社会保障

【一覧】ケガ・病気・障害・死亡に役立つ給付や手当をまとめて解説

【一覧】ケガ・病気・障害・死亡に役立つ給付や手当をまとめて解説

この記事では、「ケガ・病気・障害・死亡に役立つ給付や手当」を解説していきます。


日本の社会保障には、ケガ・病気・障害・死亡にかかる負担を軽減するためのさまざまな制度が用意されています

制度によって受けられる給付や手当は待っていても受けられません。制度を理解し、手続を行えるようにしましょう。


療養(補償)給付

療養(補償)給付

労働者が、業務上または通勤途中のケガ・病気によって療養を必要とする場合に労災保険から給付されます。業務災害の場合を療養補償給付といい、通勤災害の場合を療養給付といいます。

治療の現物給付を行うという「療養の給付」と、現金給付の「療養の費用の支給」の2種類がありますが、「療養の給付」が原則です。「療養の給付」では、労災指定病院で治療を受ければ、原則として傷病が治癒するまで必要な療養を受けることができます。

「療養の費用の支給」は、労災指定病院以外で療養を受けた場合に、そのかかった費用を支給するというものです。治療費だけでなく、入院の費用、看護料、移送費など、通常療養のために必要なものは全額支給されます。


対象者・手続き

対象者は業務上または通勤途中のケガ・病気によって療養を必要とする労働者です。

療養の給付を請求する場合、療養を受けている指定医療機関等を経由して、所轄の労働基準監督署に、所定の請求書を提出します。労災指定病院以外で治療を受け、療養の費用を請求する場合には、支払った費用の領収書等とともに、所定の請求書を事業所管轄の労働基準監督署に提出します。



療養の給付

療養の給付

健康保険では、業務以外の事由による病気やケガなどの保険事由に対して、療養の給付という形で医療を現物給付します。一部負担金として、療養の給付に要した額の2割もしくは3割を負担します。

しかし、保険の適用を受けられない病院で治療を受けたり、保険証を持たずに病院に行ったという場合には、受診者が医療費を全額自己負担しなければなりません。ただし、後から請求することで支払った医療費費の一部を療養費として現金給付してもらうことができます。


対象者・手続き

療養の給付を受ける場合には、保健医療機関などに被保険者証を提出します。70歳以上の場合には高齢受給者証も合わせて提出します。

また、療養費の給付を受けるための手続きとしては、保険者(健康保険の運営者。健保組合や協会けんぽ、市区町村国保等)に対して療養費の請求を行います。保険者が請求内容について療養の給付が困難であると認めたときや、被保険者が保険利用期間・保険薬局以外の医療機関・薬局で診療や調剤を受けたことにつきやむを得ない事情があると認めるときには、自己負担した医療費から一部負担金(原則として医療費の2割もしくは3割。通常、窓口で支払う個人負担額)を除いた金額の払い戻しを受けることができます。



休業(補償)給付

休業(補償)給付

休業(補償)給付とは、業務中または通勤中に被ったケガ・病気で働けない場合の生活補償費です。業務中の原因による場合を休業補償給付、通勤中の原因による場合を休業給付といい、労災保険から給付されます。

業務上または通勤途中の負傷・疾病による療養のために休業し賃金を受けない日の第4日目以降から支給されます。

休業1日目について給付基礎日額の60%が休業(補償)給付として支給され、これに加えて、給付基礎日額の20%が休業特別支給金として支給されるので、合わせて給付基礎日額の80%を受け取ることができます。なお、給付基礎日額とは、原則として、災害発生日以前3ヶ月間に被災した労働者に支払われた賃金総額を、その期間の総日数で割って算出されます。


対象者・手続き

休業(補償)給付の対象者は、業務中または通勤中に被ったケガ・病気で働けない労働者です。ただし、3日間の待期期間が設定されているため、休業(補償)給付は、療養のため労働することができずに賃金を受けられない日の4日目から支給されます。つまり、3日で完治した場合には、休業(補償)給付を受給することはできません。休業(補償)給付を受けるためには、治療を受けている医師から労務不能であった期間の証明を受け、出勤簿などの添付書類とともに、事業所管轄の労働基準監督署に所定の書類を提出します。また、休業特別支給金は、「休業(補償)給付支給請求書」と同一の用紙で同時に請求を行うことができます。



傷病手当金

傷病手当金

労働者(被保険者)が業務外の病気やケガで働くことができなくなり、その間の賃金を得ることができないときに、健康保険から傷病手当金が支払われます。傷病手当金の支給額は、1日につき標準報酬月額の2/3相当額です。ただ、会社などから賃金の一部が支払われたときは、傷病手当金と支払われた賃金の差額が支払われます。傷病手当金の支給期間は支給開始から1年6ヶ月です。1年6ヶ月経過すると傷病手当金の支給は打ち切られますが、1年6ヶ月後も障害が残っている場合には障害基礎年金・障害厚生年金が支給されることになります。


対象者・手続き

傷病手当金を受給するためには、療養のために働けなくなり、その結果、連続して3日以上休んでいたことが要件となります。「療養のため」とは、療養の給付を受けた(健康保険を使って医院等を受診した)という意味に限らず、自分で病気やケガの療養を行った場合も含みます「働くことができない」状態とは、病気やケガをする前にやっていた仕事ができないことを指します。「軽い仕事だけならできるが以前のような仕事はできない」という場合に、働くことができない状態にあたります。

傷病手当金の給付を受けるためには、傷病手当金支給申請書を、事業所を管轄する全国健康保険協会(協会けんぽ)の都道府県支部、または会社の健康保険組合に提出することが必要です。

なお、市区町村等が運営する国民健康保険(国保)も条例で傷病手当金を支給することができる規定がありますが(国民健康保険法58条2項)、実施している国保はありません。



高額療養費制度

高額療養費制度

医療費の自己負担額が一定の基準額を超えた場合に被保険者に給付される(払い戻される)のが健康保険の高額療養費です。

高額療養費は、被保険者や被扶養者が同じ月に同じ病院などで支払った自己負担額(入院時の食費負担や差額ベッド代などは含まれません)が、高額療養費算定基準額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた部分の額が高額療養費として支給されます。医療費の1ヶ月あたりの自己負担限度額は、被保険者の年齢や所得の多寡によって異なります。


対象者・手続き

対象者は健康保険に加入できる75歳未満の健康保険の被保険者(被扶養者)です。医療費の1カ月あたりの自己負担限度額の計算方法は、被保険者の年齢や所得の多寡によって異なります。70歳未満の人は、所得に応じて5つの区分けされており、所得が高いほど自己負担額が高くなります。所得が「標準報酬月額28万~50万円」の範囲の人については、原則として、下記の計算式で算出します。

$$80,100円+(総医療費−267,000円)×1%$$


70~74歳の人については、「現役並み所得者」「一般所得者」「低所得者」の3つに区分けされており、所得が「一般所得者」の人については、個人ごとの外来について18,000円、世帯の外来・入院について57,600円が上限です。所得が「現役並み所得」の人の自己負担限度額の計算方法は、所得に応じてさらに3つに区分けされており、70歳未満の人の自己負担限度額と同じ計算式を使用して算出します。

高額療養費を請求する場合、暦月の1ヶ月ごと、医療機関ごとに、年齢と所得に応じて定められた金額を超えて自己負担額を支払ったときは、「健康保険被保険者(扶養義務、世帯合算)高額療養費支給申請書」をすみやかに全国健康保険協会または会社の健康保険組合に提出します。

1ヶ月あたりの医療費の自己負担限度額(70歳未満)

所得区分 自己負担限度額 多数該当
標準報酬月額
83万円以上の方
252,600円+
(総医療費−842,000円)×1%
140,100円
標準報酬月額
53万円~79万円の方
167,400円+
(総医療費−558,000円)×1%
93,000円
標準報酬月額
28万円~50万円の方
80,100円+
(総医療費−267,000円)×1%
44,400円
一般所得者
(標準報酬月額26万円以下)
57,600円 44,400円
低所得者
(被保険者が市町村民税の非課税者等)
35,400円 24,600円


1ヶ月あたりの医療費の自己負担限度額(70~74歳の場合)

被保険者の区分 医療費の自己負担限度額
外来(個人) 外来・入院(世帯)
現役並み③
(標準報酬月額
83万円以上)
252,600円+(総医療費−842,000円)×1%
(多数該当:140,100円)
現役並み②
(標準報酬月額
53万~79万円)
167,400円+(総医療費−58,000円)×1%
(多数該当:93,000円)
現役並み①
(標準報酬月額
28万~50万円)
80,100円+(総医療費−267,000円)×1%
一般所得者 18,000円
(年間上限14.4万円)
57,600円
(多数該当:44,400円)
市区町村民税の
非課税者等
8,000円 24,600円
被保険者とその扶養家族
すべての人の所得がない
15,000円




障害(補償)一時金

障害(補償)一時金

労災事故によってケガや病気をし、それが治癒した後、比較的軽度の障害が残った場合に支給されるのが、障害(補償)一時金です。障害(補償)一時金の額は、障害の等級によって異なります。毎年支給される年金ではなく、一回限りの一時金として支給されます。

なお、障害(補償)一時金が支給される者には障害特別支給金と障害特別一時金(賞与など特別給与に基づいて別に算定)がそれぞれ支給されます。


対象者・手続き

障害(補償)一時金の支給対象者になるのは、残った障害の等級が8級から14級までの人です。請求の手続きは、ケガや病気が治癒した段階で行います。この場合の治癒とは、元の状態に戻ったことを言うのではなく、症状が固定し、治療を継続しても改善が期待できない状態をいいます。

請求先は、所轄の労働基準監督署です。請求書には、診断書を添付する必要があるので、医療機関に依頼して記載してもらいましょう。場合によってはレントゲンなどの証明資料を添付するよう求められることがあります。

なお、障害(補償)一時金の請求権は、ケガや病気が治癒したと判断された日の翌日から5年を経過すると時効によって掃滅しますので、できるだけすみやかに請求手続きを行うようにしましょう。



障害(補償)年金

障害(補償)年金

業務上や通勤途上での労災事故によって重度から中程度の障害が残った場合に支給されるのが障害(補償)年金です。重度の障害が残ると仕事をすることができなくなりますし、中程度の障害が残った場合には仕事を行うことが著しく制約されることになります。このため、一時金ではなく年金の形で長く支援することになっています。このため、支給額は障害の等級によって異なります。なお、障害(補償)年金が支給される者には障害特別支給金と障害特別年金が支給されます。


対象者・手続き

障害(補償)年金の支給対象になるのは、労災事故によって残った障害等級が1級~3級(重度)、4級~7級(中程度)までの人です。請求書の様式は労働基準監督署などで入手することができます。これに必要事項を書き入れ、請求書に添付する診断書に医師(歯科医師)に診断内容を記入してもらい、事業主の証明を受けて請求先の労働基準監督署に提出します。必要に応じてレントゲン写真などを求められることがありますので、事前に確認しておきましょう。なお、障害(補償)年金の請求権の時効は、ケガや病気が治癒したと判断された日の翌日から5年です。この期間を超えると請求することができませんので注意してください。



障害年金

障害年金

障害年金は、年金制度に加入している間に、病気やケガで障害を負った人に対して給付される年金です。国民年金の加入者が障害を負った場合の給付を「障害基礎年金」といいます。障害等級が1級・2級の場合は、障害基礎年金が支給されます。厚生年金に加入している場合は、障害基礎年金に上乗せされて障害厚生年金が支給されます。また、障害の状態が2級に該当しない軽い程度の障害のときは3級の障害厚生年金が支給されます。そして、障害厚生年金を受けるときよりも軽い障害が残ったときには障害手当金(一時金)が支給されます。


対象者・手続き

障害基礎年金を受給するためには、下記の3つの要件を満たすことが必要です。

  1.  初診日に国民年金に加入している、または、過去に国民年金の加入者であった60歳以上65歳未満の人で、日本国内に在住している
  2. 障害認定日に障害等級が1級または2級に該当する
  3. 以下のいずれかの保険料納付要件を満たしている
    ・初診日の前日に、初診日の月の前々月までに国民年金の加入者であったときは、全加入期間のうち、保険料の納付期間の免除期間が2/3以上を占める
    ・初診日に65歳未満であり、初診日の月の前々月まで直近1年間に保険料の滞納がない(初診日が令和8年4月1日前の場合の特例)


障害基礎年金の支給額は、1級が97万7125円、2級が78万1700円です。(令和2年度の基準)。障害厚生年金の支給額は、その人の障害の程度や収入に応じて異なった金額となります。


障害年金を請求する場合、初診日から、1年6ヶ月経過日またはそれ以前に症状が固定したときはその時点で、居住する市区町村役場(国民年金のみの人)または住所地または勤務地を管轄する年金事務所(共済組合)に請求します。提出書類は「年金請求書」「年金手帳(組合員機関等証明書)」「医師の診断書」などです。



高額介護サービス費

高額介護サービス費

介護保険制度は、被保険者が介護を必要とする状態になったときに必要なサービスが提供される公的社会保険制度です。

被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者に分かれています。65歳以上の人が第1号被保険者で、医療保険に加入している40~64歳の人が第2号被保険者です。介護保険の利用者は利用したサービスについての費用につき原則1割を自己負担しますが、住民税を課税されている65歳以上の人で、一定の収入のある方は2~3割負担となります。

介護給付を受けるために認定を受けた利用者は、その認定の度合いによって受けられる給付額が異なります。このように、介護保険で利用できるサービスの費用の上限を要介護度・要支援度ごとに定めたものを区分支給限度額(月額)といいます。ただし、在宅サービスの利用料の自己負担額が高額になってしまった場合には、高額介護サービス費として、市区町村から支給(払い戻し)を受けることができます。


対象者・手続き

自己負担額の上限は、生活保護受給者や、世帯全員が住民税非課税でかつ老齢福祉年金受給者(第1段階)、世帯全員が住民税非課税でかつ課税年金収入額合計所得金額の合計が80万円以下の利用者(第2段階)については15,000円、世帯全員が住民税非課税で利用者負担の第2段階に該当しない場合(第3段階)については24,600円、第1~3段階にあたらない世帯については44,400円です。

自己負担額を超え、高額介護サービス費の支給を申請する場合、市区町村で手続きを行います。


遺族(補償)給付

遺族(補償)給付

労働者が仕事中(業務上)または通勤途中に死亡した場合に、残された遺族の生活補償を目的として支給されるのが労災保険の「遺族(補償)給付」です。正式には、業務災害の場合は、「遺族補償給付」といい、通勤災害の場合は「遺族給付」といいますがこの2つを併せて、遺族(補償)給付と呼んでいます。遺族(補償)給付には年金と一時金があります。

遺族(補償)年金の受給資格者がいる場合には、その者に「遺族(補償)年金」が支給されます。遺族(補償)年金の給付額は、遺族の数に応じ給付基礎日額の153日から245日分の年金となります。

遺族補償年金の受給資格者がいない場合や、遺族(補償)年金の受給資格者はいるがその権利が消滅し、他に年金を受け取る遺族がいない場合には、一定の遺族に「遺族(補償)一時金」が支給されます。遺族(補償)一時金の金額は給付基礎日額の1000日分です(前払一時金が支払われている場合には1000日分との差額)。


対象者・手続き

遺族(補償)年金を受ける権利のある遺族を受給資格者といいます。

受給資格者になることができる遺族は、労働者の死亡当時にその労働者の収入によって生計を維持していた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹です。この場合の配偶者には事実婚姻関係(内縁関係)と同様の事情にある者を含みます。また妻以外の遺族については、年齢による制約(高年齢または少年)や一定の障害状態にあることなどの要件があります。

これらの受給資格者のうち、最も先順位の者(遺族)だけが受給権者となって、実際に遺族(補償)年金を受給することになります。

遺族(補償)給付を受給するためには、労働者の死亡日から5年以内に事業所管轄の労働基準監督署に「遺族(補償)年金支給請求書」「死亡診断書」「戸籍謄本」などを提出します。



遺族年金

遺族年金

公的年金の加入者、老齢年金、障害年金の受給者が死亡したとき、残された家族に対して給されるのが遺族年金です。遺族年金には、遺族基礎年金、遺族厚生年金があります。

遺族基礎年金は、従来母子家庭の孤児だけの場合にのみ年金が支給される制度でしたが、平成26年4月から父子家庭も支給対象になりました。遺族基礎年金の金額は、「本体部分」と「子供扶養のための加算」部分で構成されます。本体部分は老齢基礎年金と同じ金額、年間78万1700円となり、子のある妻に対する子ども扶養のための加算は第1子と第2子が22万4900円、第3子以降が7万5000円(金額は令和2年度)となっています。遺族厚生年金は、死亡した者の収入に応じた金額がもらえます。具体的には、死亡した者の老齢厚生年金の3/4です。ただし、加入期間の長さの違いによって、「短期要件」と「長期要件」があり、支給金額の計算方法が異なります。


対象者・手続き

遺族基礎年金をもらえる遺族は限られています。対象は、被保険者(年金制度に加入したいた本人)または被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持されていた18歳未満(障害者は20歳未満)の子のいる配偶者、または子です。

ただし、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が加入期間の2/3以上あることが受給要件です。なお、この要件を満たさなくても、令和8年4月1日前の場合は、死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料の滞納がなければ受給できます(納付済期間に関する要件については、遺族厚生年金でも同様です)

遺族厚生年金支給の対象となる遺族は、死亡した者によって生計を維持されていた妻、18歳未満の子・孫(一定の障害がある場合は20歳未満)および55歳以上の夫・父母・祖父母(60歳から支給)です。子のいない妻であっても支給対象になります。これらの対象者のうち、最も先順位の者(遺族)だけが受給権者となって、実際に遺族年金を受給することになります。

遺贈年金を請求する場合、居住する市区町村役場(国民年金のみの人)や、住所地または勤務地を管轄する年金事務所(共済組合)に請求します。手続きの際には、「年金請求書」を「年金手帳(組合員機関等証明書)」「戸籍謄本」「死亡診断書」などの添付書類とともに提出します。



寡婦年金・死亡一時金

寡婦年金・死亡一時金

国民年金の第1号被保険者(農業、自営業などの被保険者である夫が亡くなったときに、その夫の支給されるはずであった老齢基礎年金の一部が妻に年金として支給されるのが「寡婦年金」で、一時金として遺族に支給されるのが「死亡一時金」です。

自営業の夫(国民年金第1号被保険者)が死んだ場合、子どもがいなければ妻は遺族基礎年金をもらうことができません。会社員の夫(国民年金第2号被保険者)が死亡したときには、妻は子どもがいない場合であっても、同様に遺族基礎年金はもらえませんが、遺族厚生年金はもらえます。同じ環境で、一方は年金をもらえるのに、もう一方はもらえないという補償の偏りを補うために寡婦年金、死亡一時金という第1号被保険者のための独自の給付制度が設けられています。


対象者・手続き

寡婦年金とは、結婚10年(内縁関係でも可)以上の妻の場合、60歳から65歳までの期間、夫がもらったと考えられる老齢基礎年金の3/4が支給される制度です。さらに、受給するためには、第1号被保険者として、保険料を納めた期間(免除期間)が10年以上ある必要があります。

寡婦年金をもらう要件が揃っていない場合に、死亡時までの保険料相当分をもらえるのが死亡一時金です。支給を受けるには、国民年金第1号被保険者として保険料を3年以上納めている必要があります。死亡一時金は、最も優先順位の高い遺族に一時金として支給されます。

なお、寡婦年金の支給要件と死亡一時金の支給要件の両方を満たしている人の場合、どちらかを選択して受け取ることができます。

寡婦年金と死亡一時金の申請は、住所地の市区町村役場で行われます。


葬祭料(葬祭給付)

葬祭料(葬祭給付)

葬祭料(葬祭給付)は、労働者が業務上または通勤途中に死亡した場合に、原則として死亡した労働者の遺族に対して支給されます。業務上の災害などで死亡した場合の給付を「葬祭料」といい、通勤途中の災害などで死亡した場合の給付を「葬祭給付」といいます。支給額は31万5000円に給付基礎日額30日分を加えた額ですが、この額が給付基礎日額の60日分より少ない場合は、給付基礎日額の60日分が支給されることになっています。


対象者・手続き

葬祭料・葬祭給付は、死亡した人の葬祭を行た人を対象として支給されます。通常は遺族が対象になりますが、葬祭を行う遺族がおらず、友人や会社が葬儀を行ったという場合には、その友人や会社に対して支給されることもあります。

葬祭料・葬祭給付を請求する場合は、所轄の労働基準監督署に「葬祭料請求書」または「葬祭給付請求書」を提出します。葬祭料・葬祭給付を請求する場合の添付書類としては、「死亡診断書」や「住民票」など、本人の死亡の事実と死亡年月日を確認できる資料があります。ただ、遺族(補償)給付の請求書をすでに提出している場合は、すでに証明書類を提出してあるはずですから、改めて提出しなくてよいことになっています。

なお、葬祭料の請求権は、本人が死亡した日の翌日から2年を経過すると時効により消滅しますので、注意してください。



埋葬料

埋葬料

健康保険に加入している労働者(被保険者)が業務外の事由で死亡した場合には、その保険者により生計が維持されていた人で、かつ埋葬を行う人に対し埋葬料が支払われます。埋葬料は、被保険者が自殺した場合にも支払われます。また、被保険者に扶養されている家族が死亡した場合には、被保険者に対し家族埋葬料が支払われます。


対象者・手続き

「被保険者により生計を維持されていた人」とは、死亡した被保険者の妻や子などです。遺族が一般的ですが、民法上の親族である必要はなく、同居していない者であってもかまいません。生計の一部を維持されていた人も含まれますし、健康保険の被扶養者である必要もありません。

「埋葬を行う人」とは、常識的に考えて埋葬を行うべき人をいいます。たとえば、被保険者の兄弟姉妹やその他親族の者などです。

埋葬料・家族埋葬料の額は、一律5万円です。健康保険組合によっては、これを付加埋葬料を上乗せしているところもあります。

死亡した被保険者に家族がいないなど、埋葬料を受け取るべき人がいない場合は、実際に埋葬を行った人に「埋葬費」が支給されます。埋葬費の額は、埋葬料の金額を上限として、火葬費や僧侶への謝礼など実際に埋葬に要した実費相当額です。

埋葬料を請求するときは、「健康保険埋葬料支給申請書」に、「死亡診断書」等を添付して保険者に提出します。このとき、「健康保険被保険者資格喪失届」と被保険者の「健康保険証」(被扶養者分も含む)も一緒に提出することになります。埋葬料は死亡の翌日から2年以内、埋葬費は埋葬を行った日の翌日から2年以内に請求します。



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