社会保障

iDeCo(イデコ)とは 主な特徴を分かりやすく解説

iDeCo(イデコ)とは 主な特徴を分かりやすく解説

iDeCo(イデコ)とは、日本の個人型確定拠出年金制度であり、自分で老後資金を積み立てるための制度です。

自分が選んだ金融商品に投資して、運用成果に応じて将来の年金額が決まります。


iDeCo(個人型確定拠出年金)の特徴について、詳細に説明します。

iDeCoは、将来の年金資金を自分で積み立てるための制度で、以下のような特徴があります。

  1. 税制優遇
  2. 加入対象
  3. 掛金の設定
  4. 資産運用
  5. 受取方法

詳しく解説していきます。



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1.税制優遇

1.税制優遇

iDeCoは、積立時、運用時、受取時の3段階で税制優遇を受けることができます。


掛金の全額が所得控除の対象

iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となり、所得税および住民税の負担が軽減されます。

具体的には、年間の掛金の合計額が所得から控除されることで、課税所得が減少します。

これにより、支払う税金が少なくなります。


例えば、年間24万円(毎月2万円)を掛金として拠出する場合、所得税率が20%の人であれば、年間約4.8万円(24万円 × 20%)の節税効果があります。


運用益が非課税

iDeCoで得られる運用益は非課税となります。

通常、投資信託などで得られる運用益には20.315%の税金(所得税15.315%+住民税5%)がかかりますが、iDeCoではこれが免除されます。

運用期間中、利益に対する税金がかからないため、運用効率が向上します。


受取時の税制優遇

一時金として受け取る場合(退職所得控除)

60歳以降に一時金として受け取る場合、退職所得控除が適用されます。退職所得控除額は以下のように計算されます。

  • 勤続年数が20年以下の場合:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
  • 勤続年数が20年を超える場合:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年)


退職所得は、退職所得控除額を引いた金額の1/2が課税対象となるため、大幅に税負担が軽減されます。


年金として受け取る場合(公的年金等控除)

年金として受け取る場合、公的年金等控除が適用されます。

年金受取額に応じて控除額が設定されており、具体的な控除額は年金受取額や年齢によって異なります。

2.加入対象

2.加入対象

iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入対象について詳しく説明します。

iDeCoは広範囲の人々が利用できる制度ですが、いくつかの条件や制限があります。


基本的な加入資格

  • 年齢制限: 20歳以上60歳未満の日本国内に居住するすべての個人が原則として加入可能です。
  • 国籍: 日本国籍の人が主な対象ですが、日本に住んでいる外国人も条件を満たせば加入できます。


加入の手続き

  • 申請手続き: iDeCoに加入するためには、金融機関を通じて申し込む必要があります。加入申請書を提出し、必要な書類を用意することが求められます。
  • 金融機関の選択: iDeCo口座を提供する金融機関(銀行、証券会社、保険会社など)を選び、その金融機関で口座を開設する必要があります。


3.掛金の設定

3.掛金の設定

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金の設定について、詳しく説明します。

iDeCoの掛金設定は、自分の生活状況や将来の計画に基づいて行います。

上限額を考慮し、生活に無理のない範囲で設定し、定期的に見直すことが成功の鍵です。

変更手続きも可能で、自分の状況に合わせて柔軟に対応できます。


掛金の上限額

掛金の設定にあたっては、まず自分が属するカテゴリに基づく上限額を理解することが重要です。上限額は以下の通りです。


  • 会社員(企業年金未加入): 月額2万3,000円(年間27万6,000円)
  • 会社員(企業年金加入): 月額1万2,000円(年間14万4,000円)
  • 公務員: 月額1万2,000円(年間14万4,000円)
  • 自営業者: 月額6万8,000円(年間81万6,000円)
  • 専業主婦(夫): 月額2万3,000円(年間27万6,000円)


掛金の決定方法

・自分の生活費や収入に基づく設定: 掛金は自分の月々の生活費や収入を考慮して設定します。無理のない範囲で設定することが重要です。

・将来の計画に基づく設定: 将来の目標や老後資金の必要額に応じて、積立額を設定します。高い掛金を設定することで、長期的により多くの資産を積み立てることができます。

・税制優遇を考慮: 掛金の全額が所得控除の対象となるため、税制優遇を活用して節税効果を得ることができます。


変更手続き

・掛金の変更: 一度設定した掛金額は、原則として年に1回まで変更することができます。変更の手続きは、iDeCo口座を開設した金融機関で行います。

・手続き方法: 掛金の変更は、所定の変更届出書を提出することで行います。金融機関によって手続き方法が異なる場合があるため、詳細は金融機関に確認してください。


自動振替の設定

振替方法: 振替方法としては、自動振替が一般的です。毎月の掛金が指定した口座から自動的に引き落とされます。

引き落とし日: 引き落とし日は金融機関や口座の設定によって異なります。指定した日付に自動的に振り替えられます。


掛金の運用

・運用商品: 掛金は、自分で選んだ運用商品(例:投資信託、定期預金など)に投資されます。運用商品の選定や運用方針の決定は、掛金の積立額に影響します。

・リスクとリターン: 運用商品のリスクとリターンを理解し、自分のリスク許容度に合わせて設定することが重要です。


ライフスタイルやライフイベントに応じた見直し

・ライフステージの変化: 結婚、出産、転職、定年退職などライフイベントに応じて、掛金の見直しが必要です。

・収入の変動: 収入の増減に応じて、掛金を増減させることも可能です。


4.資産運用

4.資産運用

iDeCo(個人型確定拠出年金)の資産運用について詳しく説明します。

iDeCoでは自分自身で運用商品を選び、資産を増やすための戦略を立てる必要があります。

自分のライフスタイルや将来の目標に合った運用方法を選ぶことが、成功の鍵となります。

以下は、iDeCoの資産運用に関する重要なポイントです。


運用商品の選択

iDeCoで選べる運用商品には以下のような種類があります。


定期預金

・特徴: 元本保証があり、リスクが非常に低いですが、リターンも限られています。

・利点: 安全性が高く、元本が保証されているため、リスクを避けたい人に向いています。


投資信託

・特徴: 株式や債券、不動産などに投資するファンドです。リスクとリターンの幅が広いです。

・種類: 国内株式型、海外株式型、債券型、バランス型、リート型など。

・利点: 専門家が運用するため、分散投資が可能で、様々なリスクを取ることができます。


保険商品

・特徴: 保険と投資を組み合わせた商品です。保障機能がある場合があります。

・利点: 保険機能と投資機能を兼ね備えているため、保障と積立を両立させたい人に適しています。


外国債券・外国株式

・特徴: 海外の債券や株式に投資することで、国際的な分散投資が可能です。

・利点: 国内外の経済状況に応じたリターンを狙うことができますが、為替リスクも伴います。


運用方針の決定

・リスクとリターン: 自分のリスク許容度やリターンの目標に応じて運用方針を決定します。リスクを取って高いリターンを狙うのか、リスクを抑えて安定した運用を目指すのかを考えます。

・資産配分: 投資商品を複数選ぶことでリスクを分散する「資産配分(アセットアロケーション)」が重要です。株式、債券、預金などに分散することで、リスクを低減しつつリターンを狙うことができます。


定期的な見直し

・ポートフォリオの見直し: 市場の変動や自分のライフステージの変化に応じて、定期的に運用商品や資産配分を見直すことが重要です。

・パフォーマンスの確認: 運用商品のパフォーマンスを定期的に確認し、期待通りの成果が得られていない場合は、運用方針の見直しが必要です。


運用商品の選び方

・手数料の確認: 運用商品には手数料(購入時手数料、運用管理費用など)がかかるため、手数料が低い商品を選ぶことがコスト削減に繋がります。

・運用実績の確認: 運用商品の過去の実績や運用方針を確認し、自分の投資目標に合致する商品を選ぶことが大切です。

・リスクの理解: 商品ごとのリスクを理解し、自分のリスク許容度に合った商品を選ぶことが重要です。


自動運用プラン

・ライフプランに合わせた自動運用: 一部の金融機関では、自動的に資産配分を調整する「ライフプラン型」の運用プランが提供されています。年齢やライフステージに応じて、リスクを抑えた運用に自動的に変更されます。


税制優遇の利用

・運用益非課税: iDeCoでは運用益が非課税であるため、税制優遇を活用して効率的に資産を増やすことができます。


5.受取方法

5.受取方法

iDeCo(個人型確定拠出年金)の受け取り方法について、詳しく説明します。

iDeCoの受け取り方法には「年金形式」と「一時金形式」があり、それぞれにメリットがあります。

年金形式は長期間にわたって安定的に受け取れるのに対し、一時金形式は一括で資金を得ることができます。

受け取り方法の選択は、自分のライフプランや資金計画に応じて行い、受け取り開始年齢や手続きについても確認しておくことが重要です。


年金形式での受け取り

年金形式では、積み立てた資産を毎月一定額ずつ受け取ります。

主に以下の3種類の年金形式があります。


普通年金

・特徴: 定期的に一定額を受け取る形式です。年金の受取額は、積立額や運用実績によって決まります。

・メリット: 長期間にわたって安定的に資金を受け取ることができます。


確定年金

・特徴: 一定期間(例:10年、15年など)にわたって定額を受け取る形式です。期間中に受け取り終了前に死亡した場合も、残された期間分の年金が支払われます。

・メリット: 受取期間が決まっているため、受取額が一定であり、将来の予測が立てやすいです。


終身年金

・特徴: 受取人が生存している限り、年金を支払い続ける形式です。生存している限り、資産が尽きるまで年金が支払われます。

・メリット: 生涯にわたって安定的な収入が得られるため、長寿リスクに対応できます。


一時金形式での受け取り

一時金形式では、積み立てた資産を一括で受け取ります。

受け取った金額は、退職所得として取り扱われます。


・特徴: 60歳以降に一時金として全額を受け取ります。受取時に一度に受け取るため、まとまった資金を得ることができます。

・メリット: 一括で資金を受け取れるため、特定の目的(例:住宅購入、医療費、旅行など)に利用しやすいです。

・税制優遇: 一時金として受け取る場合、退職所得控除が適用されます。退職所得控除の額に応じて、一定額までは非課税となるため、税負担が軽減されます。


受け取りの手続き

・受け取り開始年齢: 受け取りは原則として60歳から70歳までの間で開始できます。具体的な開始年齢は、自分の状況や金融機関の規定に従います。

・手続き: 受け取り方法を選択する際には、iDeCo口座を開設した金融機関で手続きを行います。必要な書類や手続きについては、金融機関に確認してください。

・受け取り頻度: 年金形式の場合、受け取り頻度(例:毎月、四半期ごとなど)を選ぶことができます。


受け取り方法の選択

・選択のタイミング: 受け取り方法は、60歳以降に決定することが一般的です。受け取り開始時に、年金形式か一時金形式のいずれかを選択します。

・ライフプランに応じた選択: 自分のライフプランや資金計画に応じて、年金形式と一時金形式を選ぶことが重要です。例えば、老後の生活費として毎月安定的に受け取る年金形式や、大きな支出を計画している場合には一時金形式を選ぶなどの選択が考えられます。


受け取り後の税金

・年金形式: 受け取った年金は、年金所得として課税されます。公的年金等控除が適用されるため、一定額までは課税されない場合があります。

・一時金形式: 一時金は退職所得として課税され、退職所得控除が適用されます。一定額までは非課税となるため、税負担が軽減されます。


まとめ

まとめ

iDeCoは、自分で積み立てた資産を運用し、税制優遇を受けながら将来の老後資金を準備するための制度です。

税制優遇があり、運用商品や受け取り方法を自分で選べるため、長期的に効率よく資産を形成できます。

加入資格や掛金の上限、運用の自由度などを理解し、自分に合った運用プランを立てることが大切です。


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