男性13.97%、女性85.1%――。
2021年度の育児休業取得率です。
男性の値は過去最高ですが女性よりなお低く、政府の男性の目標値30%(25年)とも大きな開きがあります。
男性の育児を促そうと、政府は改革を急いでいます。
子どもが生まれる社員に育休制度について個別に伝え、取得意向を尋ねることは、4月からすでに企業の義務になっています。
10月には、育休の分割取得もできるようになります。
詳しく解説していきます。
「産後パパ育休」も10月に創設される
「産後パパ育休」も10月に創設されます。
従来の育休とは別に、出生後8週間以内に最大4週間使える休みで、分割も可能です。
労使合意のもと一定の範囲で働くこともできます。「大事な会議がある」といった場合も、休みやすくなるでしょう。
ただし、先行きはなお未知数です。
「収入が減る」「職場への不安」の2つの問題があるためです。
「収入が減る」問題
金銭面では雇用保険から、最初の180日間は休業開始時賃金の67%が給付されます。
社会保険料は免除されるため手取り収入は約8割になります。
それ以降も50%が出るので、ある程度の備えにはなります。
「職場への不安」問題
職場のほうはなかなか難しいです。
自分でうまく引き継ぎができたとしても、「男性は仕事、女性は家庭」という意識や長時間労働を是とする風土では、評価への不安が拭えません。
働き方と制度がちぐはぐなままでは男性の育休取得は進まない
「家事・育児を全面的に担う人がいることを前提にした働き方が、日本ではなお主流です。
働き方と制度がちぐはぐなままでは男性の育休取得も女性の活躍も進まない」と立命館大学の教授は指摘しています。
逆にいえば、働き方が変われば仕事と家庭を両立させやすくなります。
テレワークが普及し、柔軟な働き方が定着すれば、男女ともにプラスでしょう。
仕事を「棚卸し」して必要なものに絞り込む、チームで情報を共有する、なども大切です。
長時間労働の是正はもちろん急務です。
家事・育児分担、女性が男性の4倍も負担
働き方が変わらない日本は、男女の家事・育児分担が偏った国でもあります。
総務省の最新の調査によると、6歳未満の子どもがいる夫婦では、女性が男性の4倍も負担しています。
働き続けたい女性が、育児休業や短時間勤務に過度に依存すれば、性別役割分業がさらに広がります。
男性は女性に就労継続を求めている
若い世代は変化しています。国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」では、未婚の男女が理想とする女性のライフコースは「両立」が最多でした。
特に男性が女性に就労継続を求めています。
第1子出産後に継続した女性の割合は、この10年で4割から7割にまで増えました。
まとめ
男性の育児を促そうと、政府は改革を急いでいます。
子どもが生まれる社員に育休制度について個別に伝え、取得意向を尋ねることは、4月からすでに企業の義務になっています。
来春からは男性の育休取得率の公表が大企業の義務となります。
取得率を上げるだけなら、短期間休ませればOKでしょう。
働き方改革をともなった企業なのか、ただ数字が高いだけなのか、若い世代の目も厳しくなりそうです。
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