社会保障ニュース

介護費用の2割負担対象者が拡大 年収280万円以上➝190万円以上

介護費用の2割負担対象者が拡大 年収280万円以上➝190万円以上

厚生労働省の審議会は12月7日、介護サービス費の2割負担を巡り対象となる高齢者の拡大を含む見直しを大筋で了承しました。

年収が現在の280万円以上から190万円以上などの世帯に広げる試算を示しました。

高齢者の負担能力に応じた措置ですが膨張を続ける介護給付費の抑制には十分とは言えません。


社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の介護給付費分科会で、介護保険制度の給付と負担のあり方を議論しました。

年末の予算編成で詳細を決めることになります。

厚労省によると、対象者を広げる場合は早ければ2025年8月からの適用となる見通しです。


詳しく解説していきます。


現在、2割負担は単身世帯で年収280万円~340万円未満

現在、2割負担は単身世帯で年収280万円~340万円未満

2024年度の介護保険制度の見直しの最大の論点の一つが自己負担の引き上げです。

現在は原則として1割負担で、所得に応じ2~3割負担する人がいます。

このうち2割負担は単身世帯で年収280万円以上340万円未満が対象となっています。


厚労省は対象者を拡大するパターンについて、年収の下限として190万円から280万円までの10通りを示しました。

年収200万円以上に引き下げた場合、69万人の利用者が新たに2割負担となり、年740億円の給付費削減が見込まれると推計しています。
 

2040年の介護保険給付費は2018年比2倍超の25.8兆円

2040年の介護保険給付費は2018年比2倍超の25.8兆円

膨張を続ける介護給付費を抑えるにはこれだけでは十分とは言えません。

2025年に団塊の世代が全員75歳以上を迎え、給付費の増加が避けられないからです。


高齢者人口の増加に伴い、2040年の介護保険給付費は2018年比2倍超の25.8兆円に達するとの政府推計もあります。

保険料負担が過度に増大しないよう政策を総動員して抑え込む必要があります。


現在、3割を負担する人は4%弱、2割負担者は5%弱

現在、3割を負担する人は4%弱、2割負担者は5%弱

推計によると2021年度末時点で要介護(要支援を含む)の認定者数は690万人います。

認定を受けている人のうち「現役所得並み」として3割を負担する人は4%弱、2を割負担する人は5%弱にとどまっています。


1割から2割に負担率が上がると、自己負担額が倍増することになります。

医療と異なり日常的に利用する介護サービスは、長期にわたり費用の支払いが発生することから生活への影響を懸念して反対を訴える声もあります。
 

物価高騰の影響もあり、高齢者の実情に十分配慮が必要

物価高騰の影響もあり、高齢者の実情に十分配慮が必要

審議会の委員からは「物価高騰の影響もあり、高齢者の実情に十分配慮が必要」などと慎重な判断を求める意見がでました。

一方で「介護事業者の経営環境の厳しさを踏まえると、報酬のプラス改定に合わせて利用者負担を見直す観点なら了承する」と理解を示す声もありました。


政府は物価高騰などを背景とした介護事業者の経営悪化を踏まえ、2024年度の介護報酬を引き上げる方向で調整を進めています。

原資となる利用者負担の見直しと併せて議論の焦点となります。


年末までに介護保険制度の改革に結論を出す

年末までに介護保険制度の改革に結論を出す

負担割合のほかにも年末までに介護保険制度の改革に結論を出す方針です。


介護保険の1号被保険者(65歳以上)が支払う保険料に関して、相対的に所得が高い人の保険料を引き上げ、低所得者の保険料を軽減する案があります。

介護医療院などの相部屋の室料負担を保険給付の対象から除外することも検討しています。


介護保険制度を維持するには中長期の視点で見直しが不可欠となります。

政府が12月5日に示した医療や介護の歳出改革の工程表では、医療・介護で3割を自己負担する高齢者の対象拡大を2028年度までの検討課題に盛り込みました。


まとめ

まとめ

厚生労働省の審議会は12月7日、介護サービス費の2割負担を巡り対象となる高齢者の拡大を含む見直しを大筋で了承しました。

年収が現在の280万円以上から190万円以上などの世帯に広げる試算を示しました。


膨張を続ける介護給付費を抑えるにはこれだけでは十分とは言えません。

高齢者人口の増加に伴い、2040年の介護保険給付費は2018年比2倍超の25.8兆円に達するとの政府推計もあります。


推計によると2021年度末時点で要介護(要支援を含む)の認定者数は690万人います。

認定を受けている人のうち「現役所得並み」として3割を負担する人は4%弱、2割を負担する人は5%弱にとどまっています。


-社会保障ニュース
-