社会保障

失業保険を受給中に働いて収入を得たら基本手当はいくら減額される?

失業保険の受給中に働いて収入を得たら基本手当はどうなるのか?

雇用保険(失業保険)の基本手当を受給中でもアルバイトや内職で収入を得ることは可能です。

しかし、就労時間や金額によって基本手当が減額されることがあります。


この記事を読めば、失業保険を受給中に働いて収入があった場合の基本手当の減額について知ることができます。


事前に制度を理解しておくことで、賢く失業期間を過ごすことができます。



失業保険を受給中でもアルバイトや内職は可能

失業保険の受給中でもアルバイトや内職は可能

失業期間中の強い味方となる失業給付の基本手当は、失業しているそれぞれの日について、失業状態にあると認定されてはじめて受けられるものです。


失業保険の受給中は、アルバイトや内職をしてはいけないと誤解している人がいます。

しかし、一定の日数、時間内での勤務であり、それをしっかりとハローワークに申告すれば、アルバイトや内職は可能です。

では、失業期間中に、アルバイトや内職をした場合、給付はどうなるのでしょうか。


ハローワークでは、働いた程度によって、下記の2種類に分けられます。

  1. 就業または就労
  2. 内職または手伝い


就業または就労とは、事業主に雇用され、1日の労働時間が4時間以上である場合をいいます。

なお、契約期間が7日以上であって、週の所定労働時間が20時間以上、かつ、週の就労日が4日以上の場合には、実際に就労していない日を含めて就労しているものとして取り扱います。


一方、内職または手伝いとは、1日の労働時間が4時間未満の場合をいいます。

これには、事業主の雇用された場合以外にも、自営業を営むこと、自営業の準備、請負・委任による労務提供、内職、ボランティア活動も含まれます。

なお、内職または手伝いをしたことによって収入を得ていなくてもハローワークへの申告は必要です。


また、1年を超えて継続して雇用された場合には、再就職として扱われ、以降の失業保険を支給されません。


就業または就労をした場合、基本手当はどうなるのか

受給期間中に就業(就労)をする場合には、就業手当の支給の有無に注意する必要があります。

就業手当は、受給期間中にアルバイトやパート等に就いた人に、それらの給料とは別に、手当を支給する制度です。


「給料の他に手当がもらえる」と聞くと、得をするのではないかと思うかもしれませんが、そうではありません。

基本手当に3割がもらえるといっても、上限額は1,800円程度です。しかも、就業手当を受け取ると、基本手当を全額受け取ったとみなされます。


その結果、アルバイトをした日数分の手当が先送りされることはなく、所定給付日数から完全に消滅してしまうのです。

つまり、1,800円程度の就業手当をもらうために、基本手当の日額数千円が受け取れなくなり、損をすることになります。


内職または手伝いをした場合、基本手当はどうなるのか

受給期間中に、内職または手伝いをした場合は、基本手当と内職などの給料の両方を受け取ることができます。


しかし、内職などの給料が高額になり一定の金額を超える場合には、基本手当が減額になることや、基本手当の支給が先送りになることがありますので、注意が必要です。


具体的には下記のように計算します。

$$①(収入-控除額)+基本手当日額≦賃金日額の80%$$


上記の場合、内職などの収入が少額のため、基本手当は全額支給されます。

$$②(収入-控除額)+基本手当日額>賃金日額の80%$$


上記の場合、賃金日額の80%を超えた金額が基本手当から減額されます。

減額分は、基本手当の支給が先送りにならず、完全に消滅してしまいます。

$$③(収入-控除額)≧賃金日額の80%$$


上記の場合、基本手当は全額不支給となります。

そして、この分の手当の支給は先送りになり、受給期間内であれば後から満額受け取ることができます。


なお、計算式の控除額は1,300円前後で毎年8月に改定されます。


ちなみに、受給期間中のアルバイトや内職は、「失業状態」にある人が、就職活動の合間に行う家計補助的な労働として認められているものです。


そのため、就職活動をまったくしないで、毎日、内職ばかりしていると、「失業状態にない」とハローワークから判断されるおそれがあります。

そうなると、失業手当の支給が停止されますので注意してください。


収入の有無は失業認定申告書に記入する

収入の有無は失業認定申告書に記入する

失業の認定を受ける際には、アルバイトなどで収入があったかどうかを含め、求職活動の状況などの必要事項を「失業認定申告書」に記入してハローワークに提出します。


失業認定の対象となる4週間のうち、収入のなかった日の分だけ基本手当が支給され、収入のあった日など失業にあたらないと判断された日の分は、支給されないかあるいは減額されます。

つまり、働いた日数分を差し引いた基本手当が支給されることになります。


パートやアルバイトといった形であっても、継続勤務の場合は「就職」と判断されます。

雇用保険の資格を取得していなくても「就職」中は支給されません。


1日だけ働いたり、不定期に数日働いたりした場合のように臨時的で単発的な労働であっても就労をした日の分について、基本手当は支給されません。

「内職」やちょっとした「手伝い」など、求職活動の妨げとならない程度の労働を行った日は、得た収入の額によっては全額支給されることもあります。


当初は就職するつもりだった人が、自営業を始めたようなとき(1日4時間以上)は、開業準備を始めた日以降が就職したものとみなされるため、基本手当の支給の対象となりません。


労働時間を4時間未満にすることがポイント

労働時間を4時間未満にすることがポイント

受給期間中に働いたとしても、確実に就業手当の申請を免れる方法があります。

1日4時間未満でなおかつ、週20時間未満の条件で労働することです。


上記の条件なら、法律上「内職」として扱われ、「就業または就労」したものとは扱われないため、就業手当の申請を免れることができます。

更に、「内職」だと、その収入が一定の金額より少なければ、内職の収入と、失業手当をダブルで受給することが可能です。


ただし、これについても、どの程度働けば就業手当の申請が不要なのかについてあらかじめ確認しておくことが必要です。



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