2024~26年度の65歳以上の介護保険料が全国平均で月6225円になることが分かりました。
2021~23年度から3.5%上がり、過去最高となります。
市区町村別では大阪市が月9249円と最も高く、最も低いのは東京都小笠原村で、月3374円です。
高齢化で介護費用は膨らみ、負担額の地域差も広がっています。
詳しく解説していきます。
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介護保険とは
介護保険は、介護が必要な方の負担を社会全体で支えることを目的とした制度です。
40歳以上の国民が介護保険の被保険者となり、介護保険料の支払い義務が発生します。
老化や疾病により介護の必要性が認定されると、介護サービスを受けるための費用に保険が適用されます。
65歳以上の保険料は3年ごとに見直される
65歳以上の保険料は3年ごとに各市区町村や広域連合が基準となる月額を見直しています。
実際の負担金は基準額に所得に応じた軽減・割増率をかけて計算されます。
40~64歳は加入する医療保険で異なります。
介護サービスの費用は利用者が原則1割を負担し、残りの半分ずつを税金と保険料でまかないます。
税金は国、都道府県、市区町村からそれぞれ投入されています。
最も低いのは東京都小笠原村で、月3374円
市区町村別で保険料が最も少なかったのは東京都小笠原村の月3374円です。
小笠原村は村内に介護施設がなく、高齢化率も他の市区町村と比べて低いため金額が抑えれれています。
最も高いのは大阪市で、月9249円
人口が比較的多い政令市と東京23区に限定すると、最高額の大阪市の月9249円に続き、堺市が7417円、京都市が7160円となりました。
大阪市は2021~23年度と比べて月額を1155円引き上げています。
大阪市は他の自治体より一人暮らしの高齢者の割合が高く、家族で支えることが難しいため介護サービスの利用が多くなっています。
保険料を抑える取り組み
政令市・23区で最も低いのは東京都千代田区で月5600円となる。2021~23年度から200円の上昇にとどまっています。
高所得の高齢者の保険料を上げており、基準月額の伸びを抑えることに成功しました。
介護予防の取り組みが保険料の抑制につながる
浜松市は3番目に保険料が低く、月5900円となっています。
介護予防の取り組みが保険料の抑制につながりました。
浜松市は介護サービス利用者の要介護度を改善させた事業所に最大20万円の奨励金を支給するなど自立支援を後押ししています。
また、他の大都市と比べて家族と同居する高齢者が多く、サービス利用者が比較的少ないことも原因の一つです。
余剰金の取り崩しで保険料負担を抑えている
自治体のなかには余剰金の取り崩しで保険料負担を抑えているところもあります。
政令市・23区で2番目に低い札幌市などがそうです。
将来世代に負担を先延ばししている事になり、改善が求められます。
死亡による高齢者の減少で費用が減る
全市区町村で2番目に低い北海道音威子府村は死亡による高齢者の減少で費用が減っています。
介護費用は21年間で3.3倍の10.4兆円に
高齢化を背景に日本全体で介護費用は増加の一途をたどっています。
利用者負担分を除く費用の総額は、介護保険制度の始まった2000年度から2021年度(10.4兆円)までに3.3倍になりました。
2040年度は2018年度比で2.4倍に膨らむとの試算もあります。
国や各自治体は住民の健康増進を図り、高齢者らの自立支援を強化しながら、費用負担の見直しを議論する必要がありそうです。
自己負担は原則1割ですが、一定の所得がある人は2割に上げており、対象拡大などが候補に挙がっています。