この記事では「インフルエンザ」について解説していきます。
インフルエンザは毎年流行しているため、知らない人はいないでしょう。
しかし、具体的に詳細を知っている人は少ないのではないでしょうか?
この記事読めば、インフルエンザの「症状」「種類」「WHOの新型インフルエンザ対策」「日本の新型インフルエンザ対策」を知ることができます。
関連記事
・感染症とは?感染症の詳細をわかりやすく解説
・検疫とは?検疫の詳細をわかりやすく解説
・予防接種とは?予防接種の詳細をわかりやすく解説
・公衆衛生とは?公衆衛生の詳細をわかりやすく解説
・結核とは?結核の詳細をわかりやすく解説
インフルエンザとは
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症です。
インフルエンザウイルスにはA、B、Cの3型があり、流行的な広がりを見せるのはA型とB型です。
A型 | B型 | C型 | |
変異 | 非常に変異しやすい | 変異しにくい | 変異しにくい |
HA・NA | HAが18種類、NAが11種類あり、HAとNAの組み合わせの数だけ亜型が存在します | HA・NAは多様ではなく、同一原性を有する | HA・NAはなく、代わりにヘマグルチニンエステラーゼ(HE)という蛋白質が存在する |
流行 | 毎年冬季に流行する(季節性インフルエンザ)他に、爆発的な流行を起こすことがある(新型インフルエンザ) | 冬季に小流行を起こす | 季節によらず、主に小児に感染する |
その他 | HA・NAに不連続的・突然的な組換えや変異が起こると新型インフルエンザとなり、世界的な流行を引き起こす可能性がある 人以外の鳥・豚・馬・猫も存在し、鳥インフルエンザ・豚インフルエンザなどを引き起こします |
新型インフルエンザになる可能性は低い |
インフルエンザの症状
A型・B型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1~3日間ほどの潜伏期間の後に、発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然現われます。
そして、咳、鼻汁などの上気道炎症状がこれに続き、約1週間の経過で軽快するのが典型的なインフルエンザの症状です。
一般的な「かぜ」に比べて、全身症状が強いのが特徴です。
免疫機能が低下している患者は、原疾患の増悪とともに、呼吸器に二次的な細菌感染症を起こしやすくなるため注意が必要です。
新型インフルエンザ
新型インフルエンザとは、過去数十年の間に人が経験したことのない新たなインフルエンザウイルスが、ヒトの間で伝播して流行を起こしたものです。
『感染症法』による定義では「新たな人から人に伝播する能力を獲得したウイルスを病原体とするインフルエンザであって、一般的に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速な蔓延により国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの」とされています。
新型インフルエンザA型ウイルスに組換え変異が起こって出現するといわれており、免疫を持つ人が存在しないか少ないために、汎世界的流行(パンデミック)を起こす可能性が高い。
名称 | 流行年 | 亜型 | 死者数など |
スペインかぜ | 1917~1919 | H1N1 | 全世界で約3,000万人が死亡 |
アジアかぜ | 1957 | H2N2 | 全世界で約200万人が死亡 |
香港かぜ | 1968~1969 | H3N2 | 全世界で約100万人が死亡 |
ソ連かぜ | 1977 | H1N1 | スペイン風邪と同じ亜型であり高齢者は免疫を持っていたため、主に青少年に流行し、全世界で約10万人が死亡 |
インフルエンザ2009 | 2009 | H1N1 | 全世界で約2万人弱~28万人が死亡 |
「人のインフルエンザ」と「人以外のインフルエンザ」
インフルエンザは人および動物が感染し、進化が起こることにより動物から人へ感染する可能性がでます。
インフルエンザには「人ー人」間で冬季に流行する季節性インフルエンザ、主に鳥に起こる鳥インフルエンザ、豚に起こる豚インフルエンザなどがあり、組換え変異で進化したものによって引き起こされる、これまでに流行したことのないインフルエンザを新型新型インフルエンザといいます。
ヒト季節性インフルエンザ | 鳥インフルエンザ | 豚インフルエンザ | |
型 | A型・B型・ C型がある | A型のみ存在し、変異したものは人への感染を有する。日本では鳥の致命率が高いH5亜型とH7亜型の一部を高病原性と定めている | A型のみ存在し、変異・組換えを経たものは人への感染症を有する |
感染経路 | 主に人から人感染を起こし、進化によって爆発的な流行を起こすことがある | 水鳥から家禽に感染し、変異したものは人に感染する | 進化したものは豚から人に感染し、更に人から人感染を起こす |
人への流行 | 毎年冬季に流行 | 1997年(H5N1、香港、感染者18人、致命率約30%) 2003~2005年(H5N1、東南アジア、感染者500人、致命率約60%) 2004年(カナダ、H7N3、感染者2名、死亡者なし) |
2009年(H1N1、メキシコ⇨全世界、致命率は通常の季節性インフルエンザと同等で1%以下) |
感染法の扱い | 5種感染症 | 2類感染症(H5N1及びH7N9) 4類感染症(上記以外) |
2009年のH1N1流行当社は新型新型インフルエンザ等感染症に指定(2011年に除外) |
WHOの新型インフルエンザ対策
新型(パンデミック)インフルエンザの出現に対応するため、2005年にWHOは「WHO世界インフルエンザ事前対策計画」を公表しました。
各国はこれを基準にした行動計画を策定しています。
拡 大 ⇩ 収 束 |
名称 | WHO対策 |
パンデミック期間 | 各国の緊急時危機管理対応力を強化 | |
警戒期 | リスク評価 加盟国への支援 協力機関との連携 病原体への対応準備 |
|
パンデミック期 | パンデミックの宣言 流行国に対する断続的な支援 |
|
移行期 | ー |
新型インフルエンザ等対策政府行動計画
「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」は『新型インフルエンザ等対策特別措置法』に基づいて2013年に策定されました。
政府行動計画では新型インフルエンザ等対策に関する基本方針や発生段階ごとの対策が示されています。
拡 大 ⇩ 収 束 |
発生段階 | 主な対策 |
前段階 (未発生期) |
地域医療の体制の整備 ワクチンの備蓄・接種体制の整備 |
|
第1段階 (海外発生期) |
水際対策の開始 ワクチンの確保 「帰国者接触外来」の設置 |
|
第2段階 (国内発生期) |
必要に応じた一般医療機関における診療の開始 新型インフルエンザ等患者の全数把握 |
|
第3段階 (感染拡大期・回復期) |
入院患者、死亡者等の重症化の状況を把握 備蓄している抗インフルエンザ薬の使用 |
|
第4段階 (小康期) |
第二波に備えた住民に対する予防接種の断続 対策の見直し 抗インフルエンザ薬の備蓄 |