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不登校の小中学生は過去最多の24万4940人【2021年度】

不登校の小中学生は過去最多の24万4940人【2021年度】

不登校の小中学生が2021年度に24万4940人になり過去最多となったことを受け、文部科学省が対策に乗り出しました。

同省の有識者会議で受け皿となる「不登校特例校」の拡充を柱とした議論が始まりました。

学習機会の確保には一人ひとりの特性に合わせた多様な学ぶ場の整備が必要ですが、財源や専門人材の育成など課題は山積です。


文科大臣は有識者会議で「すべての不登校の児童生徒が支援を受けられるよう、特例校の設置促進やデジタル学習端末の活用などを進めていきたい」と述べました。

文科省は2023年3月末までのとりまとめを目指しています。


詳しく解説していきます。


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不登校の小中学生は過去最多の24万4940人

不登校の小中学生は過去最多の24万4940人

不登校の小中学生は2021年度に過去最多の24万4940人に上り、前年度からの増加幅24・9%も過去最大でした。

新型コロナウイルス下で学校活動が制限されたり、欠席への抵抗感が薄れたりしたことが原因とみられます。

大臣は2023年1月の記者会見で対策を講じる考えを示していました。


不登校の対策の柱は「不登校特例校」の増強

不登校の対策の柱が「不登校特例校」の増強

対策の柱として挙がったのは柔軟な教育課程を組める「不登校特例校」の増強です。

不登校特例校とは、学習指導要領の内容などにとらわれずに、不登校の状態にある児童生徒の実態に配慮した特別な教育課程を編成し、実施している学校です。

通常の学校と同じ卒業資格も得られます。

2017年に施行された教育機会確保法で整備が国や自治体の努力義務とされています。


文科省によると、特例校は2022年時点で10都道府県の21校にとどまり、北陸と中国には1校もありません。

特例校がある地域でも、転入校希望者が定員を上回るケースがあります。


会議では特例校を増やしていく重要性を確認。

そのうえで登校を前提とせず、学校以外でも教育を受けられる環境をつくるべきだとの意見が出ました。

文科省はオンラインの活用などで、ニーズに応じた多層的な学びの場を確保する方向性を示しました。


不登校の兆候を把握する取り組みも検討

不登校の兆候を把握する取り組みも検討

不登校の兆候を把握する取り組みも検討しています。

公立の小中学生約900万人に配布された学習端末には、体調や生活リズムなどを毎日尋ねるプログラムを組み込めます。

回答データの分析により不登校の予兆を見いだし、適切なケアへ結びつけることを目指しています。


会議で議論を進めるこうした対策には同省が従来取り組んできたものが多く含まれています。

現場でなお広がりを欠くのは、学校を設置する各自治体の対応力に地域差があるためです。


自治体ごとに500万円を上限とした補助金

自治体ごとに500万円を上限とした補助金

公立の不登校特例校を増やすには自治体が校舎や教員を確保する必要があり、一定の財源が必要です。

様々な事情を抱えた不登校の児童生徒に対応できるスキルを備えた教員や、データ分析の知見をもつ専門人材も多くの地域で十分とは言えません。


不登校の児童生徒のうち、学校内外でスクールカウンセラーらから相談・指導を受けた割合は21年度は63%で、4年連続で低下しています。

教育現場では増え続ける不登校への対応が追いついていないとみられています。


同省は全都道府県での特例校設置をめざし、自治体ごとに500万円を上限とした補助金制度を2023年度予算案に盛り込みました。

まず20自治体程度の支援を想定しています。

データ分析を通じた予兆の把握の強化に向けては福祉分野の専門家との連携を検討します。


まとめ

まとめ

不登校の小中学生は2021年度に過去最多の24万4940人に上り、前年度からの増加幅24・9%も過去最大でした。


対策の柱としてまず挙がったのは柔軟な教育課程を組める「不登校特例校」の増強です。

子どもの状況に合わせて授業時間や学習内容を調整でき、通常の学校と同じ卒業資格も得られます。


不登校の兆候を把握する取り組みも検討しています。

公立の小中学生約900万人に配布された学習端末には、体調や生活リズムなどを毎日尋ねるプログラムを組み込めます。

回答データの分析により不登校の予兆を見いだし、適切なケアへ結びつけることを目指しています。


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