社会保障

iDeCo(イデコ)のデメリットをわかりやすく解説

iDeCo(イデコ)のデメリットをわかりやすく解説

iDeCoは、個人が自分のために資産を積み立てるための年金制度です。

日本国内に居住する20歳以上60歳未満の人が対象となります。

加入者は、毎月一定額を積み立て、その資金を自分で選んだ運用商品(例えば、投資信託、保険商品、定期預金など)で運用します。


iDeCoは税制面で大きなメリットがありますが、デメリットもあります。

具体的には下記の6つです。

  1. 掛金の引き出し制限
  2. 運用リスク
  3. 手数料の負担
  4. 税制の変化リスク
  5. 運用商品選びの難しさ
  6. 加入年齢制限


詳しく解説していきます。


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掛金の引き出し制限

掛金の引き出し制限

緊急資金として使えない

iDeCoに積み立てた資金は、原則として60歳まで引き出すことができません。

そのため、急な病気や失業などで急に現金が必要になった場合でも、iDeCoの資金を利用することができないため、緊急時の流動性が確保できません。


長期間の資金拘束

資金が60歳まで拘束されるため、その間に他の投資機会を逃してしまう可能性があります。

例えば、不動産投資やビジネスのチャンスがあった場合に、iDeCoに積み立てた資金を活用することができません。


ライフイベントに対する柔軟性の欠如

結婚、出産、子供の教育費、住宅購入など、人生のさまざまなイベントに対して柔軟に対応できないことがあります。

これらのイベントのために資金が必要な場合でも、iDeCoの資金は利用できないため、別途貯蓄や他の投資手段で対応する必要があります。


法規制の変更リスク

現在の法律では60歳から引き出し可能ですが、将来的に法規制が変更される可能性があります。

例えば、引き出し可能年齢が引き上げられたり、引き出し条件が厳しくなったりするリスクがあります。


運用リスク

運用リスク

運用リスクとは、投資した資産の価値が減少するリスクのことで、iDeCoにおいてもこのリスクが存在します。

iDeCoの資金は投資信託、株式、債券などの金融商品で運用されるため、運用リスクが運用成績に直接影響を与えます。


経済状況の変動

経済状況が変動すると、株式市場や債券市場などが大きく影響を受けます。

例えば、景気が後退すると企業の業績が悪化し、株価が下落することがあります。

また、利率が上昇すると債券価格が下落することもあります。これらの影響を受けて、iDeCoで運用している資産の価値が減少することがあります。


金融危機や市場の急変

リーマンショックのような金融危機が発生すると、株価や債券価格が急激に下落することがあります。

このような市場の急変は予測が難しく、短期間で大きな損失を被るリスクがあります。

iDeCoは長期的な運用を前提としていますが、こうした急激な市場変動によって一時的に大きな損失を被る可能性があります。


地政学的リスク

政治的な不安定さや国際関係の緊張など、地政学的な要因も市場リスクに影響を与えます。

例えば、戦争やテロの発生、政治的な対立が激化すると、株式市場や為替市場が大きく変動することがあります。

これにより、iDeCoで運用している資産の価値が影響を受けることがあります。


インフレリスク

インフレが進行すると、実質的な資産価値が目減りするリスクがあります。

例えば、物価が上昇すると同じ金額でも購入できる商品やサービスの量が減少します。

iDeCoで運用している資産がインフレに対応できていない場合、資産価値が実質的に減少することになります。


金利リスク

金利の変動も市場リスクの一部です。例えば、金利が上昇すると債券の価格は下落します。

iDeCoで債券を中心に運用している場合、金利上昇によって資産価値が減少するリスクがあります。

また、金利が低下すると、預金や低リスク債券の利回りが低くなるため、期待するリターンが得られにくくなります。


手数料の負担

手数料の負担

手数料の種類と構造

iDeCoの運用には複数の手数料がかかります。主な手数料は以下の通りです。

  1. 加入時手数料:iDeCoに新規加入する際に一度だけかかる手数料。
  2. 口座管理手数料:iDeCo口座を維持するために定期的にかかる手数料。主に月ごとに発生します。
  3. 運用管理手数料:運用商品の管理にかかる手数料で、投資信託の信託報酬が代表的です。


資産運用の成績に対する影響

iDeCoでは、積み立てた資金を運用するために様々な手数料が差し引かれます。

これらの手数料は、運用資産から直接差し引かれるため、資産の成長に対する影響が非常に大きいです。

たとえば、年間にかかる手数料が高いと、その分だけリターンが減少します。

これは、手数料が毎年発生するため、時間の経過とともにその影響が累積し、資産の成長を妨げることになります。

特に、長期にわたる運用では、手数料の影響が複利効果を削ぐことになり、資産形成の効率を大幅に低下させる可能性があります。


税制の変化リスク

税制の変化リスク

iDeCoの税制の変化リスクは、現在享受している税制優遇が将来的に変更される可能性があるため、資産運用に大きな影響を与えるデメリットとなります。

税制優遇が縮小されたり、運用益や受取額に課税が強化されたりすることで、実質的なリターンが減少し、長期的な資産形成に対するメリットが薄れる可能性があります。

また、税制変更に伴う計画の再検討や、法改正の不確実性がリスクを増大させるため、将来的な税制の変化に対して柔軟に対応する準備が重要です。


iDeCoは「掛け金」「運用益」「受け取り」の3つのタイミングで節税メリットがあります。


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運用商品選びの難しさ

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投資商品の選択肢の多様性

iDeCoでは、さまざまな運用商品が提供されており、これには株式、債券、リート(不動産投資信託)、バランスファンドなどがあります。

これらの選択肢が豊富であることは一見良いことのように思えるかもしれませんが、実際には選択肢が多すぎると選ぶのが難しくなることがあります。


商品の種類が多いため、それぞれの特性やパフォーマンスを比較検討するのが難しく、最適な商品を見つけるためには多くの情報を把握しなければなりません。

特に、金融商品に関する知識が少ない場合、どの商品が自分に合っているかを判断するのが難しく、誤った選択をしてしまう可能性があります。


市場環境とタイミングの影響

運用商品のパフォーマンスは、市場環境や経済状況に大きく左右されます。

例えば、金利の変動や景気の変動が商品価値に影響を与えるため、適切なタイミングでの投資が求められます。

しかし、将来の市場環境を正確に予測するのは難しく、どのタイミングでどの商品に投資すれば良いかを判断するのが困難です。


また、市場の変動に対応するために、商品の見直しや変更が必要になる場合もありますが、適切なタイミングでの選択や変更が難しいと、運用成果に対するリスクが高まります。


長期的な視点と商品変更の手間

iDeCoは長期的な資産形成を目指す制度であり、運用商品も長期間にわたって保持する必要があります。

しかし、長期間の運用においては市場環境や個人のライフステージが変化するため、最初に選んだ商品が常に適切であるとは限りません。

長期間にわたって資産を積み立てる中で、商品の見直しや変更が必要になることがあります。


商品変更の際には、新しい商品を選ぶための調査や選定が必要であり、このプロセスが手間となり、長期的な計画の柔軟性が損なわれることがあります。


加入年齢制限

加入年齢制限

高齢者の利用機会の制限

iDeCoには加入年齢制限があり、加入開始時に60歳未満である必要があります。

これは制度設計の一部であり、主に長期的な資産形成を目的としています。

しかし、この年齢制限が高齢者にとってはデメリットとなることがあります。

特に退職後に新たに資産形成を考えている人にとって、iDeCoの利用ができないことは大きな障壁です。

退職後の資金準備や追加の資産形成を行いたいと考える場合、iDeCoの税制優遇を利用できないため、他の金融商品や方法を選ばざるを得なくなります。

これにより、資産形成の機会が制限され、税制優遇の恩恵を受けることができないという点で不利になります。


短期間での運用による制限

iDeCoは基本的に長期的な資産形成を目的としています。

加入年齢制限により、例えば60歳に近い年齢で加入を開始すると、実際に資産を運用する期間が非常に短くなります。

短い運用期間では、長期的な複利効果を十分に享受することが難しく、運用のリターンが期待通りにいかないことがあります。

また、短期間での運用は市場の変動によるリスクを高めるため、安定的なリターンを得るのが難しくなる可能性があります。

このため、加入年齢制限があることで、長期的な視点での資産形成が困難になることがあります。


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