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女性の自殺が増加!雇用環境悪化や人気俳優の自殺が影響

女性の自殺が増加!雇用環境悪化や人気俳優の自殺が影響

政府は2020年11月2日の閣議で2021年版の「自殺対策白書」を決定しました。

就労している女性の2020年の自殺者数は1698人で、19年までの5年間の平均と比べて3割近く増加しました。

新型コロナウイルスの感染拡大で、飲食・サービス業など女性が多い非正規労働者の雇用環境が悪化したことが影響したとみられています。




2020年の自殺者数は前年比で4・5%増加

2020年の自殺者数は前年比で4・5%増加

2020年の自殺者数は全国で2万1081人と、前年比で912人(4・5%)増加しました。

増加は11年ぶりで、男性は減少したものの女性の増加幅が上回りました。

無職の女性は微減、男性は職の有無に限らず減少しており、働く女性の自殺増加が顕著でした。

過去5年平均との分析で女性の「被雇用者・勤め人」の増加分の内訳は「事務員」66人、「その他のサービス職」63人、「販売店員」41人、「医療・保健従事者」33人の順でした。


月別で見ると年前半は例年より少なく、後半に増加しました。

緊急事態宣言中の4月は前年より300人以上少なかった一方、感染が落ち着いていた10月は700人近く多かったです。

必ずしも、経済活動が抑制される感染拡大期に増加しているわけではありません。

10月は無職女性の増加も目立ちました。


自殺の原因は健康問題が多い

自殺の原因は健康問題が多い

動機別ではうつ病など精神疾患を含む健康問題が多いです。

経済や生活の問題など他の要因が精神疾患に発展するケースも多く、厚生労働省は要因を複合的に見るよう指摘しています。


白書では著名人の自殺の影響も調査しています。

2020年には人気俳優2人の自殺が報道された後2週間の自殺者数が、統計的な予測値よりも15~23%高くなりました。

亡くなった俳優と近い世代で増加する傾向が見られました。


2020年は児童・生徒の自殺者数も過去最多

2020年は児童・生徒の自殺者数も過去最多

2020年は児童・生徒の自殺者数が499人で過去最多となりました。

3月の一斉休校の要請直後には大きく減少したものの、学校が再開した6月に一転して急増し、夏休み明けの9月にも増加が見られました。

11月も大きく増加しました。

就職や進路の検討時期と増加時期が重なっていることから、将来への不安などが関係している可能性があります。


厚生労働省こころの健康相談統一ダイヤル(電)0570・064556。


自殺者数の推移

自殺者数の推移

警察庁の自殺統計原票を集計した結果によれば、日本の自殺者数は、平成10年以降、14年連続して3万人を超える状態が続いていたましたが、24年に15年ぶりに3万人を下回りました。

27年は2万4025人と4年連続で3万人を下回っています。


自殺者数は、昭和58年及び61年に2万5千人を超えたものの、平成3年には2万1084人まで減少し、その後2万人台前半で推移しています。

しかし、10年に9年の2万4391人から8472人(34・7%)増加して3万2863人となり、その後、15年には統計を取り始めた昭和53年以降で最多の3万4427人となりました。


16年は減少し、21年まで横ばいで推移した後、22年以降は減少を続けており、27年は前述のとおり2万4025人で前年に比べ1402人(5・5%)減少し、急増前の9年以来の水準となりました。


平成10年の急増については、バブル崩壊による影響とする説が有力ですが、その後も変わらず高水準で自殺者数が推移してきたことについては定説はなく、今後の分析の課題となっています。



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