この記事では、「満期保険金にかかる税金」について解説していきます。
満期保険金は課税されることがあり、確定申告を必要とする場合があります。
知らなかったでは済みませんので、この機会に覚えてしまいましょう。
この記事を読めば、「満期保険金にかかる税金の種類」「課税金額を求める計算式」を知ることができます。
満期保険金とは
満期保険金(まんきほけんきん)とは、被保険者が契約の終了まで生存し、満期を迎えることにより受け取ることのできる保険金のことです。
養老保険や学資保険などの貯蓄性のある保険では、満期保険金が支払われます。
満期とは、保険契約によって定められた保険期間の満了時のことをいいます。
保険期間の終了に伴うお金として「解約返戻金(かいやくへんれいきん)」がありますが、満期保険金とは違う制度です。
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満期保険金が出る保険
満期保険金を受け取れる保険は以下の2つです。
- 養老保険
- 学資保険
それぞれわかりやすく説明していきます。
養老保険
養老保険は生命保険の一種です。保険期間中に万一があれば遺族に「死亡保険金」が支払われます。
保険を使用することなく満期を迎えれば、本人が「満期保険金」を受け取ることができます。
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学資保険
こどもの教育資金を蓄えていくのに利用される貯蓄型の保険です。
こどもが小さいときに加入して、大学に入学するころの17~18歳で満期をむかえるように設定し、満期保険金を受け取るというのが基本的なしくみです。
大学進学など、大きな出費が必要になるタイミングに祝い金や満期金という名目で給付金を受け取ることができます。
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満期保険金にかかる税金の種類
生命保険で受け取るお金には、税金がかかることがあります。
満期保険金も例外ではありません。
契約者 (保険料の負担者) |
受取人 | 税金の種類 |
夫 | 夫 | 所得税、または 源泉分離課税 |
夫 | 夫以外 | 贈与税 |
贈与税は、一時所得に対する所得税よりも税率が高くなります。
生命保険に加入するときはこの点に注意が必要です。契約者と保険料負担者の関係をきちんと整理しておきましょう。
所得税になるケース
契約者(保険料負担者)と受取人が同一の場合、受取時に所得税(一時所得)・住民税の課税対象となります。
※一時払養老保険等で、保険期間が5年以下の契約については、その解約払戻金は、源泉分離課税の対象となることがあり、一律20.315%(国税15%、復興特別所得税0.315%、地方税5%)の源泉分離課税が行われます。
この場合、特別な手続きは必要ありません。
贈与税になるケース
契約者(保険料負担者)と受取人が別人の場合、受取時に贈与税の課税対象となります。
税金が発生するかどうかの判別方法
満期保険金に課税が発生するかどうかの判別方法は、「保険契約者が受け取った満期保険金額が、それまでに支払った保険料の総額よりも多い場合」です。
また、課税されるのは満期保険金から支払った保険料を差し引いた利益部分のみです。
「養老保険」や「学資保険」の場合、課税されるケースが一般的です。
所得税が課税される場合の計算
課税対象となる金額の計算方法は、(満期保険金−払込保険料合計額−50万円)÷2となります。
例えば、満期保険金が1,000万円。払込保険料合計額が550万円だった場合、
(1,000−550−50)÷2=200万円
200万円の場合、税率は10%です。
結果、税金として20万円が引かれることになります。
※他にも所得がある場合には、すべての所得を合算して課税対象額を計算します。
所得税の税率
所得税 | ||
課税所得 | 税率 | 控除額 |
195以下 | 5% | ー |
330以下 | 10% | 9.75万円 |
695以下 | 20% | 42.75万円 |
900以下 | 23% | 63.6万円 |
1,800以下 | 33% | 153.6万円 |
4,000以下 | 40% | 279.6万円 |
4,000超 | 45% | 479.6万円 |
贈与税が課税される場合の計算
保険料を負担した人と満期保険金を受け取った人が違う場合には、贈与税の対象になります。
贈与税の課税対象になるのは、1年間に贈与を受けた金額の合計が110万円を超えたときで、贈与を受けた金額に応じて税率が変わります。
贈与税の場合、わずらわしい計算はありません。
※他にも贈与がある場合は合算し計算します。
贈与税の税率
贈与税は「特例贈与財産」と「一般贈与財産」で異なった税率が適用されます。
特例贈与財産とは、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上の直系卑属(子や孫等)への贈与された財産のことをいいます。
特例贈与財産用
贈与税(特例贈与財産用) | ||
基礎控除後 の課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | ー |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
一般贈与財産用
贈与税(一般贈与財産用) | ||
基礎控除後 の課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | ー |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
学資年金は雑所得として課税される
学資保険には、満期保険金を一括で受け取るのではなく、年金のように分割で受け取れるようになっているものがあります。
このような受け取り方をする学資保険を、学資年金といいます。
この場合、満期保険金とは違った性質の給付となりますので、所得区分は一時所得ではなく雑所得として課税されます。
学資年金は、受け取った金額から、支払った保険料に相当する額を差し引いた金額が雑所得になり、他の所得と合計され総合課税されます。
確定申告をする必要がある人
本来確定申告の必要がない給与所得者の場合で、満期保険金を含め給与以外の所得が20万円以下のときは確定申告をしなくてもよいことになっています。
その場合は、結果的には税金も非課税ということになります。
ただし、下記の場合、確定申告の必要があります。
- 給与所得以外の所得との合計が20万円を超える人
- もともと確定申告が必要な人
- 満期保険金が贈与税の対象となる人
それぞれわかりやすく説明していきます。
給与所得以外の所得との合計が20万円を超える人
一般的な給与所得者の場合、満期保険金による一時所得が20万円を超える、または、給与以外のその他の所得と満期保険金の一時所得との合計が20万円を超えるときは確定申告が必要になります。
満期保険金が贈与税の対象となる人
契約者(保険料負担者)と受取人が別人の場合で、満期保険金の支払が110万円を超えた場合は、贈与税の申告が必要になります。
もともと確定申告が必要な人
もともと確定申告が必要な人は、満期保険金による一時所得の金額の大小にかかわらず、確定申告時に受け取った満期保険金の申告が必要になります。
まとめ
満期保険金は、所得税や贈与税の対象となります。
法律により、生命保険会社は100万円を超える保険金を支払った場合に、税務署に支払調書を提出することになっています。
忘れていると、税務署から指摘を受ける可能性があります。