社会保障

【一覧】失業・求職に役立つ給付や手当をまとめて解説

【一覧】失業・求職に役立つ給付や手当をまとめて解説

この記事では、「失業・求職に役立つ給付や手当」を解説していきます。


日本の社会保障には、失業したものを支える給付や求職活動を支援する給付が整えられています。

制度を上手く利用することで、前向きな失業期間を過ごし、より良い就職先を見つけることができるかもしれません。


失業・求職に役立つ給付や手当

失業・求職に役立つ給付や手当

失業等給付の基本手当

基本手当とは、雇用保険の一般被保険者であった者が離職し、失業した場合に国から支給される手当です。基本手当の仕組みは「受給金額×給付日数」です。受給金額は、離職前6ヶ月間に支払われた賃金に基づいて計算されます。給付日数は離職理由、被保険者であった期間、労働者の年齢によって、90日から360日の間で決定されます。



延長給付

延長給付は、社会情勢などの影響によって就職が困難である場合や個々の受給資格者の置かれている状況などに配慮して、本来の所定給付日数分の日数に加えて、基本手当を延長する制度です。訓練延長給付、広域延長給付、全国延長給付、個別延長給付、地域延長給付の5種類があります。このうち、地域延長給付は、令和4年3月31日までの暫定措置となっています。延長給付によって、30日から120日の日数が延長されます。



傷病手当

雇用保険の基本手当は仕事に就くことができる人を対象にしています。そのため、病気やケガが原因で継続して15日以上職業に就けない場合は、基本手当に代えて、傷病手当を受給することができます。30日以上職業に就けない場合は、傷病手当の支給か基本手当の受給期間を延長するか(最大4年が限度)選ぶことができます。



技能習得手当

職業訓練を受けるときに知っておきたい給付金が雇用保険の技能習得手当です。技能習得手当は、職業訓練を利用して失業中に新しい技術を身につけたいという人をバックアップする手当です。雇用保険の基本手当を受給する権利のある者(受給資格者)が公共職業安定所長の指示する公共職業訓練を受講する場合、その受給期間について、基本手当に加えて、技能習得手当が支給されます。技能習得手当には、①受講手当と②通所手当の2種類があります。



再就職手当・就業促進定着手当

早期に就職先を見つけた場合に支給される手当です。再就職手当の金額は下記の計算式で決まります。

  • 基本手当の支給残日数が所定給付日数の2/3以上の場合
    ➝所定給付日数の支給残日数×70%×基本手当日額(上限あり)

  • 基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上の場合
    ➝所定給付日数の支給残日数×60%×基本手当日額(上限あり)


また、再就職後の賃金が下がった場合、新しい職場に6ヶ月間定着することを条件として、賃金の下がった部分の6ヶ月分(上限は、再就職手当の給付率が60%の場合、基本手当の支給残日数の40%となり、再就職手当の給付率が70%の場合は、基本手当の支給残日数30%となります)が、一時金(就業促進定着手当)として上記手当に加えて支給されます。



就業手当

再就職手当を受給するためには「1年を超えて勤務することが確実」と見込まれる就職先を見つけなければなりません。しかし、中には、正社員ではなく、短期間のパートや人材派遣、契約社員の形で働くことになる人もいます。そこで、こうした再就職手当の受給要件に該当しない場合であっても就職先を見つけた人に支給することにしたのが就業手当です。



常用就職支度手当

常用就職支度手当は、就職が困難な人が支給日数が残っている受給期間内にハローワークの紹介で安定した職業に就いた場合に、基本手当日額の40%(最大で90日分)を支給する制度です。基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上の場合には再就職手当の対象者となるため、常用就職支度手当の対象者は基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3未満の者ということになります。


 

広域求職活動費

広域求職活動とは、雇用保険の失業等給付の受給資格者がハローワークの紹介で、そのハローワークの管轄区域外にある会社などの事業所を訪問したり、面接を受けたり、事業所を見学したりすることをいいます。広域求職活動を行う失業者に支給されるのが雇用保険の広域求職活動費です。



教育訓練給付金・教育訓練支援給付金

教育訓練給付(教育訓練給付金)

就職するために、スキルアップのための特殊技能の習得や、外国語の学習、資格の取得が必要なケースもあります。失業者のこのような能力開発の取り組みを国でも支援しようというのが教育訓練給付の制度です。3種類の教育訓練給付があり、厚生労働大臣が指定する一般教育訓練を受講・修了した際に支給される「一般教育訓練給付金」、ITスキルなどの早期のキャリア形成に役立つ訓練を受講・修了した際に支給される「特定一般教育訓練給付金」と、専門性の高い資格の取得を目的とする訓練を受講・修了した際に支給される「専門実践教育訓練給付金」があります。一般教育訓練給付金受給金額は、受講のために受講者本人が教育訓練施設に対して支払った教育訓練経費の20%(支給率)です。ただし、20%を乗じた額が4,000円を超えない場合は支給されません。また、20%を乗じた額が10万円を超えた場合には、10万円となります(特定一般教育訓練給付金の場合は支給率が40%、支給率を乗じて掛けた額が20万円を超えた場合には、20万円となります)。

専門実践教育訓練給付金の受給金額は教育訓練経費の50%(1年間の上限は40万円)で、さらに受講した教育訓練の結果、1年以内に資格を取得し就職に結びついた場合には、給付が更に20%追加され、合計70%(1年間の上限は56万)となります(支給率を乗じた額が4,000円を超えない場合は支給されません)。原則として2年間(最大3年間)給付されることになります。

教育訓練支援給付金

45歳未満の失業者が、専門実践教育訓練給付の対象となる講座を受講すると、その訓練期間中は、基本手当の80%が支給されます。この教育訓練支援給付金制度は、受講開始日が令和4年3月31日以前であることが条件です。


対象者・手続き

教育訓練給付(教育訓練給付金)

一般教育訓練給付・特定一般教育訓練給付の支給を受けることができるのは、下記の①、②のいずれかに該当する者で、厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し、訓練を修了したものです。失業者だけではなく、在職者も利用することができます。

①雇用保険の一般被保険者
 厚生労働大臣が指定した教育訓練の受講を開始した日(受講開始日)において雇用保険の一般被保険者である者のうち、支給要件期間が3年以上あるものです。
 ただし、初めて教育訓練給付を受けようとする場合、支給要件期間は「1年以上」になります。

②雇用保険の一般被保険者であった者
 受講開始日において一般被保険者でない者のうち、一般被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内であり、かつ支給要件期間が3年以上ある者が対象になります。
 教育訓練給付の申請手続きは、教育訓練の受講終了後1ヶ月以内に教育訓練を受けた本人の住所地を管轄するハローワークに対して行います。
 専門実践教育訓練給付の場合は、初めて教育訓練給付を受ける場合は支給要件期間が「2年以上」に、2回目以降は原則どうり「3年以上」となります。


教育訓練支援給付金

教育訓練支援給付金の給付を受けることができるのは、45歳未満の、専門実践教育訓練給付の対象講座を受講するものです。教育訓練給付の申請手続きは、本人の住所地を管轄するハローワークに対して行います。


高年齢求職者給付金

65歳以降に退職すると、失業等給付の種類は基本手当ではなく高年齢求職者給付金という一時金に変わります。受給金額は、基本手当の50日分(被保険者として雇用される期間が1年未満のときは30日分)の給付金が一括で支給されます。


高年齢雇用継続基本給付金

労働の意欲と能力のある60歳以上65歳未満の者の雇用の継続と再就職を援助・促進していくことを目的とした給付が高年齢雇用継続給付です。高年齢雇用継続給付金は高年齢者の雇用継続を目的とした給付です。


高年齢再就職給付金

高年齢雇用継続給付のうち、高年齢者の再就職を支援する目的での給付が高年齢再就職給付金です。


未払賃金の立替制度

未払賃金については、「賃金の支払い確保等に関する法律」(賃確法)による未払賃金の立替払い制度を利用できる場合があります。立替払いの対象となるのは、未払賃金総額の80%相当額(年齢による上限あり)です。

退職日の年齢 未払賃金の上限額 立替払いの上限額
45歳以上 370万円 296万円
30歳以上45歳未満 220万円 176万円
30歳未満 110万円 88万円


立替払いを受けるには、①破産手続き開始決定を受けたこと、②特別清算開始命令を受けたこと、③民事再生開始の決定があったこと、④会社更生手続開始の決定があったこと、⑤中小企業事業主が賃金を支払うことができなくなった場合において、退職労働者の申請に基づいて労働基準監督署長の認定があった場合(事実上の倒産)という要件のいずれかにあてはまることが必要になります。

立替払いの対象者は、労働保険の適用事業で1年以上にわたって事業活動を行ってきた企業(法人、個人を問いません)に、労働者として雇用されていた者で、上記の破産手続きなどの事由があった日の6ヶ月前の日から2年間に退職した者です。ただし、未払賃金の総額が2万円未満の場合は、立替払いを受けることはできません。


国民健康保険の保険料減免

国民健康保険には、倒産やリストラなどの非自発的理由での失業によって加入した人の保険料を軽減する制度があります。国民健康保険は前年の所得などをもとに保険料を算出しますが、この制度では、前年度の所得を3割とみなして計算するため、その分だけ保険料が安くなります。軽減が受けられる期間は、退職日の翌日から翌年度末までです。ただし、再就職が決まり、会社の健康保険に加入した場合は、国民健康保険を脱退するので軽減措置は終了します。


対象者・手続き

対象者は、雇用保険の特定受給資格者と特定理由退職者で、65歳未満の人です。特定受給資格者とは、倒産、リストラ、セクハラやパワハラを受けた、実際の労働条件が契約と大きく異なっていたなどの理由で退職した人です。一方、特定理由離職者は、病気やケガ、体力不足、有期労働契約の期間満了による雇止め、親族の扶養や介護が必要になったなどの理由で退職した人です。申請手続きは、各市区町村役場で行います。手続きには、雇用保険の受給資格者証が必要になります。


国民年金の保険料免除

自分で直接保険料を納付することになっている第1号被保険者の場合は、経済的に困窮していて、保険料を払えないということもありえます。

そこで、救済措置として「保険料免除制度」が設けられました。保険料の免除には「法定免除」と「申請免除」があります。法定免除は、障害基礎年金をもらっている人や生活保護法に基づく生活扶助を受けている人などのための免除制度です。申請免除は、前年の所得が少ないなど経済的な理由で保険料を納めることが困難な人のための免除制度です。


対象者・手続き

申請免除には、保険料の全額が免除される「全額免除」と、保険料の3/4が免除される「4分の3免除」。半額が免除される「半額免除」。保険料の1/4が免除される「4分の1免除」があります。

第1号被保険者、配偶者、世帯主で、保険料を納付することが困難なときは、住所地の市区町村役場で申請を受けた場合には、免除の内容に応じて保険料が免除されます。

保険料の納付免除(全額・一部)・納付猶予・学生納付特例の申請は、保険料の納付期限から2年を経過していない期間、過去にさかのぼって申請できます。



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