岸田文雄首相は2023年3月17日の記者会見で育児休業給付の拡充を表明しました。
「産後の一定期間に男女で育休を取得した場合の給付率を手取り10割に引き上げる」と述べました。
「2030年代に入るまでの6~7年が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスだ」と訴え、企業にも職場環境改善を求めました。
子育てしやすい社会環境に
経済支援に加えて子育てしやすい社会環境を重視する姿勢を強調し少子化対策の3つの「基本理念」を打ち出しました。
「若い世代の所得増」「社会全体の構造や意識を変える」「全ての子育て世帯を切れ目なく支援」を挙げました。
政府は月末にも少子化対策のたたき台をまとめます。
それに先立ち社会構造や意識の転換こそが「次元の異なる少子化対策」だと強調しました。
男性の育休取得率を引き上げると言明
日本の出生数は2022年に比較可能な1899年以降で初めて80万人を割りました。
経済成長や社会保障の土台を揺らがせかねません。
給付増や保育所整備などのいまの対策の延長線だけで反転させる道筋はみえないです。
女性に育児負担が集中する「ワンオペ育児」の実態を変える必要性に言及しました。
夫婦が協力しながら職場や地域が支援する社会をつくらなければならないと主張しました。
育休取得の促進を具体策として例示しました。
男性の育休取得率を21年度の13.97%から25年度に50%、30年度に85%に引き上げると言明しました。
従来の25年度に30%という目標を上方修正しました。
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育休給付を実質的に手取りの100%に
現行は休業前賃金の67%の育休給付を男女とも取得すれば一定期間8割にします。
社会保険料の免除とあわせ実質的に手取りの100%を確保します。
数百億円程度が必要になるとの見方があります。
首相はさらに「希望する場合には時短勤務時にも給付できるように見直す」。
「夫婦で育児・家事を分担しキャリア形成や所得の減少への影響を少なくできるようにする」と発言しました。
給付金を雇用保険で補えない就労者にも支援を広げます。
「非正規やフリーランス、自営業者の方々にも育児に伴う収入減少リスクに対応した新たな経済的支援を創設する」と言明しました。
多子世帯などの負担を考慮し、児童手当の拡充といった支援に取り組むとも説明しました。
企業に「出産・育児の支援を投資ととらえ、職場の文化・雰囲気を抜本的に変えてもらう必要がある」と呼びかけました。
人材が限られる中小企業で育休取得者の業務を引き受ける人を支えます。
「育休を促進する体制整備を行う企業への支援を検討する」と明言しました。