日本経済新聞社と日経BP「日経xwoman」の調査によって、保育所の供給過剰が今後強まる兆しが出ていることが分かりました。
2021年の0歳児の新規利用数は比較可能な16年以降で初の前年割れをしました。
地方圏で定員の空きが増えている半面、大都市部は利用ニーズが引き続き高く、需給の「ミスマッチ」も懸念されます。
地方の保育所で定員の空きが増えている
比較可能な市区の有効回答の平均値でみると、0歳児クラスの利用児童数は21年4月1日時点で582人でした。
前年同期に比べて4%減少しました。
一方で待機児童が残る大都市部を中心に保育所の整備が続き、定員は903人と2%増加。
平均で定員の4割近くが埋まっていない計算です。
少子化の進展に加え、21年は新型コロナウイルス禍の深刻化で利用が減った可能性もあります。
0歳児の「定員割れ」が最も大きかったのは鹿児島市で、定員1949人のうち76%が余りました。
愛知県豊橋市(75%)、広島県福山市(72%)、秋田市(71%)を含む4市が70%を超えています。
60%台は佐賀市や群馬県太田市など15市、50%台は浜松市、大津市を含め22市ありました。
東京都内は定員がほぼ埋まっている
東京都内は日野市で利用児童数が定員に達しているほか、江戸川区は定員の未利用率が2%、府中市も4%とほぼ埋まっています。
定員を充足、または未利用率が10%未満にとどまったのは13市区でした。
うち11市区が都内、2市は大阪府内(高槻市、八尾市)といずれも大都市圏です。
0歳児を含むすべての年代でみても、定員の空きは増えています。
21年の利用児童は市区平均で9395人と0・3%減ったのに対し、定員は1万372人と3%増加しました。
定員の1割近くが埋まらなかったです。
未利用率が最も高かった北海道函館市は52%にのぼります。
東京都東村山市や高槻市など9市は定員を満たしました。
保育所整備は将来の需要予測の把握が難しい
調査対象の市区に保育所整備にあたって最も大きな課題を尋ねたところ、「将来の需要予測の把握が難しい」が28・3%と最も多かった。「保育士の確保」が22・8%、「用地・物件の確保」が21・4%で続きました。
17~20年の調査では「保育士」との回答が最も多く、「需要予測」と逆転したのは初めてです。
保育行政を担う自治体も需要動向の先行きに対する懸念を強めています。
地域間の需給ミスマッチを改善するには保育士ら人材の流動性を高めるなど、自治体の枠を超えた対応が必要です。
少子化で長期的には需要が減少に向かうなか、広域的な需給管理のしくみが求めらます。
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