厚生労働省は外国人材による訪問介護サービスについて、いまは認めていない在留資格「特定技能」の人も従事できるようにすることを大筋で了承しました。
従事者の要件や介護事業者の順守事項などを固め、2025年度の実施をめざします。
高齢化によって求められる介護人材は増加していきますが、少子化の影響で外国人に頼らざるを得ない状況です。
詳しく解説していきます。
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外国人の介護人材は在留資格によって就労できるサービスが異なる
外国人の介護人材は在留資格によって就労できるサービスが異なります。
特別養護老人ホームなど複数人で働く施設系サービスは資格を問わず就労できます。
しかし、訪問系は介護福祉士の資格をもつ経済連携協定締結国の出身者と、在留資格「介護」の人だけに従事を認めています。
特定技能外国人が訪問介護をするには要件がある
訪問介護は介護する人が一人で自宅を訪ね、サービス利用者とじかに接することが基本です。
訪問介護の従事者は、介護の基礎知識や技術を学ぶ「介護職員初任者研修」を修了していることや、介護福祉士の資格をもっていることなどが要件となります。
特定技能などに解禁する際も同様の要件になります。
介護サービスには日本語の対話能力も求められ、特定技能の資格を得るには基本的な日本語を理解できる「N4」程度の語学力が必要になります。
このたび解禁するのは特定技能に加え、技能実習とEPAに基づく介護福祉士の候補者で、この3資格で介護現場で働いているのはおよそ4万6000人です。
介護事業者や外国人材の受け入れ団体にも順守項目
介護の質を維持する観点で、介護事業者や外国人材の受け入れを手がける団体にも順守項目があります。
介護事業者にはサービス利用者やその家族に外国人材が訪問することを説明するよう求めます。
利用者との対話能力を高め、日本の生活様式を学ぶ研修の実施も必要です。
人材受け入れ団体は介護事業者を巡回訪問し、順守事項が徹底されているかを確認しなければなりません。
高齢化で必要な介護職員の総数は増加していく
介護分野の外国人材の受け入れは、2028年度までに13.5万人にする方針です。
厚労省は検討会での議論をふまえ、特定技能などの訪問介護解禁について要件を具体化し、順次実施されます。
訪問介護に関する人手不足は深刻となっています。
訪問介護のサービスを受ける人は介護サービス全体の2割程度ですが、需要は年々増えています。
訪問系の2022年度の有効求人倍率は15.53倍で、施設勤務の介護職員のおよそ4倍となっています。
介護職員の総数は2021年度におよそ215万人で、政府は2025年度に243万人、2040年度には280万人の人材が必要になると見込んでいます。
厚労省は外国人材の積極採用や定着支援と並行し、介護職員の処遇改善や就労環境の改善を進め、人材を安定確保できる体制の整備を急いでいます。
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