社会保障

育児休業給付とは?「受給条件」や「期間の延長」について解説

育児休業給付とは?「受給条件」や「期間の延長」について解説

昨今の日本では女性の社会進出がすすみ、共働きの世帯が多くなってきています。

日本の社会保障には、育児をするために会社を休んだ時に給付を受けられる制度があります。

それが育児休業給付です。


この記事を読めば育児休業給付の「条件」「金額」「期間の延長」について知ることができます。


育児休業給付とは

育児休業給付とは

育児休業給付とは、雇用保険の補償の一つです。

育児休業中に申請することにより給付金を受け取ることができます。


育児休業中はこれまでのように仕事をすることができず、今までどおりの給料を受け取ることができません。

そういった人に国がお金を給付し、育児休業中の人の生活を困らないようにするための制度です。


育児休業給付金は、支給に至る条件や給付を受けられる期間が定められており、国民全員が受給できるわけではありません。


育児休業給付金の受給条件

育児休業給付金の受給条件

育児休業給付金の受給条件は下記の6つです。

  1. 雇用保険に加入している
  2. 子供の年齢が1歳未満
  3. 育休前の2年間で、1ヶ月に11日以上働いた月が12カ月以上ある
  4. 育児休業期間中の各1ヶ月ごとに、休業開始前の1ヶ月の賃金の8割に満たない
  5. 育児休業期間中に就業している日数が各1ヶ月に10日以下である
  6. 育児休業後は原則職場復帰する


それぞれわかりやすく解説していきます。


雇用保険に加入している

育児休業給付金は雇用保険から支払われます。

よって、雇用保険に加入していないと育児休業給付金を受け取ることができません。


自営業の方や、アルバイトやパートで働いている人の多くは育児休業給付金の受給条件を満たしていません。



子供の年齢が1歳未満

育児休業給付金が申請できるのが生まれてから1歳未満の子供がいる間になります。

ただし、子が1歳以上になっても保育園に預けられないなどの事情がある場合には、1歳6ヶ月まで、それでも上記のような事情がある場合で働けないときには2歳まで延長することができます。


育休前の2年間で、1ヶ月に11日以上働いた月が12カ月以上ある

正社員で働いている人なら特に気にする必要のない条件ですが、問題なのはアルバイトやパート、契約社員で働いていて雇用保険に加入している場合です。


雇用保険の加入条件が下記の3つのため、雇用保険の加入条件を満たしていながら、育児休業給付金の受給条件を満たしていない可能性があります。

雇用保険の加入条件は下記のとおりです。

  1. 労働時間が週20時間以上
  2. 31日以上雇用される見込みである
  3. 学生ではない(例外あり)


契約内容をよく確認し、給付を受けたければ事前に条件を満たすように勤務時間を調整しましょう。


育児休業期間中の各1ヶ月ごとに、休業開始前の1ヶ月の賃金の8割に満たない

育児休業給付金の目的は、育児をすることによってそれまで通りの賃金を受け取ることができなくなることによる、家計の負担を軽減することです。

受け取れる賃金がそれほど減額しない者はこの条件を満たすことはできません。


1ヶ月の賃金の8割に満たないとは、たとえば、「それまで10万円もらっていたのに、79,999円以下になった場合」です。


育児休業期間中に就業している日数が各1ヶ月に10日以下である

育児休業期間中に1ヶ月に11日以上働くと、育児休業給付金を受け取ることができなくなってしまいます。


育児休業後は原則職場復帰する

育児休業期間が終了した後は、職場復帰をすることが原則です。

育児休業取得時に退職することが決まっている場合は、給付金をもらうことができません。


ただし、職場復帰する予定であったのに、休業期間中に退職することになった場合は原則として退職日の属する支給単位期間以降の給付金は受けられません。(それまでにもらった給付を返金する必要はありません。)


育児休業給付金の金額

育児休業給付金の金額

育児休業給付金の支給額は、支給対象期間(1か月)当たり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%(育児休業の開始から6か月経過後は50%)相当額となっています。


また、2ヵ月ごとに決められた金額が支給され、この支給額には上限・下限が設けられています。


ちなみに、子供が生まれて8週間は育児休業期間に含まれません。

生まれて1~2ヶ月後に手続きを行うので、最低3か月ほどは受け取れないということを把握しておきましょう。

  1. 期間によって受け取れる金額が違う
  2. 上限額と下限額が設けられている


それぞれわかりやすく解説していきます。


期間によって受け取れる金額が違う

育児休業開始日~6カ月とそれ以後とでは計算方法が異なります。


育児休業開始日~6カ月=1カ月の賃金の67%

育児休業開始日から6カ月の間の育児休業給付金を計算する場合、育児休業給付金の1支給単位期間ごとの支給額は、原則として休業開始時賃金日額×支給日数×67%で計算されます。


休業開始時賃金日額とは、原則として育児休業開始前6カ月間の賃金を180で割った額です。


育児休業6カ月経過~=1カ月の賃金の50%

育児休業開始日から6カ月が経過した後、の育児休業給付金の支給額は、原則、休業開始時賃金日額×支給日数×50%で計算し、50%の支給は、育児休業が終了する日まで続きます。


休業開始時賃金日額や支給日数の考え方は、育児休業開始日から6カ月の間の支給額の場合と同じく、原則として育児休業開始前6カ月間の賃金を180で割った額です。


育児休業給付金の上限額・下限額

育児給付金の支給限度額は、令和元年8月1日に変更されました。

現在、育児給付金について賃金月額および支給額は、以下のとおり上限・下限が規定されています。

育児休業給付金の上限額

育児休業開始日~6カ月の支給率が67%のときの支給単位期間1カ月分の上限額:286,023円、下限額は46,431円


育児休業給付金の下限額

6カ月経過後~休み最終日までの支給率が50%のときの支給単位期間1カ月分の上限額:213,450円、下限額は34,650円



育児休業給付金の申請の仕方

育児休業給付金の申請の仕方

育児休業給付金を受けるには申請し、手続きを踏んで必要な書類を提出する必要があります。

もっとも、事業所が行うことがほとんどで心配することもないのですが、受給者本人が用意する書類もありますのでしっかりと確認していきましょう。


なお、希望すれば受給者本人で手続きを行うことも可能です。よって、手続きは事業主側と受給者でよく相談して決めましょう。


育児休業給付金の支給は2ヶ月に1回行われるため、最初の手続き後、事業主を経由して2か月に1回支給申請する必要があります(なお、被保険者本人が希望する場合、1か月に一度、支給申請を行うことも可能)。


申請に必要な書類

申請を企業側と受給者本人どちらが行っても同じ書類を用意する必要があります。


主に企業側が書類の用意をしなくてはいけないので、企業側に申請を任せたほうが円滑に進みます。

どうしても自分で申請したいという人は、企業に書類をもらい申請しましょう。


主に必要な書類は下記の3つになります。

  • 休業開始時賃金月額証明書
  • 育児休業給付受給資格確認票
  • (初回)育児休業給付金支給申請書


また支給申請書の内容を証明する添付書類として、「賃金台帳」もしくは「出勤簿」、育児の証明をする「母子健康手帳」または「住民票」などの写しも必要になります。


企業側で必要な書類

  • 育児休業給付受給資格確認票(ハローワークで交付)
  • 育児休業給付金支給申請書(ハローワークで交付)
  • 休業開始時賃金月額証明書
  • 添付書類として「賃金台帳または出勤簿」が必要


労働者側で必要な書類

企業から「育児休業給付受給資格確認票」と「育児休業給付金支給申請書」をもらい記入する必要があります。

さらに、育児の証明のために下記のものを提出する必要があります。

  • 母子健康手帳の写し
  • 育児休業給付金を受け取るための受取口座通帳の写し


申請の流れ

労働者が会社に育児休業の申し出

会社が管轄のハローワークに書類申請

育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書を労働者が記入、母子健康手帳、受取口座の通帳の写しを合わせて会社に提出

育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書・休業開始時賃金月額証明書と添付書類として賃金台帳または出勤簿、母子健康・受取口座の通帳の写しをすべて、管轄のハローワークに提出


上記が初回申請時の流れとなります。

これ以降2カ月に1回、申請書を提出し育児休業給付金を受け取る流れになります。


育児休業給付金の延長の仕方

育児休業給付金の延長

育児休業給付金は延長することが可能です。

延長期間は、育児休業の申出に係る子について1歳に達する日後の延長、1歳6か月に達する日後の延長の2回までです。

それぞれ延長手続が必要になります。


育児休業給付金を延長できる条件

育児休業給付金を延長できる条件は下記のとおりです。

  • 保育所等に保育の実施を希望し申し込みを行っているが当面の間実施されない。または、保育所に預けたいが保育所の理由により預けられない
  • 配偶者が死亡し養育者がいなくなった
  • 配偶者が負傷や病気、精神上の障害により養育できなくなった
  • 配偶者が婚姻の解消その他の事情により子供と同居できなくなった
  • 配偶者が6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定または産後8週間を経過しない


などです。

詳しくはハローワークへ相談してください。


延長希望の申請に必要な書類

延長は、対象の子が1歳に達した後と1歳6ヶ月に達した後に、それぞれ半年間のみ可能です。

延長するときに必要な書類は、延長の理由によって異なります。

  • 保育所に入れないとき
    ➝延長理由を確認できるもの(入所申出書、入所不承諾通知書)

  • 配偶者が死亡したとき
    ➝世帯全体が分かるよう記載された住民票
    ➝母子健康手帳

  • 負傷、病気、精神障害で養育困難なとき
    ➝病院の診断書
    ➝母子健康手帳

  • 離婚等で子供と別居したとき
    ➝世帯全体がわかるよう記載された住民票
    ➝母子健康手帳

  • 6週間以内に出産する予定または産後8週間を経過しないとき
    ➝母子健康手帳


なお、いずれの場合でも育児休業給付金支給申請書は必要です。



パパ・ママ育休プラスとは

パパ・ママ育休プラスとは

パパ・ママ育休プラス制度とは、母親だけでなく父親も育児休暇を取得して育児に参加する場合、それまで1年間だった育児休業期間を2ヶ月延長し、子どもが1歳2ヶ月になるまで取得できるというものです。


パパ・ママ育休プラスの利用条件

パパ・ママ育休プラスを受けるためには下記の条件を満たす必要があります。

  1. 配偶者が子が1歳に達するまでに育児休業を取得している
  2. 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前である
  3. 本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降である



利用できる期間

パパ・ママ育休プラスは、いろいろな組み合わせで利用することができます。


パパとママが交代で切れ目なく育休をとりたい

パパとママが交代で切れ目なく育休をとりたい

出典:厚生労働省


1歳~1歳2か月まで取得も可能。


パパとママが2人で一緒に、かつできるだけ長い期間にわたって育休をとりたい

パパとママが2人で一緒に、かつできるだけ長い期間にわたって育休をとりたい


同時の取得も可能。


祖父母が子どもの面倒を見てくれる期間は、パパママともに働き、交代で育休をとりたい

祖父母が子どもの面倒を見てくれる期間は、パパママともに働き、交代で育休をとりたい


連続していなくても大丈夫。


利用できない具体例

利用できない具体例


ママの育児休業開始日が、パパより先であるため、母はパパ・ママ育休プラスの対象とはならず、育児休業が取得できる期間は1歳到達日までになります。



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