障害者が受けられる福祉サービスは大きく分けて下記の2つになります。
- 自立支援給付
- 地域生活支援事業
それぞれわかりやすく解説していきます。
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自立支援給付
自立支援給付とは、在宅で利用するサービス、通所で利用するサービス、入所施設サービスなど、利用者へ個別給付されるサービスです。
自立支援給付には、下記の9つがあります。
- 介護給付費
- 訓練等給付費
- 特定障害者特別給付費(補足給付)
- 計画相談支援給付費
- 補装具費
- 高額障害福祉サービス費
- 地域相談支援給付費
- 療養介護医療費
- 自立支援医療費
なかでも、障害福祉サービスにおいて中心的な役割を果たしているのが介護給付費と訓練等給付費です。
介護給付費や訓練等給付費は、サービスの給付を希望する人が市町村に申請します。
申請を受けた市町村は、障害支援区分の認定と支給要否の決定を行います。
支給することが妥当であると市町村から認定されると、サービスを受ける本人が、都道府県の指定した事業者のなかから選んだ事業者と契約を結んで、サービスを受けることができます。
自立支援給付を行うのは市町村ですが、費用の面では国が50%、都道府県と市町村が25%ずつを義務的に負担することになっています。
1.介護給付費の内容
介護給付は自立支援給付のひとつで障害福祉サービスを受けるために必要な費用を支給する制度です。
介護給付は日常生活に必要な介護の支援を提供するサービスで、障害の程度によってその対象者が決定されます。
下記のサービスを利用した場合に、介護給付費が支払われます。
- 居宅介護
- 重度訪問介護
- 同行援護
- 行動援護
- 療養介護
- 生活介護
- 短期入所
- 施設入所支援
- 重度障害者等包括支援
申請した者の支給が決定されていない期間に上記のサービスを受けた場合は、障害者総合支援法に基づき特例介護給付費が支給されることになっています。
2.訓練等給付費の内容
訓練等給付費は、介護給付と同様に障害福祉サービスを受けるために必要な費用を支給する制度です。
訓練等給付とは、日常生活や社会生活を営むために必要な訓練等の支援を提供するサービスで、定められたサービス内容に適合していれば支給対象になります。
下記のサービスを利用した場合に、訓練等給付費が支払われます。
- 自立訓練(機能訓練・生活訓練)
- 就労移行支援
- 就労継続支援
- 就労定着支援
- 自立生活援助
- 共同生活援助
申請後、支給決定の前にサービスを受けた場合には特例訓練等給付が支給されます。
3.特定障害者特別給付費(補足給付)の内容
特定障害者特別給付費は、障害者自立支援法による共同生活援助(グループホーム)又は共同生活介護(ケアホーム)に係る支給決定を受けている障害者に対し、月額1万円(支給対象者が入居している共同生活住居における家賃の月額が1万円未満の場合は当該家賃の額)が支給されます。
特定障害者特別給付費は事業者による代理受領が可能とされています。
4.計画相談支援給付費の内容
障害福祉サービス等を申請した障害者(児)について、サービス等利用計画の作成、及び支給決定後のサービス等利用計画の見直し(モニタリング)を行った場合は、計画相談支援給付費又は障害児相談支援給付費が支給されます。
5.補装具費の内容
障害者が日常生活を送る上で必要な移動等の確保や、就労場面における能率の向上を図ること及び障害児が将来、社会人として独立自活するための素地を育成助長することを目的として、身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完・代替する用具を必要とする場合には、補装具費が支給されます。
同一の月に購入又は修理に要した費用の額(基準額)を合計した額から、当該補装具費支給対象者等の家計の負担能力その他の事情をしん酌して政令で定める額(政令で定める額が基準額を合計した額の百分の十を超えるときは、基準額に百分の十を乗じた額)を控除して得た額(補装具費)が支給される。
6.高額障害福祉サービス費の内容
障害福祉サービス・障害児通所(又は入所)支援・補装具・介護保険などのサービスを併用し、ひと月の自己負担額(法定の利用者負担額)の合計が基準額を超えた時に、超過分の金額が高額障害福祉サービス等給付費として支給されます。
7.地域相談支援給付費の内容
- 地域移行支援
障害者支援施設等に入所している障がいのあるかたまたは精神科病院に入院している精神障がいのあるかたに対して、住居の確保等の地域における生活に移行するための支援を行います。 - 地域定着支援
居宅において単身で生活する障がいのあるかた等に対して、常時の連絡体制を確保し、緊急時の支援を行います。
地域生活支援事業
地域生活支援事業とは、市町村や都道府県などが、地域に居住する障害者に対して障害の程度などに応じて柔軟に必要な支援を行う事業です。
多くは市町村によって行われますが、一部の広域的な支援は都道府県によって行われます。
障害福祉サービスには自立支援給付があり、自立支援給付は「それぞれの障害者にとって必要なサービスとはどのような内容か」という観点に重点が置かれています。
これに対して、地域生活支援事業では、「その地域で提供できるサービスはどの程度の内容か」という点が重視されています。
障害者がさまざまなサービスを希望していたとしても、実際には、サービスに必要な施設や職員の数には限界があります。
1人の障害者のニーズに応えて、他の障害者のニーズを軽視するようなことがあってはなりません。
そこで、地域生活支援事業により、地域の財政などの実情を考慮して、効率的により多くの障害者のニーズに適したサービスの提供が実施されています。
また、広域的な取組が可能であることも、地域生活支援事業の特徴と言えます。
個別の障害者に対する支援では不十分であった支援についても、さまざまな機関への委託などを行うことで、緊急な事態にも対応できる対応力も持っています。
市町村が行う地域支援事業
必ず実施しなければならない必須事業と任意に行うことができる任意事業があります。
市町村が行う必須事業は下記の10つなどがあります。
- 理解促進研修・啓発事業
- 自発的活動支援事業
- 相談支援事業
- 成年後見制度利用支援事業
- 成年後見制度法人後見支援事業
- 意思疎通支援事業
- 日常生活用具給付等事業
- 手話奉仕員養成研修事業
- 移動支援事業
- 地域活動支援センター
それぞれザックリ解説していきます。
理解促進研修・啓発事業
地域住民に対して、障害者に対する理解を深めるための事業です。
たとえば、障害の特性に関する教室の開催や、障害福祉サービス事業所への訪問などの各種イベントの開催などが挙げられます。
自発的活動支援事業
障害者やその家族などが、自発的に行う活動を支援する事業です。
障害者・家族が共通して抱える悩みなどを相談し合う交流会(ピアサポート)や、障害者を含む地域全体の災害対策、障害者の孤立防止に向けた地域の活動などが挙げられます。
相談支援事業
障害者や障害者の保護者などからの相談に応じて、市町村は障害者支援について必要な情報を提供しています。
成年後見制度利用支援事業
精神上の障害によって判断能力が不十分な人のために、市町村が行う成年後見制度の利用を支援する事業に対して、助成を行うことによって、成年後見制度の利用を促す事業です。
意思疎通支援事業
視覚や聴覚に障害があるために通常の人よりコミュニケーションがとりにくくなっている人を支援する事業です。
日常生活用具給付等事業
障害者が自立した生活を営むために用具の給付や貸し出しを行う事業です。
移動支援事業
障害者が屋外での移動を円滑に行えるように、障害者のニーズに応じてサポートする事業です。
具体的な支援の方法としては、障害者に対して個別に対応する個別支援型、複数の者が同じ目的で移動する際に行うグループ支援型、バスなどを巡回させて送迎支援を行う車両支援型があります。
地域活動支援センター
地域活動支援センターとは、障害者に社会との交流を図る機会や生産活動を行う機会を提供するための施設です。
障害を持つ人が地域で自立して生活することを可能にするために、利用者や地域の状況に応じて柔軟に事業を運営していることができる仕組みになっています。
地域活動支援センターを通じて、障害者が自立した日常生活や社会生活を送るうえでの援助を受けることができます。
都道府県が行う地域生活支援事業
都道府県は、障害者を支援する事業のなかでも専門的知識が必要とされる事業や、市町村ごとではなく広域的な対応が必要な事業を実施しています。
市町村事業と同様に、都道府県事業についても必須事業と任意事業があります。
都道府が行う必須事業には下記の4つなどがあります。
- 専門性の高い相談支援事業
- 人材の養成・研修事業
- 専門性の高い者の派遣・連絡調整事業
- 広域的な支援事業
それぞれザックリ解説していきます。
専門性の高い相談支援事業
発達障害者やその家族に対しての相談支援、高次脳機能障害に対する人材育成や情報提供・啓発活動、障害者が自立して職業生活を送ることができるようにするための雇用促進のための活動があります。
人材の養成・研修事業
手話を使いこなすことができるモノの育成、盲ろう者向けの通訳や介助員の養成、障害福祉サービスの管理を行う者の養成などを行います。
専門性の高い者の派遣・連絡調整事業
手話通訳者、要約筆記者、触手話、指点字を行う者の派遣、市町村相互間での連絡調整に関する事業です。
広域的な支援事業
市町村域を越えて広域支援を行います。
具体的には、地域ネットワークの構築、専門知識を必要とする障害者支援システム構築に関する助言、広い地域にまたがって存在している課題解決のための支援などがあります(相談支援体制整備事業)。
また、精神障害者の地域移行・生活支援の一環として、アウトリーチ(多種職チームによる訪問支援)を行うとともに、アウトリーチ活動に関して関係機関との広域的な調整などを行います(精神障害者地域生活支援広域調整等事業)。
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