この記事では、「学校等の児童生徒等に対する災害救済給付」について解説していきます。
あってはいけないことですが、学校生活を送っていれば、学校の管理下の災害で病気やケガをしたり、それがもとで障害が残ったり死亡したりすることもあります。
日本の社会保障では、それらの事象に対応する制度が存在します。
この記事を読めば、学校等の児童生徒等に対する災害救済給付の「受給要件」「給付内容」などを知ることができます。
学校等の児童生徒等に対する災害救済給付とは
学校の管理下での災害に関する公的な共済制度については、独立行政法人日本スポーツ振興センター法により定められています。
独立行政法人日本スポーツ振興センターと学校等の設置者が災害共済給付契約を締結することにより、学校の管理下の災害に際して所定の給付金を支給するという仕組みを設けているものです(後述)。
この共済制度には、学校等の設置者が保護者の同意を得て、児童生徒等を一括して加入させています。
受給要件
独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度に加入している下記の者が、学校の管理下の災害により負傷しまたは疾病にかかったとき、および障害が残ったり死亡したとき。
- 義務教育諸学校の児童・生徒(特別支援学校を含む)
- 高等学校、中等教育学校、高等専修学校、高等専門学校および幼稚園の生徒、学生および幼稚園(特別支援学校の高等部、幼稚部を含む)
- 幼保連携型認定こども園、保育所等の幼児、幼児
給付内容
災害共済給付の額は下記のとおりです。
- 医療費
医療保険並みの療養に要する費用の額が5,000円以上かかったとき、その費用の額の10分の3(高額療養費の自己負担限度額を限度)に、療養にともなう諸費用としてさらに10分の1の額を加えた額。
入院時食事療養費の標準負担額がある場合はその額を加算 - 障害見舞金
2,800万円(運動などの行為と関連のない突然死および通学の場合は半額) - 供花料
(損害賠償を受けたこと等により死亡見舞金が支給されない場合)17万円 - へき地通院費
1日あたり定額1,000円
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手続き
それぞれ、医療費支払請求、障害見舞金支払請求、死亡見舞金支払請求、供花料支払請求、へき地通院費支払請求を在籍学校経由で独立行政法人日本スポーツ振興センターへ送られます。
問合わせ先
問合わせ先は、在籍学校、独立行政法人日本スポーツ振興センター各支所(仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡)
独立行政法人日本スポーツ振興センター
学校の管理下
下記の条件の場合、学校の管理下となります。
- 児童生徒等が、各教科、クラブ活動、運動会、修学旅行、遠足、学校給食など、学校が編成した教育課程にもとづく授業を受けている場合
- 林間学校、臨海学校、部活動など、学校の教育計画に基づいて行われる課外指導を受けている場合
- 休息時間中、昼食時休憩時間中、始業前の特定時間中、授業終了後の特定時間中、その他校長の指示または承認にもとづいて学校にある場合
- 通常の経路および方法により通学する場合(登校中、下校中)
- 1.~4.に準する場合(たとえば、学校の寄宿舎にあるとき)なお、保育所等の場合も前記1.~5.に準じます
災害の範囲
下記の項目に該当する範囲の者です。
- 自走生徒の負傷で、その原因である事由が学校の管理下において生じたもの
- 学校給食に起因する中毒その他児童生徒等の疾病で、その原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち、文部科学省令で定めるもの
- 1.の負傷または2.の疾病が治った場合において在する障害のうち、文部科学省令で定める程度のもの
- 児童生徒等の死亡で、その原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち、文部科学省令で定めるもの
- 4.にかかげるもののほか、これに準ずるものとして文部科学省令で定めるもの
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