賠責保険は自動車事故による第三者の死亡やケガの損害を補償するため、すべての自動車ユーザーに加入義務があります。
国内で走る約8200万台が対象になります。自動車の所有者と保険会社が契約します。
現在、保険料は自家用車なら年1万2700円。日本全体では約5300億円規模になります。
新たな賦課金を導入する背景
新たな賦課金を導入する背景には財政的な課題があります。
これらの支援策は国交省の自動車安全特別会計でまかなってきました。
1994~95年度に特別会計から国の一般会計に1兆1200億円を繰り入れ、今も約6000億円が戻っていません。
支援策に使える積立金の残高は2022年度時点で約1400億円にとどまっています。
低金利で運用益が減少し、取り崩しが続いています。
事業には現在も年150億円弱かかり、支援策の充実で200億円規模に拡大する見通しです。
積立金は早ければ10年程度で枯渇する恐れがあります。
国交省は一般会計からの繰り戻しを進めるとともに、新たな賦課金を安定財源としたい考えです。
2023年度の自賠責保険料を平均で11.4%引き下げる
金融庁は自動車損害賠償責任(自賠責)保険の審議会を開き、2023年度の自賠責保険料を平均で11.4%引き下げることを決めました。
自動車の安全性能の向上や新型コロナウイルス禍で外出が減ったことによる人身事故の減少を反映した結果です。
保険料の下げは2年ぶりです。
4月1日から実施され、自家用車(2年契約、沖縄・離島除く)の保険料は2360円下がり、1万7650円となります。
軽自動車(2年契約、沖縄・離島除く)の自賠責保険料は2190円下がり、1万7540円になります。
新たな賦課金が加わっても、全体では前年度比1割ほど下がる見通しです。
国交省などによると、安全対策の普及や医療水準の向上で、交通事故による全国の死者数は昨年2610人と、過去最悪だった1970年の1万6765人から8割超減りました。
ただ介護が必要な重い後遺症を負う被害者は年1200人ほどおり、近年、横ばい傾向が続いています。
まとめ
国土交通省は自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料について、4月から自家用車1台あたり年125円の賦課金を上乗せすることを決めました。
タクシーなどの商用車は150円、原動機付き自転車などは100円を上乗せされます。
これまでは無保険車による事故などの救済措置に充てるため、1台あたり年16円の賦課金を徴収していました。
新たな賦課金を導入する背景には財政的な課題があります。
これらの支援策は国交省の自動車安全特別会計でまかなってきました。
支援策に使える積立金の残高は2022年度時点で約1400億円にとどまっています。
低金利で運用益が減少し、取り崩しが続いています。
金融庁は自動車損害賠償責任(自賠責)保険の審議会を開き、2023年度の自賠責保険料を平均で11.4%引き下げることを決めました。
自動車の安全性能の向上や新型コロナウイルス禍で外出が減ったことによる人身事故の減少を反映した結果です。
新たな賦課金(年125円)が加わっても、全体では前年度比1割ほど下がる見通しです。