人が生活を送っていくうえで、社会参加することは疎外感を軽減させたり、自分が必要とされている実感を覚えたりするうえで重要なことです。
それは障害者にとっても同じです。
しかし、障害の程度によっては自力でそれらを行うのが困難です。
『生活介護』は、日常生活上の介護だけでなく、生産活動や創作的活動を提供するサービスです。
-
障害のある子どもを持つ親が読むべきおすすめの本7選【2024年版】
子供の将来を心配することは、親にとっては当然のことかもしれません。とりわけ、子どもに障害があった場合は、そうでない場合とは比較にならないでしょう。この記事では、障害のある子どもを持つ親が読むべきおすす ...
続きを見る
生活介護とは
生活介護とは、障害者総合支援法で定められた自立支援給付のうち、介護給付に含まれる障害福祉サービスです。
昼間に障害者支援施設など適切にサービスを行うことができる施設で、排泄や入浴、食事などの基本的な日常生活上の介護だけでなく、対象者の生産活動の創作的活動のサポートも受けられます。
施設に入所している障害者も昼間、生活介護を利用することができます。
施設には、利用者の障害支援区分に応じて、看護師、理学療法士、作業療法士などが配置されています。
生活介護の対象者
生活介護の対象者は、常時の介護を必要とする身体障害者、知的障害、精神障害にかかわらず、障害支援区分3以上の人です。
生活介護は施設入所者の場合、障害支援区分4以上の人が対象になります。
障害支援区分4未満の場合でも、市町村により生活介護と入所している施設からの支援を組み合わせて利用することが必要と判断されれば対象になります。
また、年齢が50歳以上の場合は、障害支援区分2以上で利用が可能です。
障害児の利用はできません。
生活介護を利用する方法
生活介護を利用するためには市町村に申請し、障害支援区分についての認定を受けなければなりません。
障害支援区分には有効期間があり、3ヶ月から3年の期間内で期間が決定されます。
さらに支給を受けるためには、指定特定相談支援事業者が作成したサービス等利用計画案を提出し、支給決定を受けなければなりません。
サービス開始後も、利用者の実情に合ったサービスを提供するため、事業者は6ヶ月ごとにモニタリングを行い、利用計画を見直します。
ただし、65歳以上で介護保険のケアマネジメントを受けていない場合には3カ月に短縮されます。
生産活動や創作的活動の必要性
生活介護の特徴は、日常生活上の介護だけでなく、生産活動や創作的活動を提供することです。
つまり、障害者が日常生活を送るうえで必要な介護などを提供するとともに、さまざまな活動に取り組み、社会参加への足掛かりをつくることに目的があります。
生産活動や創作的活動の具体例には下記のようなものがあります。
- 手芸などの自主製品の製作
- パンやクッキーなどの製造
- 趣味活動
- 企業からの内職
こうした活動は、製作や内職をして工賃を稼ぐためではなく、健康の維持・増進、自立に向けた自信や生活意欲の向上、経験値の拡充などの目的があります。
生活介護の利用者は比較的、障害支援区分が高い人が多く、この生産活動や創作的活動の内容を充実させることは、前述した目的達成のために重要な要素になります。
たとえば、内容を充実させるために、製作をただの作業で終わらせず、創作活動の成果を発表する場を設ける、就労支援施設との連携を図るなどが考えられます。
障害福祉サービスを利用する方法
障害福祉サービスを利用したい場合は、居住地の市町村に申請します。
注意しなければならないのは、市町村ごとに対応窓口の名称が同じではないということです。
一般に、生活福祉課や障害福祉課などの名称がつけられていることが多いようです。
具体的に、どの窓口に対して申請すればよいのかが分からない場合には、申請に出向く前にあらかじめ市町村の総合窓口に問い合わせをしてみましょう。
市町村は相談支援事業を行っている
市町村は障害福祉サービスの一環として相談支援事業を行っていますので、相談支援の中で障害者は自身に適切なサービスの内容や、必要な手続きに関するアドバイスを受けることができます。
その際には、市町村から委託を受けた相談支援事業者からのアドバイスなどを受けることになります。
相談支援事業者は、障害者に変わって申請に関する手続きを代行することも可能です。
相談支援事業者は下記の2つに分類することができます。
- 指定一般相談支援事業者
- 指定特定相談支援事業者
ともに、市町村から指定を受ける必要がありますが、指定一般相談支援事業者は、広く障害者が社会生活を営むうえで抱えた問題について、相談を受け付けます。
これに対して、指定特定相談支援事業者は、傷害福祉サービス利用手続きの相談の他に、サービス等利用計画案の作成まで行ってもらえます。