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公的年金、これまでの経済状況が続いた場合18%減る

公的年金、これまでの経済状況が続いた場合18%減る

厚生労働省は2024年7月3日、公的年金制度の中長期的な見通しを示す「財政検証」の結果を公表しました。

一定の経済成長が続けば少子高齢化による給付水準の低下は2024年度比6%で止まるとの試算を示しました。

これまでの経済状況が続いた場合18%減ります。

高齢者らの就労拡大が年金財政を下支えし、いずれも前回の2019年検証から減少率に縮小傾向がみられました。


詳しく解説していきます。


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財政検証は年金制度が持続可能かを点検する仕組み

財政検証は年金制度が持続可能かを点検する仕組み

財政検証は年金制度が持続可能かを5年に1度、点検する仕組みです。

年金をもらう高齢者が増え、財源となる保険料を払う現役世代が減るなか、国全体としての年金制度運営に支障がないかシミュレーションを行い判断します。


給付水準が下がることが見込まれるな、政府・与党は検証結果を受けて年内に給付底上げ策などの改革案をまとめます。


指標とするのは所得代替率

今回は経済成長率や労働参加の進展度などが異なる4つのケースごとに給付水準を計算しました。

指標とするのは「モデル世帯(40年働いた会社員の夫と専業主婦の妻)の年金」が現役世代男性の平均手取り収入の何%分にあたるかを示す「所得代替率」です。


一定の経済成長が続く成長ケースで6%低下

一定の経済成長が続く成長ケースで6%低下

4ケースのうち厚労省が「めざすべき姿」とする中長期的に一定の経済成長が続く成長ケースでは2037年度の所得代替率が57.6%となり、給付水準は2024年度から6%低下します。

成長率をより高く設定した高成長ケースでは2039年度に同7%減の56.9%となります。


成長ケースの方が高いのは、前提となる賃金上昇率が低い分、「賃金を上回る実質的な運用利回り(スプレッド)」が大きくなるためです。


これまでと同程度の経済状況が続く横ばいケースでは18%減

これまでと同程度の経済状況が続く横ばいケースでは18%減

過去30年間と同じ程度の経済状況が続く横ばいケースでは2057年度に同18%減の50.4%になります。

もっとも悲観的なマイナス成長ケースになると国民年金の積立金が2059年度に枯渇し、制度が事実上の破綻となります。


5年前の財政検証から改善した要因

5年前の財政検証から改善した要因

5年前の財政検証では6ケースを試算しました。

経済成長率などの前提が異なるため単純比較はできませんが、所得代替率は最高でも51.9%でした。

今回の横ばいケースに近いシナリオでは政府が目標とする50%を割り込みました。

給付水準の低下率は今回より大きい傾向が示されました。


改善した要因は高齢者や女性の労働参加が進んで厚生年金の水準が上がったことと、積立金が2019年想定より70兆円ほど増えたためです。


成長ケースの前提条件は現実的ではない

成長ケースの前提条件は現実的ではない

成長ケースの前提条件は現実的ではないとの声もあります。

60代の就業率は2040年に77%と推計しており、2022年から15ポイント上げる必要があります。

将来の出生率は1.36としていますが、2023年の出生率は1.20でした。

1.5%上昇を見込む実質賃金上昇率は01~22年度の平均がマイナス0.3%でした。


出生率は対策を打っても直ぐに上昇するモノではありません。

年金制度の安定には就労拡大につながる仕事と育児の両立支援や新たな年金の支え手となり得る外国人労働者の呼び込み強化といった取り組みが必要です。


年金の給付水準は当面のあいだ低下が続く

年金の給付水準は当面のあいだ低下が続く

年金の給付水準は当面のあいだ低下が続くため、あらかじめ老後資産を形成しておく必要がありそうです。

単身者や非正規雇用の人が低年金にならないよう給付水準の底上げへの対策も欠かせません。


財政検証は65歳で受け取る1人当たり平均年金額の男女別の見通しも初めて示しました。

2024年度は男性が14.9万円、女性は9.3万円です。

成長ケースでは2059年度に男性が21.6万円、女性は16.4万円となり男女差が縮小します。


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