この記事では「未熟児訪問指導」について解説していきます。
ただでさえ繊細な新生児の育児ですが、生まれた子が未熟児となるとさらに注意が必要になります。
そんな苦労を伴う未熟児の育児ですが、未熟児を持つ親をサポートする制度が存在します。
それが「未熟児訪問指導」です。
この記事を読めば、「未熟児訪問指導の内容」「未熟児が生まれる要因」などを知ることができます。
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未熟児訪問指導とは
未熟児訪問指導とは、養育上必要と認められる未熟児の保護者に対して、助産師や保健師が家庭を訪問して保健指導を行うものです。
指導内容は、未熟児の疾病予防、異常の早期発見のための保健指導です。
かかる費用は税金で賄われるため、無料になります。
問い合わせ先は、市区町村役場または保健センターです。
そもそも未熟児とは
母子健康法第6条では、「未熟児とは身体の発育が未熟のまま出生した乳児であって、正常時が出産時に有する諸機能を得るまでのものをいう」とされています。
世界保健機関(WHO)では出生体重2500g未満を未熟児と呼んでいましたが、現在では低出生体重児と呼んでいます。
いずれにせよ、未熟児は、体重や在胎週数の如何を問わず身体的あるいは各臓器の機能の点から子宮外生活に適応するのに十分な成熟度に達しておらず、保健医療関係者が充分な知識をもって対応する必要があります。
ただし、妊娠高血圧症候群による子宮内発育遅延の場合など、出生体重が小さくても在胎週数が長い場合に出生した児は「未熟」とはいえません。
出生体重によって異なる呼び名
分類 | 名称 |
4000g以上 | 公出生体重児 |
2500g以上4000g未満 | 正出生体重児 |
2500g未満 | 低出生体重児 |
1500g未満 | 極低出生体重児 |
1000g未満 | 超低出生体重児 |
低出生体重児が生まれる要因
低出生体重児が生まれる要因はさまざまです。
母体側に妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離、子宮頸管無力症、前置胎盤、母体の感染などがある場合は、母体と胎児の状況からベストのタイミングで分娩を行うため、早産にならざるを得ない状況となります。
子ども側の要因として、双胎や多胎妊娠では子宮が大きくなるので早産になる場合があります。また、羊水過多症、羊水過少症、子どもの疾病などで早くに出産し治療したほうがよい場合もあります。
妊娠中の喫煙本数が多いと出生体重が少ないと言われています。低出生体重児の発症予防として、妊婦への徹底した禁煙指導が必要です。
出生体重別出生数
全国の出生数は、近年では100万人台で推移しています。
出生体重別に見ると昭和55年では3000g以上が69.1%でしたが、平成22年では51.6%と減少し、さらに2500g未満時の割合を見ると昭和55年で5.2%、平成22年9.6%と割合が増加しています。
しかし、平成17年以降は増加傾向に歯止めがかかったように見えます。
1500g未満の子供は昭和55年の約6000人から平成12年に8000人となり、その後横ばいです。
平成22年では500g未満が291人、500~1000g未満2941人、1000g~1500g未満が4854人でした。
未熟児の訪問指導は増加している
平成17年以降の低出生体重児の出生数は横ばいですが、未熟児に対する訪問指導件数は増加しており、平成22年度は、平成17年度の1.2倍(実人数58,901件)に増加しています。
平成22年度の低出生体重児の出生数は103,049人なので、その57.1%において家庭訪問が行われていると推計されます(極低出生体重児、超低出生体重児に対する訪問率はもっと高いと考えられます)。
実人数と延べ人数から算出した一人あたり訪問実施回数は、平成17年度以降はほぼ同じ回数で平成22年度は1.27回でした。
超低出生体重児や在宅医療が必要な子供などにおいては、訪問回数を重ねて子供の状態と支援者の有無など家庭の状況をアセスメントし、より細やかな支援が必要です。
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