社会保障

障害福祉サービスの利用に必要な障害支援区分とは?認定方法を解説

障害福祉サービスの利用に必要な障害支援区分とは?認定方法を解説

障害を持っているからといって、必ず障害福祉サービスを利用できるわけではありません。

サービスを利用するには、市町村に申請をして『障害支援区分』の認定を受ける必要があります。


この記事では、障害支援区分の「詳細」、「具体的な認定方法」を解説していきます。


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障害支援区分とは

障害支援区分とは

障害福祉サービスの申請を受けた地町村は、障害者の心身の状態を把握し、サービスが必要かどうかの認定調査を行います。

その際に、最も重要な指標になるのが、「障害支援区分」です。


障害支援区分とは、身体障害者や知的障害者、精神障害者、難病患者等の障害の多様な特性、その他の心身の状態の応じて、必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示す区分です。


障害支援区分は、認定調査や医師意見書の内容をもとに、コンピューターによる一次判定、審査会による二次判定を経て判定されます。


障害支援区分は全部で7段階

区分は、「非該当」と「区分1~6」の7段階で構成されます。

区分の数字は、大きい数字であるほど、支援を必要としている度合いが大きいことになります。

したがって、非該当と判断された場合は支援の必要性が低く、多くの障害福祉サービスを受けることができません。

そして、区分6は、支援の必要性が最も高い状態を示しています。


この7段階の判定結果によって、住宅介護や同行援助、短期入所(ショートステイ)など、障害者が利用できる障害福祉サービスの上限金額や利用時間などが決まります。


障害支援区分の具体的な認定方法

障害支援区分の具体的な認定方法

市町村は、訪問調査に基づく障害者の状態、住居の場所、障害の程度、市町村審査会の意見などを総合的に考慮して、支給決定案を作成することになります。


障害支援区分の認定調査は2段階に分かれています。

認定調査員による訪問調査の結果と主治医の意見書の内容をもとにコンピューターによって判定が行われる1次認定調査(1次判定)と、認定調査員による特記事項と主治医の意見書の内容をもとに市町村審査会によって判定が行われる2次認定調査(2次判定)です。


1次判定の詳細

1次判定に先立って行われる訪問調査については、市町村の職員あるいは、指定一般相談支援事業者の相談支援専門員が行います。

これらの職員が、実際に障害者の自宅などを訪問して、障害者本人や家族に関する基本的な情報や、介護の有無・現在受けている福祉サービスの有無や、生活状況全般に関する質問などが行われます。

そして、これらの事項については、概況調査票に必要事項が記入されます。


この際、利用者の保護者に対して、利用者に対してどのようなサービスを行うのがよいのか聴取が行われます。

具体的には、6種類のカテゴリー(全80項目)に分類された、障害者の心身の状況や活動などについて、障害者などに質問を行い、回答を得る形で該当項目に関して、「できる」あるいは「できない」などのように、認定調査票に聴取り結果を記入していきます。

職員などが明確に判断できない場合には、特記事項として判断が困難であることを記入しておくことで、後の判断材料にすることができます。


そして、認定調査員による訪問調査の結果と主治医の意見書の内容をもとに、1次判定としてコンピューターによって判定が行われます。

1次判定では、認定調査項目(80項目)の結果および医師意見書(24項目)の一部項目をふまえ、判定ソフトを活用したコンピューター処理がなされます。


認定調査項目は訪問調査における事項と同様に、移動や動作等に関する項目、日常生活等に関する項目、行動障害に関する項目、意思疎通に関する項目、特別な医療に関する項目、その他の項目などです。

医師意見書は、まひ、関節の拘縮、生活障害評価(食事・生活リズムなど)などが調査項目になっています。


2次判定の詳細

1認定調査(1次判定)と、認定調査員による特記事項と主治医の意見書の内容をもとに市町村審査会によって行われる判定が、2次認定調査(2次判定)です。

2次認定調査(2次判定)まで通ると、ようやく障害支援区分の認定が決定し、申請者へ結果が通知されることになります。


障害支援区分には有効期限があります。

障害支援区分は、原則として3年間有効です。

ただし、障害の状況や程度は経過とともに変化する場合もあり、3年という有効期間では適切に障害の程度を把握することが困難な場合も少なくありません。

そこで、身体・精神障害の程度が容易に変動することが見込まれる場合、障害者の生活環境が大きく変動する場合、その他、市町村審査会が認めた場合には、3ヶ月から3年で、より短縮した有効期限を定めることも認められています。


無事に支援区分認定が終わると、続いて市町村による勘案事項調査(社会活動、介護者、居住などの状況についての調査)が行われます。

この際に注意しなければならないのは、障害支援区分は、あくまでも勘案事項の一要素だということです。

つまり、障害支援区分の認定が行われたからといって、障害福祉サービスの利用が可能になるという保証はありません。

たとえば、個別の障害者が住んでいる地域において、十分な障害福祉サービスの提供ができる環境が整っていない場合には、支給決定がなされないこともあります。

この勘案事項調査に通ると、支給を受ける障害者に対し、サービスの利用意向の調査(聴取)が行われます。

なお、訓練等給付のサービスについては、支給の要否を判断するために、一定期間サービスを利用することができます(暫定支給決定)。


障害者のサービス利用意向の確認後、サービス利用計画案の提出が行われます。

さらに、審査会の意見をもとに、支給の要否が決定され、支給が決定した障害者には、障害福祉サービス受給者証が交付されます。


支給されるサービス量の決まり方

支給されるサービス量の決まり方

支給決定を受けた障害者が、どの程度の障害福祉サービスを利用することができるのかについて、障害者総合支援法は基準を定めているわけではありません。

そのため、具体的にどの程度の量のサービスを支給するのかについては、原則として市町村に幅広い裁量が認められています。


市町村に比較的広い裁量が認められている理由として、障害福祉サービスの財源が公費負担(税金)であることが挙げられます。

つまり、市町村は限られた財源の中で公平性に考慮しつつ、財源の他にも施設などの物質資源や、職員数の確保などにも注意しながら、安定的に提供できるサービスの量を見極めなければなりません。


ただし、市町村の判断があまりにも合理性を欠く場合には、障害者側から必要なサービスが提供されていないとして、訴訟を提起され、その中で市町村の判断が違法と判断される恐れもあります。


暫定支給決定とは

暫定支給決定とは

暫定支給決定とは、障害者に対して本格的な訓練等給付を行う前に、一定の期間に限って給付を行うことです。

これにより、当該サービスが利用者にとって本当に役に立っているかどうかを判断することができます。


自立訓練や就労移行支援などのサービスを希望する場合は、まずは一時的な給付をする暫定支給決定が行われます。

一定の期間訓練等給付を行い、利用者にサービスを継続して受けていく意思があるかどうか、最終的な意向を確かめることが目的です。

そのサービスが利用者にとって効果的なものであるかどうか、また、適切なサービスだといえるかどうかといった点を判断することも、暫定支給の目的です。


自立訓練(機能訓練と生活訓練)のサービスの必要性については、LADL項目(清掃、洗濯、入浴、調理、買い物、食事、交通利用)と生活項目(洗顔、整髪、薬の服用、歯磨き)の2つを基準にし、サービスが障害者にとって適切であるかどうかを判断します。

障害者自身の利用意志も重要な支給決定基準です。

訓練等給付が適切と判断されれば、サービス事業者が利用者個々に対して、訓練期間や目標などを設定し、(個別支援計画案)、それに基づいて、本格的に訓練等給付の決定が行われることになります。


暫定段階で支給が適切と認められない場合は、サービス事業者の変更やサービス自体の変更が行われます。

暫定支給の期間については、原則として更新は行われません。

ただし、暫定支給終了段階で、一定の改善が見られる場合や、再評価があると判断された場合は、暫定支給の期間が延長されることがあります。


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