この記事では「小規模保育事業」について解説していきます。
従来の保育所や幼稚園では設置に大きなスペースを必要とするために、新たに設置することが難しく待機児童が解消しませんでした。
小規模保育事業により、小さなスペースでも保育施設の設置が可能になり、待機児童問題の解決が期待されています。
この記事を読めば、「従来の保育施設と小規模保育事業の保育施設の違い」「入所対象者」「保育時間」などを知ることができます。
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小規模保育事業とは
家庭の事業により保育に欠ける原則として3歳未満の児童を市区町村や民間事業者等が開設している施設で預かり、比較的少数(6人~19人以下)で、規模の特性を生かしたきめ細やかな保育を行います。
施設の保育従事者の保育士有資格者割合により、全員が保育士である小規模保育事業A型、5割以上が保育士である小規模保育事業B型、家庭的保育者が保育を行う小規模保育事業C型の3種類に分類されます。
入所対象者
乳幼児を入所させるには、保護者が下記のいずれかの事由に該当する必要があります。
- 就労(フルタイムほか、パートタイム、夜間など基本的にすべての就労に対応します、ただし、一時預かりで対応可能な短時間の就労は除く)
- 妊娠、出産
- 保護者の疾病、障害
- 同居または長期入院等している親族の介護・看護
- 災害復旧
- 求職活動(起業準備を含む)
- 就学(職業訓練校等における就業訓練を含む)
- 虐待やDVのおそれがある
- 育児休業取得時に、すでに保育を利用している子供がいて持続利用が必要であること
- その他、上記に類する状態として市区町村が認める場合
母子・父子家庭福祉の観点からこれらの世帯に対して優先順位を設ける場合もあります。
保育内容
保育所では、「養護」と「養育」が一体となった保育を行います。
乳幼児を適切な環境のもとで健康・安全で安定感をもって活動できるように養護するとともに、その心身を健全に発達するように教育します。
厚生労働大臣告示の保育所保育指針により、保育所において、子どもの生命の保持および情緒の安定が図られるとともに、生涯にわたる生きる力の基礎が培われるよう、保育内容の基本原則が定められています。
外部サイト
保育時間
就労時間などにより保育を受けられる時間(保育の必要量)が決められます。
主にフルタイム就労を想定した「保育標準時間」区分に認定されると原則8時間、最長11時間となります。
主にパートタイム就労を想定した「保育短時間」区分に認定されると最長8時間となります。
費用
世帯の所得の状況や乳幼児の年齢その他の事情を勘案して、市区町村等により異なります。
問い合わせ先に照会してください。
小規模保育事業の「A型」「B型」「C型」の違い
種類 | 対象年齢 | 保育園定員 | 職員数 | 職員基準 |
A型 | 0~2歳 | 6~19名 | 一般の保育園の基準+1名 | 全職員が保育士 |
B型 | 職員の半数が保育士 | |||
C型 | 6~10名 | 子供3人につき職員1人 (補助者がいれば5人につき2人) |
家庭的保育者 |
「A型」の特徴
- 職員数:保育所の配置基準+1人
- 職員資格:保育士(全員)
- 定員:6人以上19人以下
- 保育室の面積:0歳・1歳…1人当たり3.30㎡/2歳児…1人当たり1.98㎡
A型は、保育所や幼稚園の条件に近い形態で、それらよりも定員数が少ないです。
「B型」の特徴
- 職員数:保育園の配置基準+1人
- 職員資格:1/2以上が保育士
- 定員:6人以上19人以下
- 保育室の面積 :0歳・1歳…1人当たり3.30㎡/2歳児…1人当たり1.98㎡
B型は、A型とC型の中間の形態です。
「C型」の特徴
- 職員数:3人に1人(補助者を置く場合は5人に2人)
- 職員資格:家庭的保育者
- 定員:6人以上10人以下
- 保育室の面積:1人当たり3.30㎡
保育をする人は必ずしも保育士である必要はなく、市町村が行う一定の研修を受ければ子供の保育をすることが出来るようになります。
幼児教育・保育の無償化に伴い保育料が無料
令和元年10月からはじまった「幼児教育・保育の無償化」に伴い、令和元年10月分以降の保育料については無料となります。
「幼児教育・保育の無償化」は、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までのすべての子どもたちの利用者負担金(保育料)が無償化されます。
ただし、通園送迎費(バス代)、給食費(主食費・副食費)、行事費などはの費用は対象外となる場合があります。
なお、年収360万円未満相当世帯の子供たちと全ての世帯の第3子以降の子供たちについては、副食(おかず・おやつ等)の費用が免除されます。
0歳から2歳までの子どもについては、住民税非課税世帯を対象として利用料が無償化されます。
小規模保育事業により待機児童が解消される理由
都市部では保育施設が足りず、待機児童問題が騒がれています。
国や自治体は待機児童解消のため、積極的に保育所や幼稚園の増設を試みましたが、都心部はビルが密集しており広い土地が確保できず、大規模な保育施設が作れないという問題がありました。
そこで問題解決のための急先鋒となったのが、小規模保育事業です。
「19人以下」という人数制限を設けることにより、限られたスペースでも保育施設を設置できるようになりました。
従来の保育園の基準
保育園の設置には、職員数、職員の資格・子どもを受け入れられる人数、保育室の規模(面積)について基準があります。
- 職員数:0歳児3人に対して1人/1歳児・2歳児6人に対して1人
- 職員資格:保育士(全員)
- 定員:20人以上
- 保育室の面積:0歳・1歳…1人当たり3.30㎡/2歳児…1人当たり1.98㎡
定員数×0歳・1歳…1人当たり3.30㎡/2歳児…1人当たり1.98㎡の問題がネックとなり、開園できない報告が数多く上げられました。
小規模保育事業の問題点
3歳から転所が必要
小規模保育には2歳までしかないため、3歳からは別の保育所か幼稚園に転所しなければいけません。
こも問題を解決するため、国は、小規模保育は卒園後の優先受け入れ先となる保育園を「連携施設」として設定するよう促しています。
しかし、「連携施設」の設定には2020年3月末までの猶予期間が設けられており、未だに設定していない小規模保育園も多くあります。
小規模保育所には園庭がない
小規模保育の施設はマンションの一室やビルの一部で運営しているため、子どもたちが遊べる庭園がありません。
子どもたちが外で遊ぶことになると、近くの公園を利用することになります。
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