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【年金制度の改正】年金の繰り下げ受給をしている人は32・6%

【年金制度の改正】年金の繰り下げ受給をしている人は32・6%

2022年4月以降に施行される公的年金などの制度改正について全国の40歳から65歳の男女にアンケートを実施したところ、「年金の受け取り開始時期を繰り下げたり、厚生年金に加入して働いたりすることで受給額を増やしたい――。」と考える人が多いことが分かりました。

長い老後の資金を賄うため、制度改正を生かそうとする姿勢がじわりと強まっています。


公的年金は66歳以降に遅らせると1カ月ごとに金額が0・7%増える

公的年金は66歳以降に遅らせると1カ月ごとに金額が0・7%増える

公的年金は原則65歳受給開始ですが、66歳以降に遅らせると1カ月ごとに金額が0・7%増えます。

現在は70歳まで、4月からは75歳まで繰り下げることができ、75歳からもらうと84%増えることになります。


調査で公的年金を何歳から受給したいか(受給している人は開始年齢)を聞いたところ、66歳以降との回答が合計で32・6%となりました。

「66~69歳」が11・8%、「70歳」が14・8%などとなっています。


70歳時点で繰り下げをしている人は2・2%

70歳時点で繰り下げをしている人は2・2%

20年度の基礎年金受給者のうち70歳時点で繰り下げをしている人は2・2%にとどまっています。

ここ数年、老後資金の相談で繰り下げ受給に関心を持っている人が増えています。


調査で繰り下げ受給の理由について複数回答で聞くと、「65歳以降も働く」「年金額が多い方が安心」との回答がいずれも4割を超えました。

今月に65歳の誕生日を迎えたパート勤務の女性は「70代の夫も働いていて生活費はある。繰り下げて年金を増やすことを考えている」と話します。


65歳で年金を受け取る人は47・7%

65歳で年金を受け取る人は47・7%

一方、受給開始年齢について「65歳」と回答した人は47・7%を占めました。

繰り下げて増額した年金は終身で受け取れるが、受給開始までの生活費をどう賄うかが課題となります。

企業年金制度なども踏まえて早めに準備しておきたいところです。


厚生年金の繰り下げ受給は、年下の配偶者などがいると一定の条件で加算される加給年金がもらえないといった注意点もあります。


厚生年金の加入条件が緩和される

厚生年金の加入条件が緩和される

年金改正の柱の一つが厚生年金の加入条件緩和です。

10月から従業員101人以上、24年10月から51人以上の企業で一定の条件を満たす短時間労働者の加入が可能になります。


加入すれば将来の年金が増えるのがメリットです。

ただ年金の保険料については、国民年金に現在加入する人が厚生年金に変わると保険料が会社と折半になって多くの場合は負担が軽くなりますが、会社員家庭の主婦など現在は本人負担がない人は保険料負担が発生し、目先の手取りが減ります。


厚生年金加入を考えているパートは53%

パートで働いている、または今後働くことになった場合に厚生年金にどう対応するかを尋ねたところ、「手取り減でも加入し年金を増やす」「手取りが減らないよう勤務を増やし加入」「保険料減で手取りが増え、年金も増えるので加入」との回答が合計で53%と過半を占め、厚生年金への加入意欲が強いことが分かりました。


埼玉県のホームセンターでパート勤務をする40代の女性は「厚生年金に加入して働こう」と検討中です。

勤務先が従業員数の条件を満たすようになるためです。

現在は夫の扶養の範囲内で働き、年収は120万円台後半。厚生年金への加入で社会保険料が発生しますが、65歳まで働くと年金は年約16万円増える見通しです。


加入理由は老後資金の不安

繰り下げ受給や厚生年金への加入を考える人が増えている背景には老後への不安があります。

老後資金は生活に十分な水準を用意できそうかという質問に対して「少し足りなくなりそう」「全く足りなくなりそう」が計68・8%を占めました。


公的年金以外で必要な金額は「1000万円以上2000万円未満」との回答が33%と最も多く、「2000万円以上3000万円未満」が24・6%で続きました。


老後資金は生活費や旅行などの費用のほか医療・介護費も

老後資金は生活費や旅行などの費用のほか医療・介護費も

老後資金は生活費や旅行などの費用のほか医療・介護費も見積もりたいです。

必要額はケース・バイ・ケースですが、生活費は現役時代の約7割、医療・介護費は800万円程度を想定するのが一案です。

公的年金は額面の8~9割程度が大まかな手取りで、費用と比べると過不足がある程度把握できます


まとめ

まとめ

2022年4月以降に公的年金などの制度改正が行われます。

公的年金は原則65歳受給開始ですが、66歳以降に遅らせると1カ月ごとに金額が0・7%増えます。

現在は70歳まで、4月からは75歳まで繰り下げることができ、75歳からもらうと84%増えることになります。


また、厚生年金の加入条件が緩和されます。

10月から従業員101人以上、24年10月から51人以上の企業で一定の条件を満たす短時間労働者の加入が可能になります。

加入すれば将来の年金が増えるのがメリットです。



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