人が生活する上で、住居の問題は重要です。
障害者施設などに入所していない障害者は、賃貸借契約を締結して一般住宅などを利用することになります。
しかし、障害者によっては賃貸契約を交わすことは簡単ではありません。
そこで頼りになるのが、『居住サポート事業』です。
『居住サポート事業』は、賃貸住宅への入居が困難な障害者を支援します。
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居住サポート事業とは
賃貸住宅への入居が困難な障害者を対象に、市町村が主体になって、居住サポート事業を行っています。
通常、賃貸住宅に入居するときには、「保証人を立てる」、「保障金や敷金の支払い」を求められることが多いのが現状です。
安定した収入や就職につながる資格を持っている人であれば、賃貸住宅への入居の際にそれはど困ることはないのですが、精神障害者や知的障害者など障害を持っている人の場合、「保証人がいない」などの理由で入居先がなかなか見つからないという問題が起こる可能性が高くなります。
障害者総合支援法でも障害者の地域での居住を支援するさまざまなサービスと提供します。
そのため、居住サポート事業の利用対象者は、賃貸借契約を締結して一般住宅に入居希望しているものの、身近に保証人になってもらえる人がいない障害者です。
現在、障害者施設や児童福祉施設などに入所している人は、対象から除かれます。
また、精神障害のために、精神病院に入院している人も対象外です。
支援内容
居住サポート事業は、地域生活支援事業として、原則として市町村が実施します。
具体的な支援内容は、主に下記の2つに分類されます。
- 一般住宅への入居支援
- 関係機関との連絡体制の整備など
それぞれわかりやすく解説していきます。
1.一般住宅への入居支援
この事業は、賃貸借契約による一般住宅への入居を希望しているものの、保証人がいないなどの理由によって入居が困難になっている障害者に対して、入居契約の締結に向けた支援を行います。
具体的には、市町村もしくは市町村から委託を受けた指定相談支援事業者が、不動産業者に対する障害者への物件あっせんの依頼や、入居手続きの支援、家主等に対する相談・助言、入居後の相談窓口を設けるなどの支援を行います。
2.関係機関との連絡体制の整備など
利用者が住居において生活していく上で直面する問題に対応するために、関係機関との連絡体制を整備するなどの支援を行います。
たとえば利用者が、ホームヘルパーや訪問介護などの利用が必要になった場合に備えて、直ちに必要なサービスの提供が可能なように、連絡調整を行っておく必要があります。
また、「24時間支援」と呼ばれる支援が特に重要です。
これは夜間を含め、緊急な対応が必要になる場合に備えて、迅速に必要な治療などが受けられるように医療機関との連携・調整を行う事業です。
家族等への必要な連絡体制の整備にも取り組んでいます。
なお、国土交通省は、障害者の他に高齢者、子育て世帯や外国人の賃貸住宅への入居を支援する「あんしん賃貸支援事業」を実施しており、住居サポート事業との連絡が図られています。
障害福祉サービスを利用する方法
障害福祉サービスを利用したい場合は、居住地の市町村に申請します。
注意しなければならないのは、市町村ごとに対応窓口の名称が同じではないということです。
一般に、生活福祉課や障害福祉課などの名称がつけられていることが多いようです。
具体的に、どの窓口に対して申請すればよいのかが分からない場合には、申請に出向く前にあらかじめ市町村の総合窓口に問い合わせをしてみましょう。
市町村は相談支援事業を行っている
市町村は障害福祉サービスの一環として相談支援事業を行っていますので、相談支援の中で障害者は自身に適切なサービスの内容や、必要な手続きに関するアドバイスを受けることができます。
その際には、市町村から委託を受けた相談支援事業者からのアドバイスなどを受けることになります。
相談支援事業者は、障害者に変わって申請に関する手続きを代行することも可能です。
相談支援事業者は下記の2つに分類することができます。
- 指定一般相談支援事業者
- 指定特定相談支援事業者
ともに、市町村から指定を受ける必要がありますが、指定一般相談支援事業者は、広く障害者が社会生活を営むうえで抱えた問題について、相談を受け付けます。
これに対して、指定特定相談支援事業者は、傷害福祉サービス利用手続きの相談の他に、サービス等利用計画案の作成まで行ってもらえます。