この記事では「地震保険」について解説していきます。
日本は「超地震大国」とも言われており、世界で起こる地震の実に約10%が日本周辺地域に集中しています。
大地震に見舞われ、自宅に住めなくなり負債だけが残ったとなると、再起するのも大変です。
保険の存在意義は、対応できない経済的なリスクに備えためです。
地震保険は、地震大国の日本でマイホームを持つなら必須の保険と言えるかもしれません。
この記事では、地震保険の「補償内容」「保険料」「割引制度」「地震保険控除」を知ることができます。
地震保険とは
地震保険とは、損害保険の一種で地震・噴火・津波による災害で発生した損失を補償する保険です。
似たような保険に火災保険がありますが、火災保険では地震を原因とする火災による損害や、地震により延焼・ 拡大した損害は補償されません。
地震保険は、地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任の一定額以上の巨額な地震損害を政府が再保険することにより成り立っています。
再保険
再保険とは、保険の保険という意味です。民間のみでは対応できない巨大地震発生の際には、民間保険会社が負う地震保険責任を政府が再保険します。
地震保険の補償対象
地震による火災は火災保険の対象外です。
火災保険では、建物・家財の火災による損害などを補償しています。
しかし、地震による火災および倒壊などは火災保険では補償されません。地震による損害に備えるには地震保険が必要です。
地震保険は単独で加入することができない
地震保険は単独で加入することはできず、民間の火災保険とセットで契約することになります。
既に加入している火災保険にあとから付けることも可能です。
火災保険は、加入する保険会社や商品によって、補償内容や保険料が異なりますが、地震保険はどの保険会社で契約しても内容や保険料に違いはありません。
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地震保険の補償金額
復旧費用の全額を補償する火災保険と違って、地震保険は、損害を受けた建物や家財の損害の程度により、支払われる保険金が決まっています。
これは、大地震発生した場合でも短期間に大量の損害調査を行い、迅速かつ公正に保険金を支払う必要がある為です。
損 害 |
支払われる 保険金額 |
認定基準 | |
建物 | 家財 | ||
全 損 |
保険金額の 100% |
土台、柱、壁、屋根等の損害が 時価総額の50%以上 |
家財の損害額が 時価総額の 80%以上 |
焼失・流失した床が 延床面積の70%以上 |
|||
大 半 損 |
保険金額の 60% |
土台、柱、壁、屋根等の損害が 時価総額の40~50%未満 |
家財の損害額が 時価総額の 60~80%未満 |
焼失・流失した床が 延床面積の50~70%未満 |
|||
小 半 損 |
保険金額の 30% |
土台、柱、壁、屋根等の損害が 時価総額の20~40%未満 |
家財の損害額が 時価総額の 30~60%未満 |
焼失・流失した床が 延床面積の20~50%未満 |
|||
一 部 半 損 |
保険金額の 5% |
土台、柱、壁、屋根等の損害が 時価総額の3~20%未満 |
家財の損害額が 時価総額の 10~30%未満 |
小半損に至らない 建物が床上浸水 |
※支払われる保険金額は時価総額を目安に限度額があり、時価総額を超える保険金は受け取ることができません。
「全損=時価総額の100%まで」「大半損=時価総額の60%まで」「小半損=時価総額の30%まで」「一部半損=時価総額の5%まで」
保険料は建物の構造や地域によって違う
保険料は、建物の構造と所在地(都道府県)によって異なります。
保険料は建物の構造によって違う
建物の構造は、鉄骨やコンクリート造など耐火や準耐火構造の建築物と、木造住宅など非耐火に分かれます。
非耐火のほうが、耐火や準耐火に比べて燃えやすく、津波や地震による土砂崩れでも流出しやすいなど、損害が大きくなる可能性が高いため、保険料は高くなります。
保険料は地域によって違う
地震が発生する確率は地域によって異なります。また、地震が発生した際の被害の大きさも異なると予想されています。
これらの予想を基に、地域によって保険料は増減します。
たとえば、南海トラフ地震や首都直下地震などが想定されている、静岡・愛知・三重・和歌山・高知・徳島・東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城、などの保険料は高くなっています。
具体的な地震保険の保険料
地震保険の保険料は「都道府県」と「建物の構造」によって決まります。
耐火…鉄骨・コンクリート造など
非耐火…木造など
保険金額 1,000万円の場合 | ||
場所 | 構造 | |
耐火 | 非耐火 | |
秋田 岩手 山形 栃木 群馬 富山 石川 福井 長野 滋賀 鳥取 島根 岡山 広島 山口 福岡 佐賀 長崎 熊本 鹿児島 | 7,100円 | 11,600円 |
北海道 青森 新潟 岐阜 京都 兵庫 奈良 | 7,800円 | 13,500円 |
福島 | 8,500円 | 17,000円 |
宮城 山梨 香川 大分 宮崎 沖縄 | 10,700円 | 19,700円 |
愛媛 | 12,000円 | 22,400円 |
大阪 | 12,600円 | 22,400円 |
愛知 三重 和歌山 | 14,400円 | 24,700円 |
茨城 | 15,500円 | 32,000円 |
徳島 高知 | 15,500円 | 36,500円 |
埼玉 | 17,800円 | 32,000円 |
千葉 東京 香川 神奈川 静岡 | 25,000円 | 38,900円 |
建物の免震・耐震性能に応じた割引制度
地震保険は建物の耐震性能に応じて、保険料の割引が受けられます。
割引を利用するには、必要な書類を提出する必要があります。
※割引は重複して受けることができないので、割引率が大きいものを選びましょう。
割引率 | 適用対象 |
免震建築物割引 【50%】 |
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく免震建築物 |
耐震等級割引 【50%】 【30%】 【10%】 |
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)を有している建物 国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価指針」に基づく耐震等級を有している建物 |
耐震診断割引 【10%】 |
地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、改正建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準を満たす建物 |
建築年割引 【10%】 |
昭和56年6月1日以降に新築された建物 |
必要書類 免震建築物割引【50%】
- 建設住宅性能評価書」または「設計住宅性能評価書」
- フラット35Sに関する「適合証明書」または「現金取得者向け新築対象住宅証明書」
- 「住宅性能証明書」
- 長期優良住宅に関する「技術的審査適合証」
- 「認定通知書」等の長期優良住宅の認定書類および、「設計内容説明書」等の免震建築物であることまたは耐震等級が確認できる書類
- 「耐震性能評価書」(耐震等級割引の場合のみ)
- 「満期案内書類」や「契約内容確認のお知らせ」など
必要書類 耐震等級割引【50%】【30%】【10%】
免震建築物割引と同じ。
必要書類 耐震診断割引【10%】
- 「耐震基準適合証明書」
- 「住宅耐震改修証明書」
- 「地方税法施行規則附則に基づく証明書」
- 「満期案内書類」や「契約内容確認のお知らせ」など
必要書類 建築年割引【10%】
- 「建物登記簿謄本」「検査済証」「建物登記済権利証」「建築確認書」 などの公的機関等が発行する書類
- 宅地建物取引業法に基づく「重要事項説明書」「不動産売買契約書」「賃貸住宅契約書」
- 建築工事施工業者が交付する「工事完了引渡証明書(建物引渡証明書)」など
長期契約で保険料を安くできる
保険料を節約するには、保険期間1年ではなく長期契約を結ぶことで保険料を安くできます。
長期契約の保険料は、長期係数を乗じて算出されます。
期間 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 |
長期係数 | 1.90 | 2.80 | 3.70 | 4.60 |
たとえば、保険期間5年で契約すると、1年間を5回更新するよりも、保険料は約8%安くなります。
地震保険が必要な理由
日本は「超地震大国」とも言われており、世界で起こる地震の実に約10%が日本周辺地域に集中しています。
リスクが非常に高いにも関わらず、それに対する公的な支援が充実しているとは言えません。
地震保険に加入していれば、地震により建物や家財が損害を受けたときに、まとまった保険金を受け取ることができます。
地震保険の保険金の使い道は各自、自由に使うことができます。
建物の修繕費、家財の購入費、借り住まいの宿泊費、当面の生活費など、自分の状況に合わせた用途に充てることが可能です。
地震保険料控除で税金が安くなる
地震保険控除とは、地震保険料を支払っている場合に利用できる所得控除制度のことです。
サラリーマンであれば年末調整時に、自営業の方であれば確定申告時に手続きを行います。
この控除によって住民税が減税となります。
支払保険料 | 所得税の控除 | 住民税の控除額 |
50,000円超 | 最大50,000円 | 最大25,000円 |
50,000円以下 | 支払保険料全額 | 支払保険料×1/2 |
地震保険はどこで申し込めるのか
ネットで一括見積サービスを利用する
地震保険を申し込むとき、ネットの一括見積サービスを利用することで、一緒に加入しなければいけない火災保険を安くすることができるかもしれません。
一番おすすめの申込み方法が一括見積サービスからの申込みです。
無料で最安の保険を探す
ネットで申込み
地震保険はどこで申込んでも保険料が変わらないため、手軽に申込みのできるネットもおすすめです。
保険代理店で申し込み
街中の保険代理店でも、地震保険は申し込むことができます。
保険の専門家と相談しながら申し込みできます。