政府は子どもが1歳になるまでの育児休業中に受けられる給付金の対象に、非正規労働者を加える案を検討します。
2022年9月28日の全世代型社会保障構築会議で、子育て支援の強化策として議論を始めます。
出生数が政府の想定を上回るペースで減少するなか、仕事と子育てを両立しやすい環境を整えます。
人口減少に歯止めをかける狙いです。
育児休業給付金とは
育児休業給付金は休業中に会社からの給与が減少する分を補う制度です。
育休を始めて180日間は休業前の給与月額の67%分を、それ以降は子どもが1歳になるまで同じく50%分を支給します。
給付には上限額があります。
育休期間中は社会保険料の納付を免除され、負担はその分軽くなります。
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給付金の現在の対象
給付金の対象は雇用保険制度の加入者となっていることです。
雇用保険の加入には「週の所定労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用見込みがある」といった条件があります。
その上で「休業開始前の2年間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月が12カ月以上あること」といった給付要件があります。
これらの条件から、現状で給付金を受けられるのは正社員と一部の非正規労働者にとどまっています。
自営業者やフリーランスは対象外となります。
共働き世帯が増えるなか、給付金の対象を広げることで仕事と子育てを両立しやすくなります。
給付対象の拡大に向けての課題は財源
給付拡大に向けては財源が課題となります。
雇用保険制度の一環である育休給付金の原資は労使折半の保険料と国庫負担でまかなっています。
対象を広げる場合は拡大範囲や負担のあり方が論点になります。
海外の育児休業給付金
海外には日本のように労働者に限らず、幅広い親を育休給付の対象にする仕組みがあります。
スウェーデンは社会保険料を財源として、すべての親を対象に給付する制度をとり入れています。
育休は両親合計で480日間取得できます。
給付金は390日間、休業前の賃金の77.6%の水準で受けられます。
フランスは社会保険料と税を原資として両親それぞれに6カ月、月額約398ユーロ(約5万5000円)を給付しています。
ドイツは税を財源に両親あわせて12カ月間、休業前の賃金の67%程度の水準で給付を受けられる制度を導入しています。
理由は少子化対策
海外動向もふまえ、政府内で今後、制度設計の議論を進めます。
政府が支援強化を急ぐ背景には想定を超える少子化のスピードがあります。
出生数は2022年に初めて年間80万人を下回るとの推計もあり、危機感は高まっています。
政府は7日に、およそ4カ月ぶりとなる全世代型社会保障構築会議の議論を再開しました。
「子ども・子育て支援の充実」「医療・介護制度の改革」「働き方に中立的な社会保障制度の構築」の3テーマで具体化を進めます。
実現に向けた工程表を年内にも策定します。
まとめ
政府は子どもが1歳になるまでの育児休業中に受けられる給付金の対象に、非正規労働者を加える案を検討します。
2022年9月28日の全世代型社会保障構築会議で、子育て支援の強化策として議論を始めます。
出生数が政府の想定を上回るペースで減少するなか、仕事と子育てを両立しやすい環境を整えます。
子育て支援をめぐっては、出産育児一時金の増額とは別に妊娠・出産期の支援拡充も論点に浮上しています。
出産時に公的医療保険から支払う同一時金に関して、政府は現在の子ども1人あたり42万円から増額する方針を打ち出しています。
子育て世帯の負担を和らげるため、さらなる拡充を検討します。
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