労災保険といえば、業務上や通勤上によるケガや病気の治療費が無料になる…というイメージを持たれている方が多いと思います。
実は、保険加入者が死亡した場合は、被災労働者の葬儀費用が給付される保険でもあるのです。
この記事を読めば、葬祭料(葬祭給付)の「金額」「給付を受けられる人」「手続き」などを知ることができます。
葬祭料(葬祭給付)とは
葬祭料(葬祭給付)とは、労災保険に加入している人が、業務上または通勤途上の傷病により死亡した場合、その労働者の葬祭を行う遺族等に、葬祭費用の補助として支給されるものです。
厳密には、業務災害の場合を葬祭料、通勤災害の場合を葬祭給付といいます。
葬祭料を受けられる人
葬祭料を受けられる人は、通常は遺族になります。
しかし、そのような遺族がおらず、他の親族、友人、縁故者などが変わって葬祭を行う場合には、それら葬祭を行った人が葬祭料を受けることになります。
なお、葬祭を執り行う遺族がなく、社葬として被災労働者の会社が葬祭を行った場合は、その会社に対して葬祭料(葬祭給付)が支給されることとなります。
給付の内容
葬祭料(葬祭給付)の額は、315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額です。
この額が給付基礎日額の60日分に満たない場合は給付基礎日額の60日分が支給額になります。
給付基礎日額とは
「給付基礎日額」とは、原則として、労働基準法の平均賃金に騒動する額をいいます。
平均賃金とは、原則として、業務上または通勤による負傷や死亡の原因となった事故が発生した日または医師の診断によって疾病の発生が確定した日(賃金締切日が定められているときは、傷病発生日の直前の賃金締切日)の直前3ヶ月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額(ボーナスや臨時に支払われた賃金を除く)を、その期間の暦日数で割った1日当たりの賃金額です。
年金としての保険給付の額の算定の基礎となる給付基礎日額は、毎年、前年度と比較した賃金水準の変動率に応じて増額または減額(スライド)されます。
また、年齢階層別の最低・最高限度額も適用されます(年金給付基礎日額)。
※船員については、給付基礎日額の特例があります。
手続き
出典:厚生労働省
葬祭料(葬祭給付)を請求するときは、所轄の労働基準監督署長に、「葬祭料請求書」または「葬祭給付請求書」を提出します。
ダウンロード用(OCR)様式
障害補償給付支給請求書などダウンロード(厚生労働省)
(リンク先の「遺族(補償)等給付関係」のところにあります)
請求書記入例
葬祭料(葬祭給付)を請求するときの請求書の記入例は下記のとおりです。
提出に必要な添付書類
死亡診断書、死体検案書、検視調書またはそれらの記載事項証明書など、被災労働者の死亡の事実および死亡の年月日を証明することができる書類。
ただし、併せて遺族(補償)給付の請求書を提出する際に添付してある場合には、必要ありません。
葬祭料(葬祭給付)の請求に関する時効
葬祭料(葬祭給付)は、被災労働者が亡くなった日の翌日から2年を経過すると、時効により請求権が消滅しますので注意が必要です。
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