厚生労働省は2023年7月31日、2022年度の男性の育休取得率が17.13%と前年度より3.16ポイント上がり、過去最高だったと発表しました。
5人以上を雇用する約6300事業所を対象に調べた結果です。
同日公表した大企業向けの調査では、1000人超の企業での取得率は今年6月時点で46.2%でした。
雇用形態にかかわらず希望者が取得しやすい環境づくりや、中小企業の取得促進など課題は多いことが浮き彫りになりました。
詳しく解説していきます。
男性の育休取得率が過去最高の17.13%
男性の育休取得率17.13%は2012年の約9倍になります。
2022年4月から育児休業制度の周知や取得意向の確認などが企業の義務となり数値が上がってきています。
政府は6月13日に閣議決定した「こども未来戦略方針」で、民間の男性育休取得率の目標を2025年までに50%に上げる方針を示しています。
足元の取得者はさらに多い可能性がある
2022年度の取得率は2020年10月1日からの1年間に配偶者が出産した男性のうち、2022年10月1日までに育休を取得した人と申請した人の割合を示したものです。
2022年10月からは「産後パパ育休」として育休の分割など柔軟な取得ができるようになりましたが、今回の調査期間には含まれていないので、足元の取得者はさらに増えている可能性があります。
厚労省の雇用保険事業月報によると、産後パパ育休が始まった2022年10月から2023年3月までに育児休業給付を受けた人は10万人を超えています。
前年同期に比べて6割増です。
経団連が4~5月に実施した調査では2022年を通じた取得率は47.5%と前年比18.2ポイント上昇しました。
男性の育休取得率の公表が義務化されている
2023年4月から、従業員1001人以上の企業は男性の育休取得率の公表が義務化されています。
厚労省は今回、自社の育休取得率を公表している企業の状況も初めてまとめました。
6月に全対象企業を調べたところ、6割がすでに取得率を公表し、平均取得率は46.2%でした。
大企業ほど取得が広がっていることが分かります。
公表が義務化された企業の3割は社内理解が進んだと回答しました。
政府は義務対象を従業員301人以上に広げる方向で検討しています。
取得率は会社の規模や雇用形態によって違いが出る
民間調査では同僚への負担が取得時のハードルを上げているとの声が目立ちます。
中小企業では人手が少ない分、仕事の分担や代替要員の確保が大企業より難しくなります。
職場の業務分担の見直しや働き方改革は不可欠でしょう。
全体の取得率は雇用形態によっても違いが出ています。
パートやアルバイトが多い有期契約の男性は8.57%と前年度に比べて5.64ポイント下がりました。
女性も有期契約の人は65.5%と、前年度比で3.1ポイントの低下しています。
女性の2022年度の取得率は前年度比4.9ポイント低下の80.2%と2005年度以来の低い水準になりました。
コロナ禍の影響で、業況が厳しい小規模事業者では育休を取得しづらい状況があったとみられています。