社会保障

【入院中の食費】加入する公的医療保険ごとの違いをわかりやすく解説

【入院中の食費】加入する公的医療保険ごとの違いをわかりやすく解説

この記事では、「入院時にかかる食費(入院時食事療養費)」について解説していきます。


医療機関に入院することになると、病院が病院食を提供することになります。

病院食は3つの役割を担っています。入院患者の栄養状態を改善し、疾患の治癒・病状回復の促進です。


入院中の食事代は全国一律の「1食460円」に決まっています(低所得者の減額措置あり)。


この記事を読めば、公的医療保険の違いによる「入院時食事療養費」の詳細を知ることができます。




入院時食事療養費とは

入院時食事療養費とは

入院したときの食費については、患者は病院・診療所の窓口で食事療養標準負担額(平均的な家計における食費を勘案した一定額)を支払います。

残りの費用は、食事療養の平均的な費用として厚生労働大臣が定める基準に従い算定した額から食事療養標準負担額を控除した額が、入院時食事療養費として支給されます。


ただし、65歳以上の人が療養病床に入院している場合は、食費および居住費として生活療養標準負担額を支払い、入院時生活療養費が支給されます。



公的医療保険の違いによる「入院時食事療養費」の詳細

公的医療保険の違いによる「入院時食事療養費」の詳細

公的医療保険の種類は全部で下記の5つがあります。

  1. 健康保険
  2. 共済組合
  3. 船員保険
  4. 国民健康保険
  5. 後期高齢者医療


加入している公的医療保険によって保障内容に若干の違いがあります。

また、「入院時食事療養費」の場合は70歳上になると違った枠組みになります。


それぞれわかりやすく解説していきます。



健康保険(一般被保険者)

食事療養標準負担額

1食付き460円(指定難病患者、小児慢性特定疾患病患者等は260円)。

1日3食を限度。ただし、低所得者は申請により減額が受けられます(後述)。


給付期間

給付は入院が終わるまで続きます。


受給方法

保健医療機関に被保険者証を提示することで、「入院時食事療養費」の給付を受けることができます。


問合わせ先

健康保険(一般被保険者)の場合、問合わせ先は事業所を管轄している全国健康保険協会都道府県支部、または加入する健保組合です。


健康保険(日雇特例被保険者)

食事療養標準負担額

上記で説明した、一般の被保険者と同じです。


給付期間

給付は入院が終わるまで続きます(最大1年間、ただし結核性疾病は5年間)。


受給方法

受給要件を満たしていることの確認印のある受給資格者票を保健医療機関に提示することで、「入院時食事療養費」の給付を受けることができます。


問合わせ先

問合わせ先は、住所地または居住の全国健康保険協会都道府県です。


国民健康保険

健康保険と同じ内容です。


問合わせ先

国民健康保険の問合わせ先は、住所の市区町村役場または加入する国保組合です。


船員保険

おおむね健康保険と同じです。


問合わせ先

船員保険の問合わせ先は、全国健康保険協会船員保険部です。


共済組合等

健康保険と同じ内容です。


問合わせ先

共済組合等の問合わせ先は、加入する共済組合等です。


70歳以上の高齢者の場合

食事療養標準負担額

1食につき460円(指定難病患者等は260円)。

ただし、低所得者は申請により減額が受けられます。


給付期間

給付は入院が終わるまで続きます。

ただし、健康保険の日雇特例被保険者は最大1年間(結核性疾病は5年間)になります。


受給方法

受給方法は”75歳未満”と”75歳以上”で異なります。


75歳未満は、健康保険等の被保険者証と高齢受給者証(健康保険の日雇特例被保険者の場合は、受給要件を満たしていることの確認印のある受給資格者票)を医療機関に提示することで、給付を受けることができます。


75歳以上は後期高齢者医療制度の被保険者証を医療機関に提示することで、給付を受けることができます。


問合わせ先

問合わせ先は、”75歳未満”と”75歳以上”で異なります。


【75歳未満】

健康保険〈一般保険者〉
➝ 事業所を管轄している全国健康保険協会都道府県支部または加入する健保組合。

健康保険〈日雇特例被保険者〉
➝ 住所地または居住地の全国健康保険協会都道府県支部。

船員保険
➝ 全国健康保険協会船員保険部。

共済組合等
➝ 加入する共済組合等

国民健康保険
➝ 居住の市区町村役場または加入する国保組合


【75歳以上】

居住の市区町村役場。


食事療養標準負担額の減額を受けるとき

食事療養標準負担額の減額を受けるとき

低所得者は、食事療養標準負担額の減額をすることができます。

その際、病院・診療所で支払う金額は下表のとおりです。

  期間 金額
低所得者
(市町村民税課税世帯等)
90日までの入院 1食 210円
91日以降の入院 1食 160円


減額を受ける際には、保険者(全国健康保険協会、健保組合、共済組合等、市区町村、国保組合)の認定が必要となります。

認定の申請は、限度額適用・標準負担額認定申請書に市町村民税非課税証明書等を添付し、保険者に提出します。

認められれば、限度額適用・標準負担限度額認定証が交付されます。


入院の際には、交付された認定証を被保険者証(日雇特例保険者の場合は、受給要件を満たしていることの確認印のある受給資格者票)といっしょに医療機関の窓口に提示することにより、減額が認められます。


また、この認定証は、低所得者が高額療養費の現物給付を受ける際の認定証も兼ねています。

なお、不明な点については、各保険者に問合わせてください。



高額な食費に備えて民間医療保険に加入

医療保険とは?医療保険の詳細をわかりやすく解説

入院中の病院食は、「1食につき460円」となっており、1日あたりで考えると、460円×3食=1380円と意外にも高額になります。

1ヶ月入院するとなると、460円 × 3食 × 30日 = 41,400円となります。


入院することになると、収入が途絶える人もいます。

民間の医療保険に加入すると、入院することで自由に使うことのできる現金(保険金)が支払われます。

自身の貯蓄と相談し、民間の医療保険の加入を検討しましょう。




【まとめ】医療費に関する社会保障の種類をわかりやすく解説

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