社会保障

持ち家や自動車など、生活保護受給者が保有できる財産を解説

持ち家や自動車など、生活保護受給者が保有できる財産を解説

生活保護を受給するには、保有している財産を売却・換金する必要があります。

生活保護はあくまでも、国民が「健康で文化的な最低限度の生活」を送れるように行う公的扶助だからです。


公的扶助の財源は税金ですので、贅沢をしながら受給することはできないということですね。


この記事を読めば、生活保護受給者が保有できる財産の具体例を知ることができます。


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保有できる資産は最低限に限る

保有できる資産は最低限に限る

生活保護受給者の保有資産の問題として、よく「預貯金がまったくない状態でないと生活保護は受けることができない」と勘違いされることがありますが、預貯金も現金も一定額を超えなければ、ある程度の蓄えがあったとしても、生活保護を受けることは可能です。


ただし、生活保護が認められるためには、資産は健康で文化的な最低限度の生活を維持する上で必要な範囲に限られます。

現金・預貯金の資産を保有していてもよい限度額とは、おもに生活扶助、住宅扶助、教育扶助の合計額の半分とされています。


また、現金や預貯金以外にも、下記のようなものも資産と判断されています。

生活保護では、原則として預貯金以外の資産を保有することは認められていません。

資産を処分することで生活に支障をきたすことになる場合を除き、下記の資産を保有している場合は処分を行い、生活費の足しにすることが求められます。


生活保護受給者が持つことを制限される資産

  1. 持ち家や土地
  2. 乗用車・家具家電
  3. その他の資産


それぞれわかりやすく解説していきます。


持ち家や土地

持ち家や土地は、売却するか貸し出すなどして、換金を行うように指導されます。

売却か賃貸かの判断は、収益性や換金性の面を考慮して判断されますが、特に家や土地は、売りに出してもすぐに売却されて換金できるとは限らないのが特徴です。


まだ資産が手元に残っているからといって、それが売れて収入となるまで生活保護の支給を先延ばしにするわけにはいきません。

このような換金に比較的時間を要するような資産を保有している場合は、まず生活保護の支給が先に行われます。

これによって扶助費などは事前に受給でいるできるようになりますが、資産が売却されて収入ができた時点で、それまで受け取ってきた扶助費は返還する必要があります。


なお、持ち家などがどうしても必要不可欠であれば、処分をしなくても生活保護を受給することが可能です。


乗用車・家具家電

乗用車や家具家電も、基本は売却・換金して生活維持のために活用します。

ただし、特に自動車や家具、家電などについては、たとえ資産という性質を持っていたとしても、売却してしまっては生活が成り立たない場合もあります。

そのため、これらの物を処分することで最低限度の生活が保てないと福祉事務所が判断した場合には、保有し続けることが認められています。


たとえば、自動車であれば、公共交通機関の利用が極めて困難な地域に住む被保護者が通勤のために必要とする、あるいは障害者が通院・通所・通学などのために必要とするなど特別な事情がある場合は所有が認められます。


その他の資産

上記のほかに、株式、債券や生命保険なども原則として資産とみなされます。

債券は、回収し、生命保険は解約して生活費の足しにします。


しかし、生命保険については、換金額が少額(最低生活費の 3か月程度、または 30万円以下が一応の目安とされています)である場合は、保有し続けることも認められています。


申請者の資産をどのように処分するか、保有してもよいかなどの判断は現状では福祉事務所の判断に託されています。

福祉事務所は前例に基づいて資産の取り扱い方を決定しますが、現実は、申請者個々の生活環境も経済状況もさまざまだといえます。


福祉事務所としても、生活保護制度の根幹をなす原理の一つである「補足性の原理」と、容易に照らし合わせることができるわけではありません。

そのため、資産の活用についても、利用者側と福祉事務所側との間に認識のずれが起こりやすいことが問題視されています。


生活保護受給者が保有できる財産

生活保護受給者が保有できる財産
財産 可否 理由・注意点
持ち家 ・住宅ローンの無い持ち家であれば、基本的に住みながら生活保護を受けることが可能。
・住宅ローンが残っている場合は、保有が認められず、自宅を売却する必要がある
自動車 × ・自家用車の保有は原則として不可。
・身体障害者で通院に必要な場合や交通の便が極端に悪い場所に住んでいる場合には、例外的に保有が認められる
電化製品
生活用品
・ぜいたく品の保有は不可だが、その地域で普及率が7割を超える物品の保有は可能
・個々のケースの判断になるが、携帯電話・パソコン・クーラー・テレビの保有は高価なものにならなければ認められる傾向にある。しかし、4Kテレビなど一般家庭でもあまり普及していない物は売却が必要
現金
預貯金
・現金や預貯金の合計が最低生活費以下であれば、現金や預貯金を保有したまま生活保護を申請できるが、それらの半額を超えた分は最初の生活保護費から差し引かれる
有価証券
貴金属
× ・換金性が高いため、保有が認められず、売却が必要になる
生命保険 ・保有が認められ生命保険の保険金の受け取りは可能。ただし、福祉事務所に申告して保険金の分についての医療費や生活保護費は返還することが必要。また、貯蓄性の高い保険は解約して払戻金を生活費に充てることが求められる




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