この記事では、「育休の法改正」について解説していきます。
改正法のポイントは下記のとおりです。
- 産後8週間以内に4週間まで
- 原則1回の通常の育休を、男女とも2回まで分割可能に
- パートなど有期雇用で1年以上勤務の取得要件を撤廃
- 企業に産休や育休の取得意向の確認を義務づけ
- 従業員1000人超の企業に、取得状況の公表義務づけ
それぞれわかりやすく解説していきます。
男性も育児休業がしやすくなる
男性も子育てのための休みを取りやすくする改正育児・介護休業法が3日午後の衆院本会議で全会一致で可決、成立しました。
男性も子どもの出生後8週間以内に4週間まで2回に分けて育休を取得できるようになります。
企業には対象社員に取得を働きかけるよう義務づけられます。
子育てしやすい就労環境を整え、少子化の進行に歯止めをかける狙いがあります。
男性の産休制度は子どもが生後8週になるまでの期間に最大4週間の休みを取得できるようになります。
2回に分けて休むことを認めるため、子どもの出産時と退院時にそれぞれ取ることも可能です。
改正法は2022年度中にも施行されます。
育休の利用方法
育児休業を利用したい場合、2週間前までに会社に申し出れば利用できるようになります。
従来は出生後に休みを取る場合、1カ月前までの申請が必要でした。
育休中でも働けるようになる
労使の合意があれば育児休業中でもスポットで働くことが可能です。
育休中は原則働くことができない制度でしたが、これを見直します。
急に重要な会議が入ったり、その人でなければ対応できない業務が生じたりしたときに、柔軟に対応できる余地を残しました。
休業中に業務が途切れる懸念から育休取得を断念するといった男性の声を考慮しました。
就業可能日数など条件は今後、省令で定める見通しです。
分割して休みを取得できるようになる
育休は男女とも2回に分割して取れるように制度変更する予定です。
現行制度では子どもが1歳になるまでの間に原則1回しか取れません。
男性は産休制度と合わせれば4分割で休むことが可能になります。
共働きの夫婦が交互に休みながら仕事を続けるような場合を想定しています。
パートタイマーや契約社員でも育休しやすくなる
正社員だけでなく、非正規社員でも取得しやすくなります。
これまでは1年以上働いていないと育児休業を取得できませんでしたが、2022年4月からは1年未満でも取得できるようになります。
企業に制度の周知義務が課される
企業には育休や産休について従業員へ取得意向の確認や制度の説明をするよう義務付けられます。
現行法は周知の努力義務しか定めていませんでした。
従わない場合は企業名を公表することになります。
厚生労働省の調査では、企業から育児休業の制度説明などがなかったという男性が過半に上回りました。
面談で制度を説明したり、書面などで制度を伝えたりする方法を想定し、積極的な周知を促す方針です。
企業は育休取得率を公表することに
2023年4月からは従業員が1千人を超える企業に育休取得率の公表を求める方向です。
日本は育児休業の制度を整えても、職場の慣習などから取得にためらう男性が多いためです。
厚労省によると、出産や育児制度を利用しなかった男性のうち2割超が「取得しづらい雰囲気だった」と答えました。
公表制度を設けて、企業が取得を強く促す思惑があります。
男性の育休取得率は7.48%
男性の育休取得率は2019年度で7.48%にとどまっています。
取得した人も8割は1カ月未満の期間にとどまります。
取得率は少しずつ高まってはいますが、政府が目標に掲げる20年度の13%、25年度の30%にはほど遠いです。
夫の育児休業取得は、妻(家族)にとってメリットがある
女性の就労継続のためにも、男性の育児参加は重要です。
夫の家事育児の時間が長いほど妻の就労継続割合や第2子を生む割合は高い傾向にあります。
6歳未満の子どもがいる夫の家事や育児の時間をみると、日本は1時間程度と国際的に低い水準です。
出産を契機に、育児と両立できないことを理由に仕事を辞める女性がいまだ多いのが現状です。
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