従業員が100人超の企業に男性による育児休業取得率の目標値設定と公表を義務付けることになりそうです。
男性の育児参加は女性に偏る育児の負担を和らげ、夫婦が子どもを持つ意欲を高めることにつながります。
子育てをしやすい体制づくりを企業に促します。
育児休業は子どもが生まれると取得でき、一定の要件を満たせば休業中の生活を支える育児休業給付を受けることができます。
詳しく解説していきます。
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男性による育児休業取得率の目標値設定と公表を義務付け
次世代育成支援対策推進法の改正案は今の通常国会に提出されます。
成立すれば2025年4月から施行されます。
約5万社が対象になり、同法に基づく「一般事業主行動計画」に目標を明記することになります。
計画を作らなかったり、公表しなかったりする企業には厚労相が勧告し是正を求める仕組みです。
100人以下の企業は目標値の設定を努力義務となります。
男性の育休の取得率は17.1% 女性は80.2%
男性の取得率は2022年度に17.1%でした。
2012年度の1.9%から大きく上がりましたが、女性の80.2%には遠く及びません。
2021年度の取得期間で見ても男性は51.5%が2週間未満で、95.3%が6カ月以上取得する女性に比べると短いです。
厚労省の2022年度調査によると、男性正社員の23%は「職場の雰囲気や上司などの理解」が壁となって育児休業をとらなかったと答えています。
同省は企業の意識改革と体制整備が重要と判断し、目標設定を求めることにしました。
目標の水準は企業が自由に決める
目標の水準は企業が自由に決めることになります。
目標値が低い企業は育休の体制が整っていないとみなされ、子育てと仕事の両立を重視する人材が集まりにくくなります。
優秀な人材を集めるには、高い目標設定と実現に向けた社内制度の整備が必要になります。
2025年卒の学生への調査によると、育休を取って子育てをしたいと答えた男性は60%でした。
女性も60%で男女差はほぼありません。
男性の育休の取得率は2023年4月から1000人超の企業に実績値の公表が義務付けられました。
2025年4月からは300人超の企業に拡大されます。
目標の設定も義務にすることで、目標と実績の開きも分かるようになります。
取得期間の公表も必要
従業員が少なく、仕事を補い合うのが難しい企業は特に育休が取りにくいです。
幅広く環境を整備するため、2024年度からは育休で休む同僚の仕事をする社員に手当を出す中小企業への助成額が拡大されます。
目標値は育休を取得した男性の比率で、期間が短ければ「取るだけ育休」になってしまいます。
取得期間の公表も必要になってくるかもしれません。